こんな記事があった。

「あの4Kテレビが「暗い」というとんでもない衝撃 輝度が十分足りない製品が多数出荷されている」

昨年の暮れから 4K、8K 放送が本格稼働と大々的に PR されてきたが、落とし穴があったようだ。
一言でいうとタイトルの通りで、4K 放送を高画質だと思ってみたら思ったより暗くて謳い文句のような期待値が得られなかったということだ。
記事では技術的な解説も少し行っているので、読んでみることをお勧めする。
幸いなことに我が家は 4K が効果的に見えるサイズのテレビが置けないので「ふ~ん、お気の毒に」と思う程度だが、実はどうやら 4K、8K 放送のおかげで 2K 放送の画質にも影響が出ているという話が Wiki などにちょろっと書いてあった

ちょっと理解できたことを書いてみる(理解した内容はあくまでも個人の妄想です)。
まず 4K 画像が暗いという話だが、記事にもあるように HDR という技術が問題になっているようだ。HDR = High Dynamic Range という意味で、明暗の違い=コントラストが大きい、ということである。この HDR 技術はデジタルテレビが始まった頃から研究されていて、どうやって漆黒の黒を表現しながら、高輝度の画像を出すかということに力が注がれてきたようである。その一つにバックライト型の液晶パネルの場合は、ローカルディミニングという方法を使って、一画面の中で明るく表現したいところと暗く表現したいところでバックライトの明るさを変えて、輝度のダイナミックレンジが大きくなるようにしてきた。
今回の記事を読んだ印象からするとこれが 4K では裏目に出ているのかなと思う。
ある画面のデータ上の明るさに関するデータを実際の輝度に反映させるカーブをガンマカーブというらしい。モニターにせよフォトショップなどのアプリにせよ、明るさ、コントラスト、色彩などのパラメータを調整できるようになっているが、大ざっぱに言ってガンマカーブを調整することで、鮮やかな色、落ち着いた色などを表現していると云うことのようだ。これを一画面全体を見渡して、所望の表現になるように調整していると考えられる。
で、4K の場合 2K の 4倍の解像度があるので 2K では 1ドットだったものが 4K では 2 x 2 の 4ドットになる。あくまでも想像だが、2K のあるドットが 90% の明るさデータを持っていて、これがその画面の最大輝度だったとする。ところが 4K では 4 ドットあるので平均では 90% の明るさかも知れないが、実は 100%、90%、85%、85% の輝度データだったとすると、その画面の最大輝度は 100% になる。
元映像が同じだったとして、HDR のデータ処理が最大輝度を忠実に再現しようとすると、2K は全体的に明るさを約 10% アップするが、4K はそのままになってしまうので、2K 映像の方が明るく見えるかも知れない。ここはあくまでも個人の妄想なので本気にしないでいただきたい

だいたいそもそも明るさのダイナミックレンジって本当に必要なのか、と疑問に思ったりする。
オーディオの方はそれなりのリスニング環境を整えれば、16bit は必要な感じがする。ただしポップス系では迫力が落ちると云うことで「ラウドネスウォー」なるコンプレッション操作が行われていたりして、ソースによってはシステムのダイナミックレンジを活かしきるというのは却ってマイナスだったりするが、必要なソースには必要である。

直感的には(あくまでも個人の感想です)目より耳の方がダイナミックレンジへの対応力が高い気がしている。そもそも目の網膜がそれだけの輝度差に耐えられないから、光彩を大きくしたり小さくしたりして、その環境で見やすい明るさを感じるように出来ているのではないか。
で、その光彩の反応は決して速くはないから、ある番組を見ているときはほとんど変化していないと思われる。
その環境の中で感じうる輝度のダイナミックレンジは対して大きくないので、高精細になったからといって輝度のダイナミックレンジを一生懸命広げても意味がなさそうに思える(あくまでも個人の妄想です)。
受像サイドがそんな状況に対して、放送側はそれでは困るからむしろダイナミックレンジを狭くしたソースにして、明るさを維持するような作り込みをし出すかも知れない。いわゆる「ラウドネスウォー」のヴィジュアル版である。なんか仁義なき戦いが始まりそうで怖い(あくまでも個人の妄想です

さて 4K 放送の副産物として 2K 放送の低画質化が発生していそうだ。つまり 4K 放送をするために電波のバンド幅の割り当てが代わったため、2K への割り当て幅が小さくなり水平方向のピクセル数が 1920 から 1440 に下がったようだ。その分受像機側で補正しているのか、圧縮によって 1920 を維持しているのかはしらないが、BS 2K の画質は低下しているらしい。
さらに 8K に関しては、今のところは NHK しか放送していないが、そもそも 8K の解像度を楽しむためには 80型以上が必要とされていて、一体何人の人がその恩恵にあずかれるのか?だいたい 8K のソースを作る制作費、設備費などは受信料から捻出されていると思われるが、もっとも売れているテレビのサイズが 32型前後であることを考えると、4K、8K 放送を行うこと、そのソースを作ることを一般の BS 受信料を払っている方から取るのは本当に公平な扱いと云えるのか?これについては、NHK の予算書を見たわけではないので、これ以上は触れられない。

私はアンチ NHK ではないが、やはり公共放送と謳うからには受信者に対して、公平な扱いを行って欲しいものだ。だいたい何でこんなチャンネルが必要なのかも理解できない。一度に見ることの出来る番組は一つしか無いし。録画を行ったってしれている。それと前にも書いたが、民間企業でありながら収入は法律で守られており、絶対に利益が出る。どんな評判の悪い番組を作ろうともである。「視聴率を気にしたら公平公正な放送はできない」というのが理屈のようだが、それでも公平公正なチェック機関(少なくともマスメディアに影響されない)が必要だろう。またそのメンバーを選ぶというのが大変な作業となる。

N 国党にそんな問題意識を期待したが、どうも党員のキャラがアレだし、だいたい少なくとも私が書くレベル程度の理論武装出来て欲しい、というのは儚い期待だったか。

そもそも視聴者側に選択権がないというのも変である。なぜ NHK が映らないテレビを作れないのか。作ったら法律違反なのか。もっとも今やろうとしたら、却って値段が高くなるが(もうすでにチューナーモジュールが出来ているため)。

大学生の就活ももう終わりのようだが、NHK に入社できれば今の制度では完全な勝ち組だろう。公務員などの比ではないと思われる。

とにかく「公平公正」という意味をはっきりさせてほしいものだ。

 

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