下図はディジタル技術検定 3 級第 51 回の (3) である。

ほとんど用語の定義を聞いているような問題である。
NPN のトランジスタに対してはベース電流、コレクタ電流が流れ込む方向、エミッタ電流は出ていく方向なので Ie = Ib + Ic でよく、桁を間違えないように計算すれば良い。この場合は、2.0mA + 0.01mA(= 10uA)ということで、2.01mA である。
電流増幅率はこの場合は単純に Ic / Ib でよい。すなわち 200 である。
基本的な知識なので必ず覚えておきたい。
下図はディジタル技術検定 3 級第 49 回の (3) である。

トランジスタの動作領域は 3 つに分けて考える。
・遮断領域
・能動領域
・飽和領域
この 3 つの領域の使い方だが、いわゆる増幅器として使う場合は「能動領域」を使う。スイッチング動作を行う場合は「遮断領域」と「飽和領域」を交互に行き交うことになる。それらの境界線はちょっとグレーなところがあり、「遮断領域」と「能動領域」の境目付近では、スイッチング動作としては「ロス電力」(第 53 回で解説しました)になるし、増幅器としては「歪みの発生」が起きる。「能動領域」と「飽和領域」の境目付近でも同様である。
適当な定数を選んで具体的に見てみることにする。
回路図はこれである

入力電圧を 0V から 1.5V までゆっくり変化させて見ると、以下のような DC 特性が得られた。横軸は Vin である。

トランジスタのベースには入力電圧の上昇に伴って抵抗を通して電圧は印加されているが、最初のうちはベース電流はほとんど流れていない。この状態を「遮断領域」と云う。ここではコレクタ電流も流れないので、コレクタ電位は電源電圧そのままで 5V である。入力電圧が約 0.5V = ベース電圧 500mV)になって始めてベース電流が流れ出し、コレクタ電流も hFE に従って流れ出すことで、コレクタ電圧が下がってくる。図で傾斜を持っている区間を「能動領域」といい増幅作用を持たせることが出来る。ここでは測っていないが、Ib の傾斜と Ic の傾斜の比が電流増幅率であり、 Vb と Vc の傾斜の比が極性は反転するが電圧増幅率という。
さらに入力電圧が上がると、コレクタ電流は電源電圧とコレクタ抵抗の比で決まる最大コレクタ電流を越えることが出来なくなり、コレクタ電位はほぼゼロになる。ここを「飽和領域」という。この図ではだいたい入力電圧 = 0.95V ぐらいでその領域に入る。
ということで問題に戻って、[4]は電流増幅作用、[5]は電圧増幅作用、[6]はスイッチング作用となる。
トランジスタに関する問題はここ 5 年間でこれだけのようだ。
このブログの書庫「やさしく考えるアナログ回路設計」でもいくつか記事にしているので、参考にして欲しい。より専門的に理解を深めたいのであれば、解析的な解説を書いた本はたくさん有るのでそちらを見ていただきたい。そういった本に対して閾が高そうと感じた人への手助けになれば幸いである。
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ほとんど用語の定義を聞いているような問題である。
NPN のトランジスタに対してはベース電流、コレクタ電流が流れ込む方向、エミッタ電流は出ていく方向なので Ie = Ib + Ic でよく、桁を間違えないように計算すれば良い。この場合は、2.0mA + 0.01mA(= 10uA)ということで、2.01mA である。
電流増幅率はこの場合は単純に Ic / Ib でよい。すなわち 200 である。
基本的な知識なので必ず覚えておきたい。
下図はディジタル技術検定 3 級第 49 回の (3) である。

トランジスタの動作領域は 3 つに分けて考える。
・遮断領域
・能動領域
・飽和領域
この 3 つの領域の使い方だが、いわゆる増幅器として使う場合は「能動領域」を使う。スイッチング動作を行う場合は「遮断領域」と「飽和領域」を交互に行き交うことになる。それらの境界線はちょっとグレーなところがあり、「遮断領域」と「能動領域」の境目付近では、スイッチング動作としては「ロス電力」(第 53 回で解説しました)になるし、増幅器としては「歪みの発生」が起きる。「能動領域」と「飽和領域」の境目付近でも同様である。
適当な定数を選んで具体的に見てみることにする。
回路図はこれである

入力電圧を 0V から 1.5V までゆっくり変化させて見ると、以下のような DC 特性が得られた。横軸は Vin である。

トランジスタのベースには入力電圧の上昇に伴って抵抗を通して電圧は印加されているが、最初のうちはベース電流はほとんど流れていない。この状態を「遮断領域」と云う。ここではコレクタ電流も流れないので、コレクタ電位は電源電圧そのままで 5V である。入力電圧が約 0.5V = ベース電圧 500mV)になって始めてベース電流が流れ出し、コレクタ電流も hFE に従って流れ出すことで、コレクタ電圧が下がってくる。図で傾斜を持っている区間を「能動領域」といい増幅作用を持たせることが出来る。ここでは測っていないが、Ib の傾斜と Ic の傾斜の比が電流増幅率であり、 Vb と Vc の傾斜の比が極性は反転するが電圧増幅率という。
さらに入力電圧が上がると、コレクタ電流は電源電圧とコレクタ抵抗の比で決まる最大コレクタ電流を越えることが出来なくなり、コレクタ電位はほぼゼロになる。ここを「飽和領域」という。この図ではだいたい入力電圧 = 0.95V ぐらいでその領域に入る。
ということで問題に戻って、[4]は電流増幅作用、[5]は電圧増幅作用、[6]はスイッチング作用となる。
トランジスタに関する問題はここ 5 年間でこれだけのようだ。
このブログの書庫「やさしく考えるアナログ回路設計」でもいくつか記事にしているので、参考にして欲しい。より専門的に理解を深めたいのであれば、解析的な解説を書いた本はたくさん有るのでそちらを見ていただきたい。そういった本に対して閾が高そうと感じた人への手助けになれば幸いである。

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