前回までのトランジスタ増幅器は 3倍を目標とするものでした。とは云っても諸般の都合でやや下がってしまいますし、負荷を付ければ、さらに下がってしまうのは前に確認したとおりです。
負荷の件はあとで触れるとして、まずは 10倍に増幅率を上げてみようと思います。
回路図はこれです。

こういう形式の増幅率は R1 / R2 でだいたい決まります。
で、制限事項を先におさらいしておきます。
・帯域の下限は入力コンデンサ C2 と R3 // R4 // (R2 * hFE) で決まる。
・帯域の上限はトランジスタの性能と実装と各部品の数値ではなく品質。
・トランジスタのコレクタ電流は最低で 10uA ぐらい、よって出力の最大電位は 4.9V、エミッタの 最小電位は 0.01V は 確保したい。(前の記事ではもう一桁大きくしていました。あくまでも
目安です)
・コレクタ電流が最大になったときのエミッタ-コレクタ間電位差は 0.6V ぐらいは確保して
おきたい。
上述の中ではじめて出てくる表現があります。R2 * hFE です。これは大ざっぱな換算値ですが、エミッタに抵抗が入っていてリニア動作している場合は、その前の回路から見ると入力インピーダンスが R2 * hFE に等価的に見えるという意味です。ですのでこの場合は、1KΩ x 100 で 100KΩ ぐらいに見えます。あくまでも目安です。
ここではあまり本質ではないですが、入力源からみるとトランジスタのベースは C2 と 上述の合成抵抗で構成される HPF で周波数特性が決まります。ここでは 4Hz ぐらいになっています。
波形はこうなりました。

注目するところは、Vc と Ve との差でしょうか。上から 2番目になります。もっとも近づいて 0.3V なので、ちょっと近いかなというところです。また一番下の Vc を見てもらうと分かるように最大値が 3.4V ぐらいなので余裕がありそうです。
周波数特性はこうです。20dB 目標に対して 19dB、-3dB の周波数は 4.5MHz でした。

そこで、R4 を振って Vc - Ve が 0.6V 以上あってかつ出力振幅にも余裕がある抵抗値を捜してみます。抵抗値は 24系列から選んで見ました。それぞれ色分けして、56KΩ、62KΩ、68KΩ、75KΩ、82KΩ、91KΩ となっています。

抵抗値が小さいとベース電流は減少しますので、エミッタ電位は下がりコレクタ電位は上がります。56KΩ だとエミッタ電位の最小値は 50mV を下回るので、トランジスタがアクティブに動作しているのか怪しそうです。逆に 91KΩ と大きいとベース電流は上昇しますので、コレクタ電流が上昇し飽和領域に近づいてしまっています。
82KΩ と 75KΩ の間で電位が急変していることを考えると(330KΩ の影響もあるのでこの発想は短絡的ですが、68KΩぐらいにしておくと無難かな、といったところでしょうか。
念のため 68KΩ にして、Analog Discovory で測定してみました。入力は 10KHz、±0.3V です。
エミッタ電位は 200mV / div、オフセット -400mV。
コレクタ電位は 1V / div、オフセットは -1V。
コレクタ-エミッタ電位差は、2V / div、オフセットは -10V です。見づらくて済みません。

利得は低めになってしまっていますが、エミッタ電位は最小 46mV とちょっと頼りないかな、とかでもエミッタ-コレクタ間電位差は最小で 1.3V あるのでリニア動作としては余裕がありそうです。これで何とか使えます!
とずいぶん乱暴なことをいってしまいましたが、じゃあ他のトランジスタだったらどうなるんだ、同じトランジスタでランク分けあるんだぞ!と突っ込まれるのは必至なので、次回その辺りを見てみようと思います。
負荷の件はあとで触れるとして、まずは 10倍に増幅率を上げてみようと思います。
回路図はこれです。

こういう形式の増幅率は R1 / R2 でだいたい決まります。
で、制限事項を先におさらいしておきます。
・帯域の下限は入力コンデンサ C2 と R3 // R4 // (R2 * hFE) で決まる。
・帯域の上限はトランジスタの性能と実装と各部品の数値ではなく品質。
・トランジスタのコレクタ電流は最低で 10uA ぐらい、よって出力の最大電位は 4.9V、エミッタの 最小電位は 0.01V は 確保したい。(前の記事ではもう一桁大きくしていました。あくまでも
目安です)
・コレクタ電流が最大になったときのエミッタ-コレクタ間電位差は 0.6V ぐらいは確保して
おきたい。
上述の中ではじめて出てくる表現があります。R2 * hFE です。これは大ざっぱな換算値ですが、エミッタに抵抗が入っていてリニア動作している場合は、その前の回路から見ると入力インピーダンスが R2 * hFE に等価的に見えるという意味です。ですのでこの場合は、1KΩ x 100 で 100KΩ ぐらいに見えます。あくまでも目安です。
ここではあまり本質ではないですが、入力源からみるとトランジスタのベースは C2 と 上述の合成抵抗で構成される HPF で周波数特性が決まります。ここでは 4Hz ぐらいになっています。
波形はこうなりました。

注目するところは、Vc と Ve との差でしょうか。上から 2番目になります。もっとも近づいて 0.3V なので、ちょっと近いかなというところです。また一番下の Vc を見てもらうと分かるように最大値が 3.4V ぐらいなので余裕がありそうです。
周波数特性はこうです。20dB 目標に対して 19dB、-3dB の周波数は 4.5MHz でした。

そこで、R4 を振って Vc - Ve が 0.6V 以上あってかつ出力振幅にも余裕がある抵抗値を捜してみます。抵抗値は 24系列から選んで見ました。それぞれ色分けして、56KΩ、62KΩ、68KΩ、75KΩ、82KΩ、91KΩ となっています。

抵抗値が小さいとベース電流は減少しますので、エミッタ電位は下がりコレクタ電位は上がります。56KΩ だとエミッタ電位の最小値は 50mV を下回るので、トランジスタがアクティブに動作しているのか怪しそうです。逆に 91KΩ と大きいとベース電流は上昇しますので、コレクタ電流が上昇し飽和領域に近づいてしまっています。
82KΩ と 75KΩ の間で電位が急変していることを考えると(330KΩ の影響もあるのでこの発想は短絡的ですが、68KΩぐらいにしておくと無難かな、といったところでしょうか。
念のため 68KΩ にして、Analog Discovory で測定してみました。入力は 10KHz、±0.3V です。
エミッタ電位は 200mV / div、オフセット -400mV。
コレクタ電位は 1V / div、オフセットは -1V。
コレクタ-エミッタ電位差は、2V / div、オフセットは -10V です。見づらくて済みません。

利得は低めになってしまっていますが、エミッタ電位は最小 46mV とちょっと頼りないかな、とかでもエミッタ-コレクタ間電位差は最小で 1.3V あるのでリニア動作としては余裕がありそうです。これで何とか使えます!
とずいぶん乱暴なことをいってしまいましたが、じゃあ他のトランジスタだったらどうなるんだ、同じトランジスタでランク分けあるんだぞ!と突っ込まれるのは必至なので、次回その辺りを見てみようと思います。