今朝(11/20)朝の NHK ニュースで自動運転自動車のニュースをやっていたので、ちょっと見ていた。
それにしても漢字で書くと違和感ある字面ですね。だって略して、

LTspice:「つまらんつっこみはするな!」

え~、ちょっと前まで自動車関連の会社に派遣されていたので技術的なことや秘匿情報をここで書くわけにはいかないが(たいしたことを知っているわけではないです)、気になったのが「地図作成をめぐる激しい争い」というところである。
今は GPS が発達しているので、今自分の乗っている車がどこにいるかはかなりの精度で分かるとのことである。で、大事なのはその周辺に何があるのかが高精度で把握されていて、常にその情報を車を制御するシステムに送っている、あるいは車が覚えている(これはデータ容量的に無理がありそう)必要があると云うことだ。たとえば車の 1m 右には 1cm の段差があるとか、次のカーブの曲率はとかそんな車の自動運転に必要なデータが地図に入っていなくてはいけない。
この地図の作成にはかなりなノウハウが必要であり、またデータの送受信、更新に関しては厳格なルールが求められるとのことである。
この地図作成に熱心な国は日本アメリカドイツだそうで、もちろん現段階ではそれぞれ自分の国の事情にあった地図データの作成をやっているようだ。

で、ここでポイントなのはアメリカとドイツは自分の国で車を作って自分の国で乗り回すのが中心だろうから(もちろん輸出も大量にやっているだろうが)、ある意味独自規格になっても他の国に売る際には「うちの国はこれでやっているからこれでやって」といえるとか、台数的に相手の国に合わせるコストを付加しても痛手は少ないかも知れない。ところが日本は輸出が中心なので、地図データのフォーマットをアメリカ向けに合わせたり、欧州向けに合わせたりするコストが国内販売に比べて付加されるので競争力が低下する、という話である。
ならば、まとまるまで待っていれば良いかというとそういうわけにはいかない。まとめたところは特許を出願するため、そのシステムを取り入れた自動運転自動車を売ろうとすると莫大なライセンス料を払わなくてはいけない。なので日本も少しでも有利になるような規格を作っていかなくてはいけない。特に日本は売る側なので立場が少し弱く、アメリカやドイツの規格に配慮しつつ(クロスライセンス出来るレベル以上)独自の規格を提案し、国際規格にしなくてはいけない。もちろん優れていなくてはいけない。
が、こういう話は得てして政治的要素が絡んでややこしくなる。あるいはデファクトスタンダードといって、独自規格であっても採用するユーザが多ければフライングで発表してしまうこともある。私が元いた業界では S 社の得意技だった。
さて、この顛末どこに進むのか結構興味がある。日本、ドイツ、アメリカが先行しているのは事実のようだが、それらを話し合いでいいとこ取りしながら国際規格にしていくのか、政治力でどこかが押し切るのか、はたまたビッグユーザが現れて(人口の多い中国、インドなど)そこにうまく先行して売り込んだところが主導権を握るのか、行く末や如何に?
日本も官民一体となってやっているようだから(却ってまずいという説も。いやなんでもない)期待したいところである。

もう一つ懸念項目として、安全の責任を誰が取るか、ということである。とりあえず高速道路上だけらしいが。
きちっとした国際規格があってそれに準じて機能している車が事故を起こしたら、国際規格に抜けがあったということだし、VW 事件のように試験の時だけ、などということがあればメーカの責任だろう。

そもそも何をもって安全を担保するかで、相当もめそうな気がする。

仮にシステムは万全でも部品だってクセはあるし、壊れることもある。そういった信頼性に関する積み上げが実現へのキーポイントだと思うのだが、どこの階層の開発者がイニシアティヴを取っているのか気になる。
本来なら天才的なエンジニアが最上流にいて、ここからすべての仕様がブレイクダウンされるのが理想だが、実際はそうはいかない。上流の開発者は得てして下層の技術を知らなかったり、興味がなかったりして材料や部品のクセも考えずに「こうあるべきである」で仕様を決めてしまうことが多い。
これでは材料、部品屋はたまったモノではないので自ら上流での要求事項を先取りして、組み合わせでシステムを提案するというソリューションビジネススタイルになる。ここでその上流の無理解があると何を問題にしているのか分からなくなる。

さて、こういった観点からも自動運転自動車開発というのがどういう進め方をしているのか興味がある。
といっても気の利いた助言が出来るわけもないが。