前回のエピソードの続きである。というよりこちらの方が思い出し笑いの本命である。
よく IT 関連の記事を見ていると「××事件簿」なんていうのがあって、メールでの失敗事例、インターネット検索やダウンロードでの失敗事例などが載っているが、これは十年以上前なので元祖失敗事例といえるだろう。
顧客である A 社の E さんからこちらの M 営業部長宛に質問メールが届いた。確かそのメール自体も A 社内でのやり取りが少し残っているようなものでこれもちょっと危ないのだが、前回のように A 社と T 社は現在抱えている問題を双方の問題として動いているので、多少のことは仕方が無いと思うことにする。なので、M 営業部長へのメールとはいえ双方の技術担当、品質担当、設計部門へも cc:で送られていた。実際にこれらの技術担当が答えるべき内容だからだ。今ならそういうやり方も、という感じだが十数年前のいわゆる失敗事例を蓄えていた時代なのでここまでは呆れるだけで済ませてほしい。
ところが M 営業部長が、そのメールを T 社内の関係者のみであるが再配信した。しかも余計な文言をつけて。
「E さんの上司である技術がわからないと言われている X 設計部長に説明するのに情報が欲しいようです。対応してください」
ちなみに M 営業部長のキャラはいささかお笑い芸人的なところがあったので、こういった表現を織り込むこともたまにある。マジになると結構厳しい人ではあった。とはいえ顧客をネタにするような表現は口頭ならともかく履歴の残るメールに書いた時点でアウトである。それをこちらの H 参事が社内から意見、情報を求めるべくそのまま T 社内に拡散させていた。
T 社内のメールの取り扱いは当時は結構ルーズで、来たメールをそのまま転送したり、何かコメント付けてタイトルも変えずに RE:のまま「全員に返信」などということがままあった。私も少しコメントしたと思う。
H 参事に対しては関係する部門からコメントが出て H 参事がそれらをまとめて元々来たメールに付け加えて M 営業部長へ返信した。
M 営業部長はそれをそのまま一応「技術部門からのコメントです」というような内容を書き足して、E さんへの返信と T 社社内へ配信した。
A 社の E さんはそれを受け取りほぼそのまま A 社内で展開したようである。
私も含めて T 社内の数名が M 営業部長が返信した内容を見て青ざめたのだ。
お気づきだろうか。
M 営業部長が返信した内容は M 営業部長が T 社内に配信した内容に付け加える形で構成されており自分が付け加えた「E さんの上司である技術がわからないと言われている X 設計部長」という文言が、メールの内容をたどっていくと見つかるのである。
A 社の E さんもチェックが行き届かなかったのだろう、まさかとも思わず社内展開してしまったのである。
会社同士の立場によっては出入り禁止になるような失態である。もっとも「E さんの上司である技術がわからないと言われている X 設計部長」というのは事実らしいが。いやそういう問題ではない。
指摘されて気が付いた M 営業部長、真っ青になり例の Y 室長に「やってしまいました...」と報告。当然 Y 室長激怒。「そんな失態聞いたことがない!どうすればいいのかオレにも分からん。自分で片付けろ!」
M 営業部長は腹をくくって X 設計部長に髪の毛がほぼ無くなりかけている頭を叩きながら謝りに行き X 設計部長は憮然とした表情ながらも「まあ、私が笑われても直ってくれればそれでいいですけどね」と大問題にならずにすんだようだ。(多少話が盛ってあるらしい)
最近でもずらずら RE: やら FW: が連なった結構長いメールのやりとりがあったりする。私は返信するときは出来るだけそれらの前に自分の返信内容の要約を一言タイトルに書き足すことにしている。でないと読んでもらえない可能性があるからである。
一年ちょっと前に私が派遣先との契約期間が終わってその会社から外れた後に、一緒に仕事していた新人君からメールが来た。ただタイトルが海外とのやりとりが続いたあとのメールで英文で書かれている上に、FW: で始まっていたのでちょっと放っておいたが、何気に差出人の名前を見たらその新人君で、私の残した仕事に関する質問事項であった。しかも社内メールをそのまま転送していたので経緯が分かってしまう、というもの。質問には答えてあげたが、さすがにそういうメールの出し方はいけない、とアドバイスしておいた。お礼の返信が来て反省しているようではあったが。
今は新人研修などでそういったメールの取り扱いについて教育しているとは思うが、昔はとんでもない事例が結構あった。
仕事にせよプライベートにせよ気をつけなくてはいけないと思う。
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よく IT 関連の記事を見ていると「××事件簿」なんていうのがあって、メールでの失敗事例、インターネット検索やダウンロードでの失敗事例などが載っているが、これは十年以上前なので元祖失敗事例といえるだろう。
顧客である A 社の E さんからこちらの M 営業部長宛に質問メールが届いた。確かそのメール自体も A 社内でのやり取りが少し残っているようなものでこれもちょっと危ないのだが、前回のように A 社と T 社は現在抱えている問題を双方の問題として動いているので、多少のことは仕方が無いと思うことにする。なので、M 営業部長へのメールとはいえ双方の技術担当、品質担当、設計部門へも cc:で送られていた。実際にこれらの技術担当が答えるべき内容だからだ。今ならそういうやり方も、という感じだが十数年前のいわゆる失敗事例を蓄えていた時代なのでここまでは呆れるだけで済ませてほしい。
ところが M 営業部長が、そのメールを T 社内の関係者のみであるが再配信した。しかも余計な文言をつけて。
「E さんの上司である技術がわからないと言われている X 設計部長に説明するのに情報が欲しいようです。対応してください」
ちなみに M 営業部長のキャラはいささかお笑い芸人的なところがあったので、こういった表現を織り込むこともたまにある。マジになると結構厳しい人ではあった。とはいえ顧客をネタにするような表現は口頭ならともかく履歴の残るメールに書いた時点でアウトである。それをこちらの H 参事が社内から意見、情報を求めるべくそのまま T 社内に拡散させていた。
T 社内のメールの取り扱いは当時は結構ルーズで、来たメールをそのまま転送したり、何かコメント付けてタイトルも変えずに RE:のまま「全員に返信」などということがままあった。私も少しコメントしたと思う。
H 参事に対しては関係する部門からコメントが出て H 参事がそれらをまとめて元々来たメールに付け加えて M 営業部長へ返信した。
M 営業部長はそれをそのまま一応「技術部門からのコメントです」というような内容を書き足して、E さんへの返信と T 社社内へ配信した。
A 社の E さんはそれを受け取りほぼそのまま A 社内で展開したようである。
私も含めて T 社内の数名が M 営業部長が返信した内容を見て青ざめたのだ。
お気づきだろうか。
M 営業部長が返信した内容は M 営業部長が T 社内に配信した内容に付け加える形で構成されており自分が付け加えた「E さんの上司である技術がわからないと言われている X 設計部長」という文言が、メールの内容をたどっていくと見つかるのである。
A 社の E さんもチェックが行き届かなかったのだろう、まさかとも思わず社内展開してしまったのである。
会社同士の立場によっては出入り禁止になるような失態である。もっとも「E さんの上司である技術がわからないと言われている X 設計部長」というのは事実らしいが。いやそういう問題ではない。
指摘されて気が付いた M 営業部長、真っ青になり例の Y 室長に「やってしまいました...」と報告。当然 Y 室長激怒。「そんな失態聞いたことがない!どうすればいいのかオレにも分からん。自分で片付けろ!」
M 営業部長は腹をくくって X 設計部長に髪の毛がほぼ無くなりかけている頭を叩きながら謝りに行き X 設計部長は憮然とした表情ながらも「まあ、私が笑われても直ってくれればそれでいいですけどね」と大問題にならずにすんだようだ。(多少話が盛ってあるらしい)
最近でもずらずら RE: やら FW: が連なった結構長いメールのやりとりがあったりする。私は返信するときは出来るだけそれらの前に自分の返信内容の要約を一言タイトルに書き足すことにしている。でないと読んでもらえない可能性があるからである。
一年ちょっと前に私が派遣先との契約期間が終わってその会社から外れた後に、一緒に仕事していた新人君からメールが来た。ただタイトルが海外とのやりとりが続いたあとのメールで英文で書かれている上に、FW: で始まっていたのでちょっと放っておいたが、何気に差出人の名前を見たらその新人君で、私の残した仕事に関する質問事項であった。しかも社内メールをそのまま転送していたので経緯が分かってしまう、というもの。質問には答えてあげたが、さすがにそういうメールの出し方はいけない、とアドバイスしておいた。お礼の返信が来て反省しているようではあったが。
今は新人研修などでそういったメールの取り扱いについて教育しているとは思うが、昔はとんでもない事例が結構あった。
仕事にせよプライベートにせよ気をつけなくてはいけないと思う。

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