戦時中(もうこう言っちゃおう)で陣頭指揮を執り国民を鼓舞して侵略者ロシアと対峙しているウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会に対してオンライン演説を行った。
みなさんご承知のようにゼレンスキー閣下はあちこちの国で自分たちの窮状と正義を訴えるのに少し度が過ぎた引用を行って、一部から(あるいは引用された国から)微妙な顰蹙を買っていたようだが、今回はそのような直接的な引用はなかったので、穏当かつ無難、また妥当だったと思う。
とはいえ「大変なことになっている。困っている。助けてくれ、協力してくれ」を連呼しても響かないので、日本人が経験してきた、している悲劇を思い出させるような表現を使って、窮状を訴え危機感の共有を図っていたように思う。メディア、ネット上での評判も上々である。
ロシア軍の侵攻により街、生活がメチャクチャにされているという話は、日本では度々起こる震災や天災、そして東日本大震災での津波を連想させるし、生物化学兵器の話はサリン事件を仄めかしているのだろう。またロシア軍がチェルノブイリ原発事故跡やその他の原子力発電所を占領していて危険、というのは福島第一原発事故による放射能汚染問題と同等の事案が起きかねないことを示唆している。
加えてロシア側が核兵器の使用も辞さないとしている引用は広島、長崎に落とされた原爆悲劇が繰り返される恐れがあることを喚起させようとしてると思われた。これらも踏まえて今後も支援をお願いしたい、ということだろう。もちろん最初に日本のウクライナに対する行動に対する謝意も冒頭に行われた。またアジアにおける対ロシア対策のリーダーシップもお願いされた。
ということであまりツッコむところはないのだが、私としては日本人が経験している悲劇の数々はやむ得ない、防ぐことの出来ないことや自分たちで判断した結果についてくるものが多く、「これも日本人でいる限り、日本に住む限り宿命」と悟ってるようなことだと思っている。それに基づいて同じ悲劇を避けるにはどうするかを考えて「改善する」というのが日本人のキャラだと感じている。異論、反論は無制限に受け付ける。
なので、日本国内で上述のような悲劇をどう防ぐかを議論し考えるのはよいが、他国の悲劇の説明に安易に引用されたくない、という気持ちも少なからずある。もちろん日本で取った対策や教訓を真似てもらうのは大いに結構である。
まあこれらは自分の中でちょっと引っかかった程度でウクライナに対する印象が悪くなったわけではない。ただウクライナ自体は歴史上しばしば火種になる地勢のようで、国自体ももともと貧乏である。支援することに反対はしないがいいように利用されるのは御免被る。そういったことはないと信じたいが、なんせ東北地方で大地震が起きたばかりなので可能な範囲で、という条件付きで国として支援して行ければ良いのではと思っている。
それにしてもこの戦争、落としどころが見えない。ロシア軍に撤退してもらうのが一番落ち着くが、ロシア国内が大騒ぎになるだろう。勝者のいない戦争になってしまっているようだ。
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