スペクトラムアナライザの周波数軸がリニア表示だったり対数表示だったりすることがある、ということが分かったところで次は信号レベル軸に移ります。
こちらも当然のようにリニア表示だったり対数表示だったりします。対数表示の場合は先に信号レベルが dB 計算されたものを使うのが一般的です。
dB 計算は通常次のような式を使いますが、
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こと電圧または電流に対しては係数が倍になって次の式を使います。
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細かくは触れませんが、電力の場合の係数 10 に対して電圧や電流の場合の係数が 20 になるのは、電圧が印加される、電流が流れている対象の抵抗がいつも同じだと仮定した場合に、電圧振幅が 2 倍になれば電力量はその自乗の 4 倍になるので係数を倍にしておきます。
(対数の中が自乗されると、係数として外に出る)

今まで使ったグラフを見てみましょう。

LTspice でのスペクトラム図の例です。
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周波数軸はリニアですが、レベル軸は dB 表示 = 対数表示となっています。


Analog Discover を使ったときのスペクトラム図です。
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同じです。
上記二つともこの表示に限ったわけではありません。設定で縦軸も横軸もリニア表示にするか対数表示にするか変えることが出来ます。

scilab でのスペクトラム図です。
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横軸はリニア表示で、縦軸もリニア表示です。
スクリプトはこうなっていました。

fdata=fft(actualdata)
plot2d(f,abs(fdata(1:n)))

actualdata という変数に fft を掛けて、fdata を得てこれの絶対値を表示しただけなので、対数表示にしていません。
こういうリニアーリニア表示は、周波数成分や特性のカーブと数式との整合を取るのに見やすいと思います。

次の図はリバーブのインパルス応答の FFT の結果ですが、対数表示-対数表示になっています。
オーディオの世界では理解しやすいかも知れません。
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さて、ではレベル軸の値は何を表しているのでしょうか。dB 表示だったら 0 dB はどういう値なのでしょうか。
あるいは scilab が表示した FFT の結果の絶対値とは?

次回はこの辺りをちょっと手持ちのツールの範囲ですが、調べてみます。