デジタル信号処理に特定されるわけではないですが、とりあえず信号を数値的に取得したらまずやるのが「FFT に掛ける」ではないでしょうか。デジタルスペクトラムアナライザに限らず、デジタルオシロスコープにもそういうオプションがついていて、元の信号がどんな周波数成分を持っているか簡単に調べることが出来ます。Analog discovery にも付いていて何かと楽しめそうです。
LTspice:「オレも出来るぜ」
画蔵:「それは便利だと認めよう」
scilab:「僕もだよ」
Excel:「私も出来るんですが」
画蔵」「分かった分かった」
そもそも FFT ってなんだよ、という方には申し訳ありません、ちょっと他の詳しいサイトで調べてみて下さい。最初から勉強したいからは「フーリエ級数」~「フーリエ変換」~「離散的フーリエ変換」~「高速フーリエ変換」を検索して見て下さい。ここでは実際に利用することに内容を絞ることにします。要はやりたいことは取得した波形データから周波数毎の信号エネルギーを抽出しようというものです。
LTspice:「要は詳しいことは知らない?」
画蔵:「非生産的ツッコミはやめるように」
そもそも周波数分析=スペクトラム分析は何のためにやるのでしょうか。これも例を挙げ出すとキリがない、私には挙げきれないということで比較的身近な例で説明します。
オーディオシステムをお持ちの方、あるいは Windows Media Payer にプラグイン「FRUITY」を入れた方なら下のようなグラフを見たことがあると思います。
一番上がこれは現在流れている音の波形で次のがその期間に含まれている周波数成分を表すグラフ=スペクトラムということです。これをどうするのかというと、たとえばある楽器のある音のスペクトラムが表示されたとして、別の楽器の同じ音のスペクトラムと比較して見るとか、オーディオシステムがその発生している周波数帯域をカバーしているとか、実は余計な信号(ノイズ)が加わっているとか云うことが分かります。一番下はよく見かけるスペクトラムグラフィックで真ん中の図を格好良くしたものと云っていいでしょう。
FRUITY が FFT を使っているのかどうかは知りませんが、通常スペクトラムアナライザで表示されるものは真ん中のような図だと思います。
この拡張として、コンクリートなどをハンマーで叩いてみて、別の部分でマイクなどのセンサーでその音を集音してスペクトラム分析をしてみたら、リファレンスのコンクリート壁とは違う周波数成分を表しているから素材が違うとか、不自然なことが起きているとかということが分かるかもしれません。これは参照するバックデータが大量に必要ではありますが。
また、動いている物体に向かって音波、超音波、電磁波をぶつけて返ってきた周波数を分析することで、ドップラー効果の発生を確認して相対速度が分かるでしょう。これは実際に使われています。
さて、先ほどの図ですがなんか変に見えませんか。一番下のグラフは真ん中のものを体裁良くしたもの、と書きましたがそれにしてもグラフの形が違うように見えますね。真ん中は左の方にグラフが寄っていて、一番下は横軸方向に適当にばらけています。
もう一度見て下さい。実は横軸の値が違います。
真ん中のグラフの横軸はリニア表示と云って、周波数が等間隔になっています。それに対して一番下は対数表示と云って周波数を対数で見て等間隔になるように軸を作っています。なので真ん中と一番下が違うものに見えてしまうわけです。
ちなみに FRUITY は真ん中のグラフ表示の横軸を対数表示に変えることが出来ますので、その場合はほとんど同じような形にみえます。
計測器などでスペクトラム表示をさせたときはまず周波数軸がリニア表示か対数表示かになっているかどうか、確認してみて下さい。
結構印象が違います。なおどちらを使うかはその時に何をやりたいかで変わります。今後機会があったら実例を挙げてみようと思います。
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