時事問題を語ってみようといったって、マスメディアとネットだけが情報源で自分は取材したわけではないから特段新しいことがいえるわけではない。それでも断片的に報道されるものを比較しながら眺めてみるとそれなりの情報の精度が上がるような気がするので妄言でも、ということである。

<集団的自衛権関連法案>
脊髄反射的にダメ、という意見の声が大きい。法案の意図することは「戦争にならないように同盟国、関連国と共同で問題に当たれるようにする、必要な場合は武力行使もあり得る」ということである。確かに運用はその時の政府の裁量に任されるわけだから、危険思想の持ち主が集まった政権ならば「積極的覇権主義」も起きなくもないだろうが、要は選挙でそういう政権にしなければいいわけで、むしろ運用の危険性への意識が問われているのは国民の方だと思う。ただ私のような一国民の意識としては「そんな国家の大事の判断に責任を持つなんて無理」なので、頭が良くて良識を持ってそうな人にお任せするしかないのである。実際には政党、政治家は「ある団体、個人の代表者」なので、「真に国家、国民のためになる判断」をしてくれるかどうかは疑問符が付いてしまうが。
で、この法案を「戦争法案」と決めつけて反対デモをやっている人たちがいる。借りてきた云い方だと「なんでもレッテル貼りするサヨクさんたち」ということだそうだ。なるほどレッテル貼りをするとそこで思考停止する。それで自分たちの主張を押し通そうとする手法らしい。と、私が決めつけると「サヨクさんたちを「レッテル貼り」とレッテル貼りをする・・・」となって,,,、
それにしてもテレビでちょい見しただけだが、一部の政党、会派の代表だが党首だかが、「こんな発言をして何になるだろう?」と思うようなことを質問などをしていた。それをすばらしい!と褒めてくれる人がいるとでも思っているのだろうか。自分に酔っているだけなのかな。いや文字通り別の意味で酔っていたりして。
「国民への説明が足りない」という意見が多いが、国民の側は内容を理解するのに努力しているのか、あるいはマスコミは十分な情報を流しているのか、法案の全文はどうすれば読めるのか、解説してくれる人はいないのかなどなど客観的に理解するには状況が困難ではないかと思う。加えて、質問する側が上述したような状況だから国会中継を見てもよく分からない。
で、お前はどう考えているのか、と云われると今の政府は信頼できそうな人が多いと感じるのでこの件はお任せします、というのがスタンスである。

<TPP>
色々しがらみはあると思うのだが、基本的に TPP で目指す理念は賛成である。ただ運用後に起きる色々な問題のすべてがアメリカ主導で決裁されそうなのが心配だ。
最初に確認しなくてはいけないのは誰にもっとも利益が与えられるべきか、ということなのだが、これは各国の消費者でなくてはいけない。生産者ではない。もちろん生産者も消費者であるから、そういう意味で利益を確保しなくてはいけないのだが。
で、やはり難しいのは落としどころだ。単純に自由化したら生産物は規模の大きい国が有利になる。知的財産関連の使用を自由化するとむしろ遅れている方にメリットが出る。医薬品などは莫大な開発費が掛かるので、なんとしても知的財産を保持しておきたいというのは普通に考えたら当たり前のことだ。だがある地域に大ダメージを与えかねない疾病が発生したら少しでも早く、安くてよく効く治療法を投入すべき、というのは多くの人の賛意を得られるだろう。先進側に柔軟な発想が求められると思う。あるいは重大事案が発生した場合のタスクフォース予算を TPP としても十分にプールしておくとかである。
それにしてもアメリカのフローマン通商代表の印象は悪い。何か他国を見下しているような感じがする。
ところでなぜ日本は農産物の関税撤廃に反対なのか。もちろん生産者を保護するためだ。が、最初に云ったようにまず消費者を保護しなくてはいけない。消費税がいずれ上がるだろうから家計負担も増える。それが苦しいと感じる人、年金生活者などは輸入品であろうがなかろうが安い食材が欲しいと考えると思う。そういう人たちに対しては安い食材が輸入されるのは有り難いことである。一方生産者を保護しておかないと彼らも消費者なので、それこそ農産物生産者がいなくなってしまう。自然災害の多い日本では農産物生産者は大変な苦労をしているのだと思うから落としどころをうまく探って欲しい。そうはいっても生産者も価格競争に勝てるよう努力して欲しい。
今は円安傾向なので多少は戦いやすいと思うがどうだろうか。

<東芝粉飾決算>
クローズアップ現代で取り上げていたので少しだけ見た。三人の社長が晒されていたが、まあ情けない話だ。ちょっと前に話題になったオリンパスもそうだが。もともと東芝は東芝機械ココム違反事件があって、親会社として責任を取って当時の会長、社長が辞任したこともあってコンプライアンスには厳しい体質になろうと社内整備に努力していた会社である。20 年以上経つと忘れられてしまうんですかね。それにしても四半期毎の決算が見事にいわゆるワロスを描いていたのには文字通り笑えた。本当に何がしたかったんでしょうね。刑事事件扱いになるかどうかは微妙だろうが、「誰得?」と堀江貴文氏が皮肉りたくなるのも無理はない。アメリカでは集団訴訟も起きそうなので、トップはきちんと結果責任を取ってもらいたい。
だいたい「あと××億なんとかしなさい」って具体案も示さずに云ったらパワハラだろうに。

<東京五輪>
国立競技場と云いエンプレムといい、カッコ悪、の一言である。
国立競技場の件は見通しの甘さで、聞くところによると密室協議で決まったらしいからその時点でアウトである。政権交代があっても基本的に前政権の内容は出来るだけ引き継ぐというのが基本だから(国民の混乱を避けるため)、今の政権もなんとかしようとあがいていたのだとは思う。ただチェックのスタートが遅い、という指摘はあるだろう。が、それをデザインを決めた政権が追求するのはおかしな話で、最初に一言「面倒なことを引き継がせて申し訳ない」ぐらいはあるべきだろう。もっとも政治の世界でそれをするのは難しいと思うが。
エンブレムはですね~...。似てますね。著作権上問題ない、というのが問題ではないです。IOC が OK を出した、それは免罪符にはなりません。要は独創的なデザインとは思えない、それが未来永劫記録されるというのが問題だと思う。もちろん過去の作品からインスパイアされて出来た、というのは構わない。が、今回はベルギーの劇場のロゴの回りを削ってスペインのなんだっけ?それの配色を参考にしたようなものに私は見える。ネットの噂では作者は姿を現さず、らしいが。
これこそ英断した方がいいように思うのですが。さて。