下図はディジタル技術検定 3 級第 52 回の (2) である。
イメージ 1

過去問題では、交流信号の複素表現やベクトル表現も出ていたが、今回は時間領域での問題である。語彙知識も問われている。
さて、グラフであるが最近のデジタルオシロだとトリガータイミングを時刻ゼロとするとトリガー以前の信号も見られるので、それを意識したかどうかはともかく、過去にさかのぼった図になっている。昔だったらこのような波形は見ることが出来ない。
だが、通常の数学では横軸は x なのでプラスもマイナスもある。そう思えば最近の技術者はこういった波形を素直に見ることが出来るのかも知れない。実は私は少々気持ちが悪い感じなのである。

問題に戻るが、見ての通りの三角関数波形である。正弦波か余弦波かはこの情報だけでは分からないが、選択肢の中に余弦波はないので、問い(ア)は正弦波である。
直流信号とは違って交流信号は色々な典型的な種類がある。まずは基本知識をウィキペディアで確認しておこう。

ウィキペディア「交流」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E6%B5%81

ここからの引用になるが、典型的な波形の名称は以下のようになる。
イメージ 2
Sine:正弦波Square:矩形波Triangle:三角波Sawtooth:のこぎり波

(イ)は実効値が 100V の場合の最大値を聞いているわけだが、これは以下の式で表せる。
イメージ 3
Em は波高値である。ここでが E が 100V だといっているので、それの 2^(1/2) = 1.41421356 倍ということで 141V が正解となる。
その他ウィペディアには「平均値」など過去に出題された用語も書いてあるので覚えておこう。実は過去問題を解いたとき私も「え、交流信号の平均値て 0 じゃないの?」と思って選択肢を見たら「0」がなかったので、「なら、多分半サイクルの平均だろう」と思って計算し直したことがある。ちゃんと用語と定義は押さえておきたい。他にも Vp-p = ピーク to ピーク などという云い方もする。
では問題です。「この波形の最小値はいくつになりますか?」

(ウ)は、t = 0 の時にこの正弦波が 0 になる波形と比較して位相はどうなっているか、という問題である。メモリをみると e = 0 となる時刻は t 座標上の -π / 2 より一メモリプラス側 = (t = 0より二メモリマイナス側)にあるのが分かる。一メモリはこの交流波形に対してどうなっているかというと、12 メモリで一周期 = 2π なので二メモリは 2 x 2π / 12 = π / 3 であることが分かる。この値自体は問題文に含まれているので、位相として遅れているのか進んでいるのかを判断すればよい。で、この場合は通常の正弦波(e = A sinBt:A > 0, B > 0)に対してどうかということで、時刻がマイナス側に正弦波の e = 0 にあることから「進んでいます」と答える。

(エ)はこの波形の関数式を求めることになる。(イ)で最大値、(ウ)で位相が求まったので、それらの情報から e = Em sin(ωt + φ)の形にすればよく、(1)を選ぶ。
ちなみに正弦波信号振幅は、最大値で表す(オフセットがない場合)。ピーク to ピークではないので注意しよう。

なぜ実効値で一般的に表現するか?これは純抵抗負荷に交流信号を与えたときに負荷で消費される平均電力を求めるのに、(実効値)^ 2 / (抵抗値) で簡単に求まるという特徴がある。計算して確認してみて下さい。三角関数の倍角の公式を使います。

交流信号とその性質に関する過去問題を引き続き解説する予定だが、こちらのサイトも一度眺めておくとよい。

公益社団法人 日本電気技術者協会

http://www.jeea.or.jp/course/01.html

イメージ 4← にほんブログ村「科学」-「技術・工学」へ
 ↑ クリックをお願いします。