前回オーディオではインピーダンスマッチングの必要性はほとんどない、という主旨のことを書いた。書いて有るとおり概ね正しいと思っているのだが、実際は登場する部品が理想な物ではないので、ある程度の配慮が必要になることがある。そこでまずインピーダンスマッチングはどんなときに必要になるかを簡単におさらいしておこうと思う。
前回二つ考えられると書いた。一つは負荷への供給電力を最大にすること、二つ目は伝送経路の歪みを最小限に抑える、である。まず一つ目を考えておきたい。
下のものすごく簡単なモデルで考える。

理想電圧源があって、そこにいわゆる内部抵抗 r を経由して負荷 R に接続されているものとする。現実に仕事をするのは R の部分である。これがモータだったり、電球だったり何かのエネルギー変換をされて利用されるわけだ。
まず内部抵抗 r って何?ということだが、これは一般的には小さいに越したことはない。その方が多少重い負荷に対しても供給電圧が下がることなく印加出来るので、どんどん行け行けといことになる。また本当にゼロならば出力がショートしたって、出力のところで無限の熱が発生するが供給側は発熱がゼロなので痛くもかゆくもない。で、考えるまでもなくそんなことは実際にはないし、ちょっとした乾電池、充電池だって出力をショートしたら発熱し、場合に因っては破裂する。
ということでどんな供給源も内部抵抗=出力抵抗がゼロではないのである。限りなくゼロに近い電源を用意したなら、過電流防止機能をいれないと大変なことになる。
さて、そういった現実的な電圧供給源に対してどういう負荷が最も効率よく電力を供給出来るか確認してみる。
負荷 R での消費電力は以下の式で計算出来る。

PR が最大になるときの R は r との関係でいくつになるかはこれを微分して最大値を求めればいいのだが、ちょっと計算が面倒くさいのでエクセルに計算してもらうことにした。入力が 1(V) とした場合の内部抵抗 r = 1Ω / 2Ω / 3Ω と負荷抵抗 R を 0 ~ 10Ω の時の負荷抵抗での消費電力(仕事量)が以下のようになる。

見ての通り、R = r の時がいずれの場合も最も負荷で消費される電力が大きくなる。あるいは負荷に伝達される電力が大きくなると云ってもいいだろう。
これはオーディオで電力を使うといえばスピーカということになるのだが、それはアンプの出力インピーダンスは非常に小さいということからほとんど考慮の必要がないということが、以上の流れからイメージ出来るだろうか。ただしでは本当にアンプの出力インピーダンスはゼロに近いのか、それはどの周波数でもそうなのか、ということを考え出すと話はどんどん面倒になる。
ここではこれ以上触れないが、先に下のような記事を書いているので、実際のオーディオアンプやスピーカで何が起きているのか考える必要がありそうだ、ぐらいに気に留めておくことにする。
オペアンプで実際にローパスフィルタを作ってみたら
アクティヴフィルタの特性がでない理由をもう少し調べてみる
オーディオ以外にインピーダンスマッチングをもっと重要視しなくてはいけない分野が、通信、伝送系だ。同軸ケーブルのインピーダンスが 50Ω とか 75Ω とかいう言葉を聞いたことがあるかと思う。これは上述の電力を最大効率で伝えると共に伝送歪みを抑えるという意味がある。これについては何かの機会に触れたいと思う。
あっちこっちに話しが動いて分かりづらいと思うが、理想状態のモデルをまず考えてそれから現実との違いを埋めていくという考え方で解説を進めたいと思っている。
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前回二つ考えられると書いた。一つは負荷への供給電力を最大にすること、二つ目は伝送経路の歪みを最小限に抑える、である。まず一つ目を考えておきたい。
下のものすごく簡単なモデルで考える。

理想電圧源があって、そこにいわゆる内部抵抗 r を経由して負荷 R に接続されているものとする。現実に仕事をするのは R の部分である。これがモータだったり、電球だったり何かのエネルギー変換をされて利用されるわけだ。
まず内部抵抗 r って何?ということだが、これは一般的には小さいに越したことはない。その方が多少重い負荷に対しても供給電圧が下がることなく印加出来るので、どんどん行け行けといことになる。また本当にゼロならば出力がショートしたって、出力のところで無限の熱が発生するが供給側は発熱がゼロなので痛くもかゆくもない。で、考えるまでもなくそんなことは実際にはないし、ちょっとした乾電池、充電池だって出力をショートしたら発熱し、場合に因っては破裂する。
ということでどんな供給源も内部抵抗=出力抵抗がゼロではないのである。限りなくゼロに近い電源を用意したなら、過電流防止機能をいれないと大変なことになる。
さて、そういった現実的な電圧供給源に対してどういう負荷が最も効率よく電力を供給出来るか確認してみる。
負荷 R での消費電力は以下の式で計算出来る。

PR が最大になるときの R は r との関係でいくつになるかはこれを微分して最大値を求めればいいのだが、ちょっと計算が面倒くさいのでエクセルに計算してもらうことにした。入力が 1(V) とした場合の内部抵抗 r = 1Ω / 2Ω / 3Ω と負荷抵抗 R を 0 ~ 10Ω の時の負荷抵抗での消費電力(仕事量)が以下のようになる。

見ての通り、R = r の時がいずれの場合も最も負荷で消費される電力が大きくなる。あるいは負荷に伝達される電力が大きくなると云ってもいいだろう。
これはオーディオで電力を使うといえばスピーカということになるのだが、それはアンプの出力インピーダンスは非常に小さいということからほとんど考慮の必要がないということが、以上の流れからイメージ出来るだろうか。ただしでは本当にアンプの出力インピーダンスはゼロに近いのか、それはどの周波数でもそうなのか、ということを考え出すと話はどんどん面倒になる。
ここではこれ以上触れないが、先に下のような記事を書いているので、実際のオーディオアンプやスピーカで何が起きているのか考える必要がありそうだ、ぐらいに気に留めておくことにする。
オペアンプで実際にローパスフィルタを作ってみたら
アクティヴフィルタの特性がでない理由をもう少し調べてみる
オーディオ以外にインピーダンスマッチングをもっと重要視しなくてはいけない分野が、通信、伝送系だ。同軸ケーブルのインピーダンスが 50Ω とか 75Ω とかいう言葉を聞いたことがあるかと思う。これは上述の電力を最大効率で伝えると共に伝送歪みを抑えるという意味がある。これについては何かの機会に触れたいと思う。
あっちこっちに話しが動いて分かりづらいと思うが、理想状態のモデルをまず考えてそれから現実との違いを埋めていくという考え方で解説を進めたいと思っている。

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