下図はディジタル技術検定 3 級第 51 回の (1) である。
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形は変われどオームの法則を用いて解く。
第 52 回と違うのは、二つの未知数 r と E があって、二つの条件変数 R、VR(ここでは A と B の電位差とした)の組み合わせも二つあることから、連立方程式になるだろうと予想される。
問題文の条件を図示化すると以下の二つの図になる。

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あとはお分かりだろう。以下のようにそれぞれの R、VR に対して r と E についての連立方程式が成立し、解くことが出来る。あまり解説は必要ないだろう。

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では、これを解くことにどんな実践的応用があるかというと下図を見てもらうと分かる。要は出力インピーダンスを求めていると云うことである。

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左側の三角形は一般的なアンプだったり CMOS ゲートだったり、ラインドライバーだったりと、とにかく電圧、信号を供給するものを考える。たとえば I/F などに使われるラインドライバーは 50Ωと称しているがそれは本当かとか、あるいは CMOS ゲートでケーブルを駆動するが、出力インピーダンスがどうなのかわからないので、外付けに何Ωの抵抗を入れればいいか調べる、といった応用ができる。ぶっちゃけ RL が r に等しければ RL がなし = ∞ に比べて半分になるので、それでもいい。が、それは結構 IC に負担を掛けるので、RL を 2 種類準備してこの問題のような方法で求めることができる。
アナログ系アンプも同様で、交流信号の振幅が RL によってどう変化するか、周波数によってどう変化するかをこの方法で測定しておくと、アンプの能力が分かる。

オペアンプの場合のアンプの出力インピーダンスの周波数特性などが起こしうる問題として、以下のような記事を書いた。

ローパスフィルタがノイズっぽいんですけど!??
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/9718752.html

オペアンプで実際にローパスフィルタを作ってみたら
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/8064313.html

リアルのアクティヴフィルタで何が起こる!?

http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/10392328.html

こういったトラブルを未然に防ぐためにも、スペックシートを確認することはもちろんとして、この問題のような手法であまり話題にならないデジタル系の CMOS ゲートや LSI の端子の出力インピーダンスを調べておくとよい。

ついでにさらに過去問を見ておこう。

下図はディジタル技術検定 3 級第 50 回の (1) である。
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ぱっと見、変な形をしているが冷静に回路を書き換えると以下のようになって、前回解説した第 52 回のものと同じ形になった。

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数値的にはこちらの方が解きやすく、R1 // R3 は同じ値なので半分の 40Ωであることがすぐ分かる。そうすると R2 と今の合成抵抗 40Ωで 80V が 1 / 2 に分圧されていることがすぐに分かるので、R3 の両端の電圧は 40V となり電流はオームの法則により、40 / 80 = 0.5A というわけだ。
第 48 回も数値が違うだけで第 52 回と同じ形の問題が出ていた

第 49 回の以下のようであった。
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オームの法則と云うよりは、合成抵抗を求める問題なのでたいしたことはないと思うが、注意しなくてはいけないのは 3 個以上の並列接続は(抵抗の積)/(抵抗の和)というわけにはいかないので、

1/R = 1/R1 + 1/R2 + 1/R3 ・・・ 1/Rn

から愚直に解くことになる。今回は幸いにも同じ抵抗が 3 本並列になっているの、その値を 1 / 3 にすれば良い。
直列の方は和を計算するだけである。

第 47 回は第 51 回と同じような問題だった。
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ただし負荷が抵抗でなく負荷に流れている電流で表現されている。なのでそれぞれの条件で負荷抵抗をオームの法則で求めてからやると、第 51 回と同様に連立方程式を立てて解くことになる。ただし求める物は r ではなくて「無負荷時の端子電圧」 = E である。
また、いちいち負荷抵抗を計算しなくても、「流れている電流」x r の分だけ端子電圧はドロップすることを考えて、連立方程式を立てることも出来る。

以上で、3 級で出てきた「オームの法則」に関連する問題の解説をしてみたが参考になっただろうか。間違い、わかりにくいところ、質問などがあったらコメントして下さい。

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