前回、「沈む中流」という NHK の報道があったということで、ちょっとばかり考察して見た。
報道で使われたグラフはバブル崩壊直後の最も所得が高かった時期 1990年の所得と、2018年というコロナ禍に入る直前との比較であったが、前回記述したように人口ピラミッドの違いがありすぎて、単純な所得という比較は出来ないというのが私の指摘だ。
番組全体を見ていないので、その後のネットでの反応や切り取りした情報などを見てみるとこんな内容がうかがえる。
・残業時間の縮小により、以下のように残業代が下がって所得が減っている。
ん?番組での所得比較は 1990年と 2018年だったよね?上のグラフから見ると 2018年は残業時間は減っていない。なので残業時間が減ったことは少なくとも冒頭にあったグラフの説明にはならないと思うが。
もう一つはトピックは「コロナ禍で残業時間が減ったため所得が減って住宅ローンが払えない」というのがあった。いやいや、それって 2018年の所得とは関係ないでしょ。コロナ禍のせいでしょう。もう一言言わせてもらえれば、残業代見込みで住宅ローンを組む時点で発想が間違っている。いくら住宅ローンの利率が下がったって借り入れが多すぎたのではないかと思う。どこかで月 15万円という支払いを組んだ、というのを見かけたが、私の時代でおそらく 30代半ばで大手企業のこれから中堅クラスに入ろうという人でも無理な額である。
実体験では、家を購入するときはそれまで借家で慎ましい生活をして出来るだけ頭金を準備して、貯蓄で頭金を払い(全額はダメ)それまでの家賃と同額以下で済む住宅ローンを組むべきと考えている。ま、あくまでも参考にして欲しい。それで手に入る自宅が分相応と思うしかない。
ちなみによくやり玉に挙げられるのが「終身雇用」「年功序列」という言葉だが、これらを否定してきたのが今のサラリーマンのあり方で、そのため生涯設計が出来なくなっているという側面はあると思う。「成果主義」「能力重視」「物言う株主」という文言が台頭してきた頃から、リスクの多い生活、企業経営になっているのではないか。本来残業の削減は「働き方改革」「ワークライフバランス」といった耳当たりの良い言葉にマッチしたものだろう。今更何をという感じである。いやいや、う~ん、申し訳ないが、自分は双方の良いところ取りを享受したした世代のようで、ラッキーだったのだろうと思う。まあ苦労している世代に対して何か役に立つことがあればやりたいと思っている。
一方マンションの価格が高騰している。時々「一括査定」アンケートなどで見かけるがかなり上がっている。実をいうと私のマンションもアンケートついでにその「一括査定」とやらに掛けてみたら買値よりも高い査定額が付いていた。築 15年経っているにも関わらずである。ちょっと高台にあるので災害には安全だが、駅からはちと歩かなくてはならない。それでもそんな有様だ。時々不動産屋から「住み替えの計画はどうですか?」と持ちかけられるが、「売った値段で同等の住まいを紹介できるの?」と聞くと黙り込む。
ちょっと周りを見渡すと結構新築マンション、新築アパート(結構豪華そうに見える)の建設が目に付く。値段なども私が現役のころには手を出せないような値段のようだ。なんでそんなに需要があるのか、供給過剰になっていないのか違和感がある。
十年近く前は「東日本大震災」の影響で復興のための原材料、人手のために住宅建築が値上がったというのは聞いているが、最近はどうなのか。確かに立て続けに自然災害などがあって復興建築リソースが不足しているのかも知れない。しかし新築マンションなどのプロジェクトはそれ以前に決まっているから止められず結局高い物件になってしまい、一般給与所得者には手が届かない、あるいは無理して手に入れて手放す羽目になる、といったことが起きているような気がする。テコ入れすべきはその辺りのような気がしてきた。
それと日常生活に「デジタル化」というのが深く入り込んできているのも関係しているだろう。スマートフォンの通信費、屋内ネットの維持費など固定費が増えているのは事実だと思う。菅前総理が「携帯電話料金を下げなさい!!!」と号令を掛けなかったら今以上に辛い状況になっていたかもしれない。ただスマートフォンは毎日何かしら持ち歩き、使うものでさらにバッテリーの寿命が 2年程度などなので買い換えが頻繁に行われる。これまで値下げろ、というと電気系技術者の端くれとしては抵抗がある。もう少し機能を絞って安価で長寿命なものもラインアップに揃えたらどうだろうか。いわゆるスマート機能などは要らない人は要らない。
それと屋内ネット料金もまだ高い。その辺りもテコ入れしてほしいものだ。
苦情、異論は無制限に受け付けます。
↓ こちらとも相互リンクを貼りました。よろしければクリック願います。