先週 NHK のクローズアップ現代を何気に見ていたら「FIRE」を取り上げていた。

えい!ファイヤー!アイスストーム!~ ってヤツではなくて、「Financial Independence, Retire Early」のことである。

「経済的自立と早期リタイア」のことだ。

若年でもある程度資金があれば、その運用で収入を得ることが出来、仕事をしなくてもそこそこの生活が出来る状態にして、早期退職をするというパターンである。

番組で取り上げていた例として、手持ち資金や借り入れ資金をを不動産投資にして自分は優良物件を探して、それを貸し出すことで安定した収入を得るというのがあった。それで空いた時間でスノーボードを楽しんでいるそうな。月収 90万円とかいっていたからかなり余裕のある生活が出来るんだろうな、と思う。

一方「FIRE」してみて時間とお金に余裕は生まれたが、することがない、ということに気が付いて結局再就職するという例も紹介されていた。

いずれの例も極端な話だとは思うが、結構現実味のある話だと自分は感じた。

 

まず、AI と仕事の自動化によって人間自身が携わらなくて良い作業がどんどん減っていくだろうという予測がある。

「AI に仕事が奪われる!」なんていうネタは定期的にネットで話題になっているが、実際にいずれはそういう世界 = 人が直接生産行為に携わらなくて良い仕事はどんどん増えるだろう。そのときにどうやって生き抜くかというのは今後考えていかなくてはいけないテーマだと思う。ベーシック・インカムなどもその解の一つといえるかも知れない。

 

現在実際にある実例からすると、エネルギー資源国がそのモデルケースになると思っている。

国家として安定収入が得られるのであれば、国民はそこそこの仕事をしていれば医療費、教育費などは無償にすることが出来、社会保障などなどはそんなに深刻になる必要がない。もちろん日本はエネルギー資源国ではないから、国民が付加価値の高い仕事をすることによって国が成り立っている。しかしそれらも AI や作業の自動化によって昔で云うところの「モーレツ」な働き方が必要なくなってくる可能性は充分ある。その時に自分がどんな生き方を選ぶかは結構大事な話ではないかと思う。もはや自分はその年齢ではないので(いわゆる逃げ切り世代)考える必要はないが、これから世代は考えておく必要があるだろう。

上述の例では「スノーボードを楽しみにして人との繋がりを深める」というようだがいつまで続くのか。また再就職を選んだ人は空いた時間に「漫然とテレビを見ていることに疑問を感じた」とあったが、AI などで仕事が奪われれば逆戻りである。その時に自分の生きがい、存在価値を見いだせるのかが課題となろう。

 

これからの世代の人は「FIREムーブメント」から逃げられないのではないかと思っている。それは資産のあるなしにかかわらず、人がどうしても介在しないといけない仕事はだんだん狭まっていくと考えられるからだ。もちろんインフラ系やサービス系はなくならない。インフラが整備されていなくては勝手に生産されるという環境にならないし、勝手にお金が入ってきても使う先がなければ世の中が回らないからだ。

 

といいつつ、この番組の直後に放映されたのが「解体!」で、高圧線鉄塔の解体作業現場で奮闘する人たちの話だった。なかなかシャレが効いていると思ったのは私だけだろうか。

 

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