普段ほとんど外食などはしないのだが、たまたまそんな機会があった。
いわゆる普通の食堂的なところだが、席について料理が出てきたので食べようとして、テーブルに置いてある小皿を取った。ところがちょっとそこに調味料を入れてその具材を食べるには少し小さいようで、もう少し大きい小皿も取った。で、使うのを止めた小さい方の小皿を重ねてあったところに戻そうと思ったのだが、ちょっと待て、と手が止まった。
お分かりだろうか。最近飲食店で起きている客によるテロ(と敢えて云ってしまう)を思いだしたのだ。先に手にした小皿はもはや私の指に触れているので使用済みということになる。昔なら手もタオル拭いているし店の洗い物を無駄にさせないためにも戻しても構わないし、誰も気にしないだろう。だが、コロナ禍の中で誰しも神経質になっている昨今では御法度になりそうだ。自分には悪意がなくても誰かに写真を撮られて公開されようものなら自分だけでなく店にも迷惑を掛ける。
小皿だけではなく調味料などもそうだ。醤油差しの口をうっかり触ろうものなら申告して処分してもらわなくてはいけない。
よく資源の無駄遣いを避けるべく割り箸を使わない(あまり意味はないらしいが)ようにと、それぞれのテーブルに調味料入れと一緒になった小さな引き出しにプラスチック製の箸が入っていて、これを客が自分で手で取り出すようにしている店もあるが、これも衛生テロの標的になりそうだ。
しかし衛生を気にするのは当然という大前提としても不自由になったものだ。本来ならそこまで人間は弱くないだろうと思う。ただ今の形態だとその気になれば相当危ないことができてしまうし、結果悪意がないのに変に疑われたりして人生をおかしくしてしまうことも充分あり得る。
スマホとカメラのおかげで色々な情報、現場がすぐに共有される時代になった。ある意味相互監視社会とも云える。様々な犯罪の抑止効果として公的監視カメラもかなりな密度で据え付けられている。
悪意ある行動を取るつもりがないなら監視カメラがどこにあったって気にする必要はないが、飲食店でのうっかりまで晒されて糾弾されるのもなんだかなぁ~、と思う。
ちなみに飲食店側も色々対策を講じているらしく、結果不便、使い勝手の悪い形態が出てきているらしい。そして値段に反映されることになるのである。