下図はディジタル技術検定 3 級第 52 回の (4) である。

パルスに関する用語の問題である。矩形パルスといったって、時間 0 で立ち上がるわけではなし波形だって歪むだろうし、どこを測れば良いのか、あるいは調整者に対して指示を出すときに細かく指定しておかないと調整を誤ったりする。そこで用語の定義は大事である。
さて図の場合は、条件の方が整っているので普通に考えて選択肢から用語を選べば良い。
w{s} はパルス波形の底値とレベルが上がったときの平坦値の 50% の立ち上がりと立ち下がりの時間を示しているのでパルス幅ということになる。w = width であろう。
t{r} は底値とレベルが高いところの平坦値との 10% と 90% の時間を示しており、立ち上がり時間を示している。r = rising である。
ちなみに t[f] は立ち下がり時間になる。f = falling ということである。
「有効幅」はよく分かりません。
仮にパルス波形がオーバーシュートを持っていたり、極端にゆっくりだと平坦部分のレベルの取得が難しいが、この辺りはある程度波形を見て自分なりに決めるしかないようだ。
また、立ち上がり時間の測定はいちいち 10%、90% のタイミングを探さなくてはいけないが、最近のデジタルオシロは 'Low' と 'High' の平坦部分にカーソルを当てておくと自動的に検出できる物もあるので上手に活用したい。
下図はディジタル技術検定 3 級第 51 回の (4) である。

CR フィルタ回路でこの場合は HPF = ローカットと呼ばれる回路だ。ここに図のようなパルスを入れたらどうなるか、ということである。パルスのパラメータにレベルは書いていない。出力波形の形を問うだけだから関係ないと言えばない。だが仮にも工学的技術問題であるならば、信号レベルぐらい書いておくべきだろう。単に暗記しておけば良いという問題であってはならないと思う。ついでに回路にも基準電位が書いていない。四端子回路なので図の下側がグランドということで解釈していいと思うが、もちろん他のレベルでも構わない。
さて、回路自体はローカット = DC カットなので出力には直流成分はない。といってもある程度の時間幅の中で直流分がないと云うだけで回路によっては収束するまでに時間が掛かる。その回路定数と入力信号の DC レベル区間との比較の問題ともいえる。
選択肢の波形を一つ一つ見てみよう。
(1)はまさにパルスのレベルが変化した瞬間だけ出力電圧が発生するがその後はコンデンサによって直流がカットされるので、どこかのレベルに収束している状況を表している。パルスが立ち下がったときは、その収束したレベルから立ち下がったというレベル変化が起きてその後特定のレベルに落ち着く、ということでローカットの特性を示している。
(2)にも上記の痕跡が現れていることが分かるだろうか。もしもっとパルス幅が広ければ特定の値に収束することが期待されそうな波形である。
(3)は逆で時間は掛かれど入力のパルス波高値にたどり着こうとしている波形である。これはローカットではない。
(4)も同様でその時間が非常に掛かっていて、パルス幅がもっと広ければパルスの波高値に到達すると期待される。
ということで解答は(1)か(2)である。ではパルス幅と回路との応答速度の比較と云うことになる。
回路の時定数を見てみると、T = CR = 0.01uF x 10kΩ = 0.1ms となる。この形の HPF の時定数とは波高値から 37% にまで落ちるときまでの時間を表している。37% とは e^(-1) のことで時定数を語るときは必ず出てくるので覚えておくと良い。1 - e^(-1) の 63% の方が出番が多いかも知れないが。
ついでに uF と kΩ の積は ms という桁の計算も慣れておくと実際に波形を見るときに見当違いの波形が出ていないかどうかの判断に使える。
ということで、0.1ms で波高値から 37% まで落ちてしまうことを考えると(2)には見えない。ということで(1)が正解となる。
念のためシミュレーション結果を示しておく。


ちなみにコンデンサの容量を 1uF にすると(2)のような波形になる。

下図はディジタル技術検定 3 級第 50 回の (3) である。

パルスと繰り返し周波数に関する用語についての問題なので特に難しいところはないと思うが、正弦波の振幅は最大値と中央値の差であるのに対して、パルスの場合は最大値と最小値になるということだ。パルス幅もレベルが高い方の幅を表す。この問題は低い方も高い方も同じ幅なので問題は無いが、設問が何を聞いているかは解く前にチェックしよう。
振幅 = 4V、パルス幅 = 1ms、繰り返し周波数 = 0.5kHz
下図はディジタル技術検定 3 級第 48 回の (4) である。

入力信号に対する出力信号の波形を見て、回路の機能を選べと云うことだが第 51 回 (4) と同じなので、HPF と答えたいところだが選択肢にない。出題者は「(4)微分回路」と答えさせたいようだが、微分回路というのは存在し得ない。それに本当に微分してしまったら、出力波形のピーク値は無限大であり幅は無限小である。従って譲って疑似微分である。伝達関数で書くと、s / (1 + s) である。工学的には微分といっても構わないが(実存しないので慣例的に疑似微分を表している)こういった検定問題でこの用語を使うのは感心しない。DC カットか HPF か疑似微分回路であろう。
とはいっても不満ながら(4)を選ぶ。
一気にやってしまったが、パルスに関してはここ 5 回では以上のようだ。
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パルスに関する用語の問題である。矩形パルスといったって、時間 0 で立ち上がるわけではなし波形だって歪むだろうし、どこを測れば良いのか、あるいは調整者に対して指示を出すときに細かく指定しておかないと調整を誤ったりする。そこで用語の定義は大事である。
さて図の場合は、条件の方が整っているので普通に考えて選択肢から用語を選べば良い。
w{s} はパルス波形の底値とレベルが上がったときの平坦値の 50% の立ち上がりと立ち下がりの時間を示しているのでパルス幅ということになる。w = width であろう。
t{r} は底値とレベルが高いところの平坦値との 10% と 90% の時間を示しており、立ち上がり時間を示している。r = rising である。
ちなみに t[f] は立ち下がり時間になる。f = falling ということである。
「有効幅」はよく分かりません。
仮にパルス波形がオーバーシュートを持っていたり、極端にゆっくりだと平坦部分のレベルの取得が難しいが、この辺りはある程度波形を見て自分なりに決めるしかないようだ。
また、立ち上がり時間の測定はいちいち 10%、90% のタイミングを探さなくてはいけないが、最近のデジタルオシロは 'Low' と 'High' の平坦部分にカーソルを当てておくと自動的に検出できる物もあるので上手に活用したい。
下図はディジタル技術検定 3 級第 51 回の (4) である。

CR フィルタ回路でこの場合は HPF = ローカットと呼ばれる回路だ。ここに図のようなパルスを入れたらどうなるか、ということである。パルスのパラメータにレベルは書いていない。出力波形の形を問うだけだから関係ないと言えばない。だが仮にも工学的技術問題であるならば、信号レベルぐらい書いておくべきだろう。単に暗記しておけば良いという問題であってはならないと思う。ついでに回路にも基準電位が書いていない。四端子回路なので図の下側がグランドということで解釈していいと思うが、もちろん他のレベルでも構わない。
さて、回路自体はローカット = DC カットなので出力には直流成分はない。といってもある程度の時間幅の中で直流分がないと云うだけで回路によっては収束するまでに時間が掛かる。その回路定数と入力信号の DC レベル区間との比較の問題ともいえる。
選択肢の波形を一つ一つ見てみよう。
(1)はまさにパルスのレベルが変化した瞬間だけ出力電圧が発生するがその後はコンデンサによって直流がカットされるので、どこかのレベルに収束している状況を表している。パルスが立ち下がったときは、その収束したレベルから立ち下がったというレベル変化が起きてその後特定のレベルに落ち着く、ということでローカットの特性を示している。
(2)にも上記の痕跡が現れていることが分かるだろうか。もしもっとパルス幅が広ければ特定の値に収束することが期待されそうな波形である。
(3)は逆で時間は掛かれど入力のパルス波高値にたどり着こうとしている波形である。これはローカットではない。
(4)も同様でその時間が非常に掛かっていて、パルス幅がもっと広ければパルスの波高値に到達すると期待される。
ということで解答は(1)か(2)である。ではパルス幅と回路との応答速度の比較と云うことになる。
回路の時定数を見てみると、T = CR = 0.01uF x 10kΩ = 0.1ms となる。この形の HPF の時定数とは波高値から 37% にまで落ちるときまでの時間を表している。37% とは e^(-1) のことで時定数を語るときは必ず出てくるので覚えておくと良い。1 - e^(-1) の 63% の方が出番が多いかも知れないが。
ついでに uF と kΩ の積は ms という桁の計算も慣れておくと実際に波形を見るときに見当違いの波形が出ていないかどうかの判断に使える。
ということで、0.1ms で波高値から 37% まで落ちてしまうことを考えると(2)には見えない。ということで(1)が正解となる。
念のためシミュレーション結果を示しておく。


ちなみにコンデンサの容量を 1uF にすると(2)のような波形になる。

下図はディジタル技術検定 3 級第 50 回の (3) である。

パルスと繰り返し周波数に関する用語についての問題なので特に難しいところはないと思うが、正弦波の振幅は最大値と中央値の差であるのに対して、パルスの場合は最大値と最小値になるということだ。パルス幅もレベルが高い方の幅を表す。この問題は低い方も高い方も同じ幅なので問題は無いが、設問が何を聞いているかは解く前にチェックしよう。
振幅 = 4V、パルス幅 = 1ms、繰り返し周波数 = 0.5kHz
下図はディジタル技術検定 3 級第 48 回の (4) である。

入力信号に対する出力信号の波形を見て、回路の機能を選べと云うことだが第 51 回 (4) と同じなので、HPF と答えたいところだが選択肢にない。出題者は「(4)微分回路」と答えさせたいようだが、微分回路というのは存在し得ない。それに本当に微分してしまったら、出力波形のピーク値は無限大であり幅は無限小である。従って譲って疑似微分である。伝達関数で書くと、s / (1 + s) である。工学的には微分といっても構わないが(実存しないので慣例的に疑似微分を表している)こういった検定問題でこの用語を使うのは感心しない。DC カットか HPF か疑似微分回路であろう。
とはいっても不満ながら(4)を選ぶ。
一気にやってしまったが、パルスに関してはここ 5 回では以上のようだ。

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