いきなり何の話かというと我がマンションの話である。
自分は中規模のマンション住まいだが、どこもそうであるようにエントランスにあるインターフォンと各戸とは回線でつながっていて、エントランスから呼び出しがあったら、当該住居から映像で誰が来たか確認できてドアのロックを外すことが出来る。さらに各戸のインターフォン子機から管理室への緊急連絡、セキュリティ会社への連絡、それ経由での消防への通報などなかなかの防犯防災システムが整っている。出来たのは十年以上前だが当時としてはそれなりの水準だったようだ。

さてシステムはともかく製品、部品には寿命がある。たいていの電気電子機器は 10年が目安と考えられておりそんなもんだろう。で、最近になって各戸での故障が訴えられることが増えてきた。一方元気に動作しているお宅もいる。まあこれも電気電子機器のそれぞれの寿命は当たり外れがあるので仕方がない。またインターフォン自体はすでに製造中止になっており保守期間に入っている。これもまあそういうもんだ。ところが交換部品がなくなってきて対応がだんだん出来なくなってきたという問題が顕在化してきた。しかもエンタランスの親機も怪しくなってきたようである。
では代替え製品に交換したら、ということになるのだが最初に導入した会社はすでにインターフォン事業から撤退しており、外観はともかくとしてそもそも我がマンションに単純に代替え可能な製品がないのである。
ということで親機子機含めて全取っ替えということになり相当な金額が発生することになった。どうしようか、とアンケートを採ると当然のことながら故障していない家もあることからもめる。が、親機が壊れたら本当にアウトだ。結局高い費用を出して時期を見て全取っ替えになった。
そこで私は総会で「ものには寿命があるのだから仕方がないが、次の十年後、二十年後に同じことが起きないように代替え品の維持をメーカとセキュリティ会社に担保させるべきだ」と主張した。さすがに完全な担保は無理だろうが、言い続けないとメーカの都合に振り回されることになるし、マンション内でも壊れていないのに多額の費用(たとえ積立金から払うとはいえ)を負担させられる家庭と壊れてしまって現実問題となっている家庭で軋轢が生じても困る。そういうこともあって前述のような主張をしたのだが付け加えて「それぞれの家庭でだんだん事情が異なってきている。たとえば行動が不自由になっている方などはチャイムへの応答も大変になるのでハンズフリーの機能も欲しくなる。一方で全くそういったものは不要のお宅もある。各自の負担でそういったオプション選択が出来るように標準規格に準じたものを選んで欲しい」と云っておいた。
後者の主張はシステム変更には関係なく、子機の機能で決まるので各家庭の都合で選べるというのがポイントだ。
そもそもなんでこういったインターフォン~防犯防災システムに関して標準規格がないんだ?というのが疑問でちょっと調べてみたが、ありそうでなさそうである。こういったものはセキュリティ会社や管理委託を受けた管理会社が率先して作るべきではないかと思う。

最初の話に戻るが、製品に寿命はある、これは仕方がない。が、システムに寿命があっては困る。少なくとも数十年はあってもらわなくはいけない。マンションとしては管理委託料もセキュリティ会社へも管理会社経由でなにがしか支払っているので、その維持責任も持ってもらわなくてはいけない。一応前述のインターフォン会社が撤退したときも交換部品は抱えてくれていたらしいが、そういう現物問題ではなくてシステム維持のための方策を考えてもらわなくてはいけないのだ。今回も全取っ替えなら管理会社もセキュリティ会社も負担をして欲しいところである。

世の中全体で見ると似たような問題はいくつかあった。
典型的なのは地上波テレビが全面的にデジタル放送になったことだ。これを機会に新しいテレビに買い替えた方も多いと思うが、なかなか金銭的に思うようにいかない方もいたかと思う。さすがにテレビや地デジチューナーを無償提供というわけにはいかなかったが、それでも総務省あたりから各電気会社に対して、「5,000円以下で地デジチューナーを作りなさい」という号令が掛かっていたと聞く。実際アナログからデジタルに変わることで利用者メリットがあるので、多少の出費はやむなしという面があったが、それでもシステム変更に対して関係者それなりに努力はしたのではないかと思う。
一方ひどかったのが 2012年頃だったか携帯電話の方式が変わるから従来のものは使えなくなります、という話だ。折角高いお金を出して買った携帯電話がある時期以降使えなくなるということでまたお金を出して買い替えろ、ということである。そっちの都合で使えなくなるなんてとんでもない、なんとかしろとさんざん毒づいたが結局だめ。一応機種変更手数料は無料です(当たり前だ!!!)ということで受け入れざるを得なかった。よっぽど会社を変えようと思ったが、やめておいた。

システム変更はとにかくお金が掛かる。一方新機能が提案されてくるとハードウェアの買い替え要望も出てくるし、景気の刺激にもなる。それはそれでいいことなのだが、みんながみんなそれを欲していないということも配慮してもらわないと、高齢になって収入が限られてきたときに苦しくなるのである。

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