前回は量子化ビット数を減らしていったらどんなノイズが出るかの確認の方法を解説した。もっともコメントがなかったところを見ると、こんな酔狂なテストをやってみようという人はいなかったのだろう。
ただデジタルオーディオへの理解を深めたい、と思う人は一度はやってみることをお勧めする。特に 20bit、24bit 音源をお持ちの方は、16bit まで下げるとやっぱり違う、ハイレゾは凄い!という確信を得たいだろうからテストしてみる価値はある。
ただし結果については責任は一切持たないのであしからず。

さて、前回は量子化ノイズがまとわりついた音を聴いていただいた。今回は量子化ノイズのみを鑑賞してもらおうという試みだ。
理屈は単純で、16bit データから下位ビットを欠落させたデータをいくつか作ったわけだが、16bit データから欠落したデータを引いて、その欠落させた部分のみのデータを作ってを聴いてみようというわけだ。

まず、SoundEngine Free を用いて 16bit データを読み込む。前回「***_org.wav」で保存したデータになるかと思う。設定などは前回の通りにしておいた方が良い。ファイルを開いたら、「編集」-「すべてを選択」-「コピー」をする。これでクリップボードに 16bit データが一時保存されている。
次にたとえば 4bit 欠落部分を聴きたいのであれば「***_12bit.wav」と」保存したファイルを開く
メニュー(タブではない)から「スクリプト」-「波形反転」を実行する。
タブの「編集」を選択して、ミックスにチェックを入れて「対象ファイル」には何も書き込まず、「OK」を押す。
これで 4bit で構成された量子化ノイズが作成出来たことになる。画面上は何も変わっていないように見えるが、メニュー「音量」を選択して、音量最大 = 24dB として「OK」を押すと、再生音量が上がって画面も更新される。ただしレベルは小さいのでほとんどゼロにしか見えない。
これを再生してみると量子化ノイズのみを鑑賞出来る。ノイズなのでちょっと危険な感じはするが、16bit データ中の 4bit 分のでレベルしかなく、スクラッチ、パルスなどが入ることはないので大丈夫である。

さていかがだろうか。前回量子化ノイズは入力があってはじめて発生するものと書いたが、ということはこのノイズの中に原音の痕跡があっても良さそうだが、確認出来るだろうか。

ちなみに私の場合は確認出来た。アコースティックギターであるが、低音弦を鳴らしたときに「ボワ~ン」という音が音程も伴って入ってくるし、高音弦のメロディの部分も非常に小さいレベルながら確認出来る。エレキギターのエフェクタでいうところのディストーションとフランジャーを被せたような音だ。音源としてアコースティックギターやピアノのようなものの方がエフェクタ的音の確認はしやすい。電子楽器だったらよく分からないかも知れない。

もともとの音源はアコースティックなものならアナログなので、これを量子化してデジタル化するということはこういった音質の変化が加わるというのが不完全ながらもシミュレートできたと云って良いだろうか。異論は無制限に認めます。
なお量子化ノイズへの原音の痕跡の出方は、SoundEngine ならばこうだった、という話で、scilab などでやってみると少し印象が異なった。
またみなさんがお使いの DAC などによっても違うだろうし、再生プレーヤで 16bit から 24bit に変換して出力するものなどだと端数の処理が異なったりするので、ノイズファイルを一旦 wav ファイルにしてからプレーヤで再生してみても良いかも知れない。

自分の感触としては、量子化ノイズが印加されると前述のようなエフェクタがかかったような音が加わるので、「音が厚くなる」ということがありそうな気がする。そのうち何かのテーマで確認してみたい。

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