前回 CD 上のキズと倍速の関係について、わかりにくい内容を長々と書いてしまったが、いいたいことは、
1 倍速だからといって安定に再生出来るとは限らない
ということである。これはお手持ちのプレーヤやドライブによって違うので、こうだ!と言い切ることは出来ないが、ちょっと古めの CD プレーヤでどうしてもトラック飛びが発生するなら、PC 搭載の CD-ROM ドライブで再生してみると案外上手く再生出来たりすることがある、かもしれないというだけのことである。リッピングが成功して CD-R に写しておくというのも元が再生出来ない以上、著作権上物議を醸しても言い訳は出来るだろう。(もちろん責任は持ちません)
さて、今回は話が変わってアナログ信号をデジタル信号に変換した場合に必ず発生する量子化ノイズの話である。
前にこんな記事を書いた。
量子化ノイズを作ってみる>デジタルオーディオ
まあ誰もトライしていないだろうし、そもそも専門家でもない人が使うようなツールではないので、紹介程度の話である。
今回はデジタルオーディオを楽しむ人なら聞いたことがあるであろうツールを使って、量子化ノイズというものを確かめてみようと思う。
使うツールは SoundEngine Free である。
これを使って量子化ノイズを増やしてみてどんなノイズが出てくるのか聞いてみようというわけだ。
量子化ノイズってなんだっけ?という方はこちらを。
Wikipediw:量子化誤差
早い話が滑らかなアナログ信号をレベル方向に離散的に数値化したために、階段状の信号に変わってしまうが、その階段状の信号と元の滑らかな信号との差分が量子化レベル=量子化誤差ということである。
このノイズの特徴は一般的なアナログ系のノイズ、テープヒスノイズやアンプのノイズ、ワウフラッタなどとは違い、入力信号があってはじめて発生すると云うことにある。従って入力がゼロならどんなに bit 数が粗くても静寂そのものである。もちろんアナログノイズが入ってくるとそれも信号なのでこのノイズは発生する。
ということで SoundEngine を起動して、加工する wav ファイルと開いてみる。もちろん CD をリッピングしたものが良い。ソースとしてはアコースティックなもの、特にピアノソナタとかギターのような隙間の多い音のものが良い。録音が部屋の響を活かしたものなのか、楽器の胴鳴りを活かしたものか分かるようなものの方が、変化が分かりやすいかと思う。
まずファイルを開いたら即「別名保存」をする。万が一変な加工をしたものを上書き保存してオリジナルを壊しては困るからである。「***_org.wav」とでもしておけばいいだろう。
加工する前にいくつか設定をしておく。
メニューの「設定」のところをクリックしてサブメニューを開き「内部処理を 24bit(化)」にチェックが入っていたら外しておく。ありなしでちゃんと比較したことはないが、16bit データを扱うので余計なことをされては困るからである。

これは極端な例だが、こういうノイズの極小版がデジタルオーディオにはつきまとっていると思ってもらって良い。
ノイズは多いが意外にも原音がそれなりに聞こえていると感じると思うのだが、諸兄はいかがだろうか。なんとなく昔のドルビーや dbx などで聞こえたブリージングに近い感じがする。これらも信号の存在に従ってノイズが出るので聴感上の性質は似たようなのかも知れない。
このままセーブすると「***_org.wav」を壊してしまうので、undo を行っておくか別名保存を忘れないように。


ここまで進んだら一旦別名保存たとえば「「***_15bit.wav」などの名前で保存する。
ここからは本当に必要か定かではないが、一旦「新規作成」を押して画面からデータを消し、「開く」で同じファイルを開く。
今度は、先ほどの音量調整メニューで「音量を 2倍に」を選んで「OK」を押す。これで元の信号振幅に戻ったように一見見える。しかし実際は 16bit だった音声信号の最下位ビットが欠落しており、1bit分の量子化ノイズが増えているはずである。
これは次でも使うので上書き保存でいいと思う。
さて聴いた感じいかがだろうか。
正直 1bit ぐらいだったら、デジタル化するときの誤差ノイズに含まれるし、これの不自然さを防ぐためにディザリングというのをやっているようだから、聞き分けは難しいかも知れない。
それではと、以上の操作を繰り返すと 14bit 版、13bit 版、12ヒbit 版が作成出来るわけだが、みなさんの視聴環境でどの辺りが音質劣化もしくはノイズが気になるだろうか。もし 24bit 版のオーディオファイルをお持ちだったら、同様に試してみると良いだろう。ハイレゾの実力が分かるかも知れない。
手順だが正確に示し切れていない可能性があるので、bit 数を減らしても音の劣化やノイズの増加が分からなくても気を落とさないでいただきたい。念のため。
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1 倍速だからといって安定に再生出来るとは限らない
ということである。これはお手持ちのプレーヤやドライブによって違うので、こうだ!と言い切ることは出来ないが、ちょっと古めの CD プレーヤでどうしてもトラック飛びが発生するなら、PC 搭載の CD-ROM ドライブで再生してみると案外上手く再生出来たりすることがある、かもしれないというだけのことである。リッピングが成功して CD-R に写しておくというのも元が再生出来ない以上、著作権上物議を醸しても言い訳は出来るだろう。(もちろん責任は持ちません)
さて、今回は話が変わってアナログ信号をデジタル信号に変換した場合に必ず発生する量子化ノイズの話である。
前にこんな記事を書いた。
量子化ノイズを作ってみる>デジタルオーディオ
まあ誰もトライしていないだろうし、そもそも専門家でもない人が使うようなツールではないので、紹介程度の話である。
今回はデジタルオーディオを楽しむ人なら聞いたことがあるであろうツールを使って、量子化ノイズというものを確かめてみようと思う。
使うツールは SoundEngine Free である。
これを使って量子化ノイズを増やしてみてどんなノイズが出てくるのか聞いてみようというわけだ。
量子化ノイズってなんだっけ?という方はこちらを。
Wikipediw:量子化誤差
見るのも面倒くさいという人のために、記事上の画像を貼っておきます。(引用:上記 URL)

このノイズの特徴は一般的なアナログ系のノイズ、テープヒスノイズやアンプのノイズ、ワウフラッタなどとは違い、入力信号があってはじめて発生すると云うことにある。従って入力がゼロならどんなに bit 数が粗くても静寂そのものである。もちろんアナログノイズが入ってくるとそれも信号なのでこのノイズは発生する。
ということで SoundEngine を起動して、加工する wav ファイルと開いてみる。もちろん CD をリッピングしたものが良い。ソースとしてはアコースティックなもの、特にピアノソナタとかギターのような隙間の多い音のものが良い。録音が部屋の響を活かしたものなのか、楽器の胴鳴りを活かしたものか分かるようなものの方が、変化が分かりやすいかと思う。
まずファイルを開いたら即「別名保存」をする。万が一変な加工をしたものを上書き保存してオリジナルを壊しては困るからである。「***_org.wav」とでもしておけばいいだろう。
加工する前にいくつか設定をしておく。
メニューの「設定」のところをクリックしてサブメニューを開き「内部処理を 24bit(化)」にチェックが入っていたら外しておく。ありなしでちゃんと比較したことはないが、16bit データを扱うので余計なことをされては困るからである。

まずは序の口ということで、再生タブの中の「ビット」をドロップダウンで開き、「8」を選択してみる。

特にファイルセーブなどは不要でそのまま再生してみると、8bit 量子化に加工されたサウンドを楽しめる。音楽の流れに「ジー、サー」という音が付いてくるのが分かると思う。
これが 16bit を 8bit に減らしてしまった結果現れた「量子化ノイズ」ということになる。これは極端な例だが、こういうノイズの極小版がデジタルオーディオにはつきまとっていると思ってもらって良い。
ノイズは多いが意外にも原音がそれなりに聞こえていると感じると思うのだが、諸兄はいかがだろうか。なんとなく昔のドルビーや dbx などで聞こえたブリージングに近い感じがする。これらも信号の存在に従ってノイズが出るので聴感上の性質は似たようなのかも知れない。
このままセーブすると「***_org.wav」を壊してしまうので、undo を行っておくか別名保存を忘れないように。
次は少しずつピット数を下げてみる。メニュー「音量」-ボリューム「音量調整」を選択すると次のような画面が出るので、「ライブラリー」のドロップダウンリスト「音量を半分に」と選択する。ボリュームのツマミが「-6dB」を指すはずだが、もしかした上手くいかないかも知れない。とりあえず「OK」を押して画面に出てくる波形が半分になったら成功である。

オリジナル波形 半分にした波形


ここからは本当に必要か定かではないが、一旦「新規作成」を押して画面からデータを消し、「開く」で同じファイルを開く。
今度は、先ほどの音量調整メニューで「音量を 2倍に」を選んで「OK」を押す。これで元の信号振幅に戻ったように一見見える。しかし実際は 16bit だった音声信号の最下位ビットが欠落しており、1bit分の量子化ノイズが増えているはずである。
これは次でも使うので上書き保存でいいと思う。
さて聴いた感じいかがだろうか。
正直 1bit ぐらいだったら、デジタル化するときの誤差ノイズに含まれるし、これの不自然さを防ぐためにディザリングというのをやっているようだから、聞き分けは難しいかも知れない。
それではと、以上の操作を繰り返すと 14bit 版、13bit 版、12ヒbit 版が作成出来るわけだが、みなさんの視聴環境でどの辺りが音質劣化もしくはノイズが気になるだろうか。もし 24bit 版のオーディオファイルをお持ちだったら、同様に試してみると良いだろう。ハイレゾの実力が分かるかも知れない。
手順だが正確に示し切れていない可能性があるので、bit 数を減らしても音の劣化やノイズの増加が分からなくても気を落とさないでいただきたい。念のため。

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