同じような問題の解説が続いているが、字数の都合でタイトルをちょっと変えました。
論理ゲート回路の問題の解説を続けたいと思います。

下図はディジタル技術検定 3 級第 51 回の (7) である。
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ド・モルガンの法則を適用して論理式を書き換えてゲート素子で表現せよ、ということなのでまずはド・モルガンの法則のおさらいをしておく。
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で、ここでは上の式の右辺が A、B ともに否定であるので、下の式の A、B をそれぞれ否定にすれば良い。下の式ではすでに否定にされているので、否定の否定は肯定ということで右辺は A・B ということになる。左辺は X の否定になるので式としてはこうなる(X' は X の否定を表す)
X' = A・B

ゲート素子の端子についている小さな ○ は否定を表すので、A と B の AND 演算した後否定して出力する素子、つまり NAND 素子である(4)を選ぶ。

ド・モルガンの法則の応用は試験でもやたら出てくるので、演習の数はこなしておきたい。

下図はディジタル技術検定 3 級第 51 回の (8) である。
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奇妙な回路だが、順を追って考えることにする。といってもたいした話ではなくて、

X = A・Z
Z = (X + A)'

' は先ほどと同じように否定を表す。'+' はここでは論理和である。符号論の時は排他的論理和を表すので注意。

という論理回路になっているので、これを A もしくは '0' または '1' で表せば良い。
普通に代入などをしながら解いてみる。

Z = (X + A)'
  = X'・A' ← ド・モルガンの法則の適用

よって、

X = A・X'・A'
  = 0  ← 上式で A・A'となっているので、X' に無関係に '0' になる。


Z = (0 + A)'
  = A' ← 上式で 0 + A となっているのでカッコ内は常に A である。

全然実用性のない回路である。フィードバックが掛かっているように見えるのでラッチかと思いきやまったくそうではない。このようなパズル、引っかけ的な問題はどうかと思う。

下図はディジタル技術検定 3 級第 51 回の (9) である。
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ちょっとした IC の内部ブロックをみたことがある人はすぐ分かるだろう。
問題図にもヒントがちゃんと書いてあるが、要するに入力信号を A と B の組み合わせでどこの出力に伝えるかという回路である。ということで(2)デマルチプレクサということになる。
A = 0, B = 1 の時は回路図を追っていって、3 入力 AND ゲートの入力信号以外の部分の両方が '1' になっているものを捜す。単純に考えてよく、3 の(3)になる。
では、選ばれていない出力はどうなっているかというと、3 入力 AND ゲートのいずれかが '0' なので、出力は常に '0' である。
ここでは 2 論理回路を扱っているので、もし '0' ならそれなりに意味があるという使い方をしてしまうと、「入力信号として '0' が入ってきた」となってしまうかも知れない。入力信号がクロックのような変化することを前提にしたデマルチプレクサである。まあ、通常は入力信号は必要なときだけたとえばアナログ回路を動かすように '1' にセットするにしておいて、出力をアナログスイッチの制御端子につないで、4 つのスイッチのうちのどれかをつなぎたいときに A と B で選択する、ということになるのだろう。
入力信号がクロックやシリアルデータで、供給先を変えたい場合は、A も B も切り替わりタイミングよっては出力に予期せぬ値が一瞬発生するので注意が必要である。

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