LTspice:「結局ラスボスはどうなったんだ?」
画蔵:「端数の周波数ということだが、退治したと云うよりは正体を暴き出すことに成功した、ということだ」


さて FFT を使って取得した信号を分析しようとした場合に、データを収集した時間幅、サンプリングした周波数などによっては、不正確な結果が出たりすることがあり、それらをどうやって回避しながら対象の周波数成分を拾い出すかを試みてきました。

簡単にまとめておきます。

・サンプリング周波数の影響としてエイリアシングがあるので、あらかじめデジタル化する前に
 ナイキスト周波数以上の周波数はカットしておくこと。
・観測時間幅の逆数の周波数単位でしか分析できないこと。
・観測時間内で周期性を持たないゆっくりとした変化は不要な周波数を出力してしまうので低い
 周波数はカットしておくこと。


  → 上記 3 点の事情から仮にサンプリング周波数 10KHz、観測期間 1 秒とすると、
    回路設計などの事情から容易に検出できる周波数範囲は 10Hz ~ 500Hz が
    現実的のように思われます。


・上記周波数単位になっていない周波数は大きなノイズ成分になり、見えるべき周波数を
 見えなくしてしまうこと
・それを回避するために矩形窓ではないカイザー窓などの窓関数を用いる必要があること。
 ただしカイザー窓を通す前に DC カット(各点の値から観測期間の平均値を引いておく)が
 必須。
・端数の周波数をある程度の精度で検出する方法として、パターンによる推定や観測期間を
 変化させてちょうど整数回の波が入るようにする方法などが考えられる。

さてどうなることかと思ってはじめたこのトピックですが、怪しげながらもまとめたつもりになっています。
次回からはレーダにおける FFT の使い方について考えてみようと思います。