G7 広島サミットが行われ、本日が最終日。
報道の通り現在直面する課題について、G7 のみならずグローバルサウスと呼ばれる新興国の首脳/代表者やゼレンスキー大統領まで参加して議論、意見交換が行われたようだ。なんにせよ、世界の秩序と安定が保たれるのであれば望ましいことだ。
さて、議題の中でちょっと興味を引いたのが AI について意見交換がなされたことだ。最近凄い勢いで利用されている チャットGPT を意識してのことだと思うが、一民間企業、研究機関が開発している技術についてなんらかの規制というか申し合わせが必要と考えているようである。おそらく今後良いことも多いが、悪いことも顕在化してくるだろうという危機感からなのだろう。
実際に自分で使ったことはないし、AI に対して知見がない自分はこれを論ずる資格はないのだが、ものすごく簡単な理解を述べると、世界中から集められたデータベースを基に問われた事柄に対して、最適らしい解を出力するというもののようだ。
で、面白いのがどうしてそういう解を出したのかが扱う側は分からないらしい。このあたりの事情は将棋のサイトで見聞きした程度で本当にそうなのかは保証の限りではない。
また先頃 AI を用いた模擬裁判というのがある大学で行われた。それに対する参加者の感想も様々で合理的に判断されていて良い、といのもあれば人間くささがないの不安、とか専門家からは証人尋問の際に証人の表情や被告人の態度などが反映されないので、まだ不十分ではないか、といった指摘があった。
などなど AI という専門家でも得たいの知れないモノに進化してきている事案に政治家が危機感を抱くのも無理はない。インターネットをいう世界中をつなぐインフラのおかげで、AI がネットに巣くう疑似生命体の如く振る舞い出す可能性もないわけではないと思う。いや、これは星新一氏の長編小説「声の網」の受け売りだが、ここで描かれている状況になっても不思議はない気がする。
新しい画期的な技術、アイディアが後に悪用されて人類に害を及ぼした例を挙げるのは容易だろう。サミットのテーマの一つであった「核兵器」もその一つだ。ノーベル氏が発明したダイナマイトも非常に有用だったが、同時に人を害する手段に転用され、それを嘆いたノーベル氏が平和的なもの、世界に幸福をもたらす発明、発見をした人を表彰すべく財団を作ったのが「ノーベル賞」である。
さて、今 AI がもしかしたらそういう立ち位置に有るのかも知れない。研究者のトップの一人がその危険性に言及し、退任したようだが、危険性が具体化したときそれを嘆いて有効活用を促進するための賞を作るかも知れない、などというのは妄想かな。
少し捻くれてみる(いつもだって...!)。「声の網」ではネットに巣くう疑似生命体のために世の中は平穏になっていくとなっている。つまり悪事と判断されることが行われようとすると、ネットで(小説では電話に取り付けられた盗聴器で)いち早く察知して、取り押さえられてしまう。しかも秘密裏にである。平穏と秩序を乱すことができない社会ができあがるわけだ。
そうなると政治家はいらないというかお飾りになるかもしれない。それは G7 首脳といえども困るので危機感をもった、というのは読み過ぎか。
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