前回 2SC1815 を使って x10 の増幅器を作ってみて、ベースの抵抗値をどの辺りにするかをあれこれやってみたところ、68KΩが無難、という乱暴な結果で閉めてしまいました。しかしトランジスタの特性もなかなか手強い相手で、小信号用といったところで品種は山のようにあり、さらにそれぞれの品種に hfe でランク分けされているもんですから、前回の値で本当に何とかなるのかどうか心配です。
そこで今回は LTspice の元々のライブラリにあった同品種ランク違いのものを使って比較してみることにしました。
ローム社の BCW60A と BCW60D を使います。末尾が B と C のものもありますが、hFE としては最小が A:120 で 最大が D:500 なので、やってもこの間だろうということで省略します。
BCW60A の回路図はこれです。R4 は 前回同様 56KΩ、62KΩ、68KΩ、75KΩ、82KΩ、91KΩ となっています。

Vc と Ve に絞って、結果を表示しました。

BCW60D の回路図はこれです。以下同様です。


どうでしょうか。hFE が 120 の A ランクの方が抵抗の違いに対する波形への影響(クリップの度合い)が小さいようです。これは当然と云えば当然で、hFE が高ければベース電流がちょっと上がっただけでトランジスタとしてリニア領域を越えてしまうからです。では D ランクの方が使いにくいかというとそういうわけではなくて、R4 をもっと小さい範囲で振れば良いと云うことです。
とはいうもののちょっとやってみた感じでは、クリチカルな印象を持ちますね。
さて、トランジスタの hFE は高ければ高いほど性能が良さそうな印象を持っていましたが、リニア領域で使う場合はちょっとデリーケートなのかも知れません。x10 ぐらいの増幅度であれば低めの方がルーズに設計できそうです。
実際の利得と周波数特性を比較しておきます。R4 は 68KΩ固定です。

さすがに hFE の高い方が 1dB ほど利得が高く出ています。このくらいのメリットは出てくれないと面白くありません。
あとグラフの左側で見づらいですが、D ランクの方が低域まで伸びているようです。これは前回説明したベースの等価入力インピーダンスが、R2 x hFE なので C2 とベースノードにつながっている合成抵抗による HPF のカットオフ周波数が下がっているものと思われます。その分、安価な入力コンデンサを使えるかも知れません。
実際の設計では、以上のようなトランジスタの特性とそれによる影響を把握しながら、安定に動作できる落としどころを探ることになります。一品物なら波形を見ながら合わせれば良いですし、量産品ならば全部が 100点満点でなくても粒が揃っていて、安く作れる方がよい、ということです。
そこで今回は LTspice の元々のライブラリにあった同品種ランク違いのものを使って比較してみることにしました。
ローム社の BCW60A と BCW60D を使います。末尾が B と C のものもありますが、hFE としては最小が A:120 で 最大が D:500 なので、やってもこの間だろうということで省略します。
BCW60A の回路図はこれです。R4 は 前回同様 56KΩ、62KΩ、68KΩ、75KΩ、82KΩ、91KΩ となっています。

Vc と Ve に絞って、結果を表示しました。

BCW60D の回路図はこれです。以下同様です。


どうでしょうか。hFE が 120 の A ランクの方が抵抗の違いに対する波形への影響(クリップの度合い)が小さいようです。これは当然と云えば当然で、hFE が高ければベース電流がちょっと上がっただけでトランジスタとしてリニア領域を越えてしまうからです。では D ランクの方が使いにくいかというとそういうわけではなくて、R4 をもっと小さい範囲で振れば良いと云うことです。
とはいうもののちょっとやってみた感じでは、クリチカルな印象を持ちますね。
さて、トランジスタの hFE は高ければ高いほど性能が良さそうな印象を持っていましたが、リニア領域で使う場合はちょっとデリーケートなのかも知れません。x10 ぐらいの増幅度であれば低めの方がルーズに設計できそうです。
実際の利得と周波数特性を比較しておきます。R4 は 68KΩ固定です。

さすがに hFE の高い方が 1dB ほど利得が高く出ています。このくらいのメリットは出てくれないと面白くありません。
あとグラフの左側で見づらいですが、D ランクの方が低域まで伸びているようです。これは前回説明したベースの等価入力インピーダンスが、R2 x hFE なので C2 とベースノードにつながっている合成抵抗による HPF のカットオフ周波数が下がっているものと思われます。その分、安価な入力コンデンサを使えるかも知れません。
実際の設計では、以上のようなトランジスタの特性とそれによる影響を把握しながら、安定に動作できる落としどころを探ることになります。一品物なら波形を見ながら合わせれば良いですし、量産品ならば全部が 100点満点でなくても粒が揃っていて、安く作れる方がよい、ということです。