前回取り上げましたトランジスタ一石(こういう云い方懐かしい)によるコルピッツ発振回路を細かく調べてみようと思います。
で、前回の回路図ではコルピッツ発振回路のイメージとは違う、という方のために回路を書き直してみました。
それがこれです。

C5、R5、Vo が追加されている他は部品、結線は同じです。
念のため、発振波形を確認しておきます。Vo が加わっています。

さてこの回路図ならよく分かる、という方はもしかしたらこういう説明を聞いた、あるいは理解している、かもしれません。
特に小学生の頃からラジオ少年だった人はその可能性は高いです。
「コイル(ここでは L1)とコンデンサ(同 C3 とC4)で共振回路を構成し、それをトランジスタ増幅回路で励振することで一定の周波数で発振させる」
まあ確かに間違いとは云いがたいのですが、Wiki などでみてもそういう書き方にはなっていないですし、よく見ると L1 と C3 または C4 は共振回路になっていないんですね。通常共振回路というのは、コイルとコンデンサを直列、または並列につないでそこに電圧を印加する、あるいは電流を流すということで特定の周波数成分だけを取り出す、というものです。ところが回路図をよく見ると直列につながっているようでいて、その途中が別の回路に接続されているので共振回路の体を為していません。
共振回路はこんな風になります。

周波数特性はこうなります。

なぜ入力が電流源なのかというと、並列共振回路は共振周波数でインピーダンスが最大になります。なので電流源で励振するとその周波数がもっとも高い電圧として発生することになります。位相はというとその周波数で 90°遅れます。
それでは共振回路は発振回路とは違うのか、というとこれも必ずしもそういうわけではなくて、特定の周波数で高いゲインを持っているわけですから、なんらかのエネルギーを与え続ければ特定の周波数だけを出力し続けることができます。
すなわちホワイトノイズを発生させて、いや発生させなくても某元総理に云わせると宇宙は揺れているのですから何らかの揺らぎはあるわけで、それをとりあえずフラットアンプで思いっきり増幅させてから電流に変換し、共振回路に入れれば特定の周波数だけを取り出す=発振ともいえるわけです。
試しにインパルス的なものを入れて出力電圧を見てみました。入力電流は、1usec おいてから 1A のパルス電流を 10psec だけ発生させるというものです。
出力電圧はこんな感じです。

誰も止めないので、延々とビョーンと揺れています。
で、本当にこんなことできるのかというと無理な話で、実際にはコイルもコンデンサにも「都合」があるのでどこかで止まってしまいます。それをトランジスタで補ってあげればいい、ということになる、というわけにも行きません。インパルスを永続的に供給できるのであればすでに発振器はその時点で出来ています。
話が脱線しました。
回路図を最初のものに戻して再掲します。
左から順番に回路図を確認していきます。
Vout は右にある Vout に接続されていてこれがループを構成しているわけですが、左側の Vout を入力端子としてみた場合、C2 を通じてトランジスタ回路に接続されていることになります。R3, R4, Q1, R1 がいわゆる典型的なエミッタ接地型増幅回路です。Q1 のベースに流れ込んだ電流は、トランジスタの電流増幅率に従って増幅され、R1 で電圧電流変換され出力電圧として取り出すことが出来ます。その時に電圧の位相はベースとコレクタで反転します。ベース電位が下がるとベース電流が下がりコレクタ電流が下がって、R1 両端での電位差は小さくなり、結果としてコレクタ電位は上がります。なので逆相ということになります。
取り出された Vc は、次の C3, L1, C4 で構成される、、、???π型フィルタのようになっていますね。ここだけ取り出すと、LPF ということになりますが、そういうものを通じてフィルタリングされ、あれ、減衰させてどうする?なぜ共振回路ではないの?
実は位相を回しているだけなのですが、そうやってトランジスタで逆相、フィルタでさらに、、、。
直感的に回路を捉えると結構疑問が残りそうですね。実は途中の説明に少し誤りがあります。
次回はその辺りを確認していきたいと思います。
で、前回の回路図ではコルピッツ発振回路のイメージとは違う、という方のために回路を書き直してみました。
それがこれです。

C5、R5、Vo が追加されている他は部品、結線は同じです。
念のため、発振波形を確認しておきます。Vo が加わっています。

さてこの回路図ならよく分かる、という方はもしかしたらこういう説明を聞いた、あるいは理解している、かもしれません。
特に小学生の頃からラジオ少年だった人はその可能性は高いです。
「コイル(ここでは L1)とコンデンサ(同 C3 とC4)で共振回路を構成し、それをトランジスタ増幅回路で励振することで一定の周波数で発振させる」
まあ確かに間違いとは云いがたいのですが、Wiki などでみてもそういう書き方にはなっていないですし、よく見ると L1 と C3 または C4 は共振回路になっていないんですね。通常共振回路というのは、コイルとコンデンサを直列、または並列につないでそこに電圧を印加する、あるいは電流を流すということで特定の周波数成分だけを取り出す、というものです。ところが回路図をよく見ると直列につながっているようでいて、その途中が別の回路に接続されているので共振回路の体を為していません。
共振回路はこんな風になります。

周波数特性はこうなります。

なぜ入力が電流源なのかというと、並列共振回路は共振周波数でインピーダンスが最大になります。なので電流源で励振するとその周波数がもっとも高い電圧として発生することになります。位相はというとその周波数で 90°遅れます。
それでは共振回路は発振回路とは違うのか、というとこれも必ずしもそういうわけではなくて、特定の周波数で高いゲインを持っているわけですから、なんらかのエネルギーを与え続ければ特定の周波数だけを出力し続けることができます。
すなわちホワイトノイズを発生させて、いや発生させなくても某元総理に云わせると宇宙は揺れているのですから何らかの揺らぎはあるわけで、それをとりあえずフラットアンプで思いっきり増幅させてから電流に変換し、共振回路に入れれば特定の周波数だけを取り出す=発振ともいえるわけです。
試しにインパルス的なものを入れて出力電圧を見てみました。入力電流は、1usec おいてから 1A のパルス電流を 10psec だけ発生させるというものです。
出力電圧はこんな感じです。

誰も止めないので、延々とビョーンと揺れています。
で、本当にこんなことできるのかというと無理な話で、実際にはコイルもコンデンサにも「都合」があるのでどこかで止まってしまいます。それをトランジスタで補ってあげればいい、ということになる、というわけにも行きません。インパルスを永続的に供給できるのであればすでに発振器はその時点で出来ています。
話が脱線しました。
回路図を最初のものに戻して再掲します。

左から順番に回路図を確認していきます。
Vout は右にある Vout に接続されていてこれがループを構成しているわけですが、左側の Vout を入力端子としてみた場合、C2 を通じてトランジスタ回路に接続されていることになります。R3, R4, Q1, R1 がいわゆる典型的なエミッタ接地型増幅回路です。Q1 のベースに流れ込んだ電流は、トランジスタの電流増幅率に従って増幅され、R1 で電圧電流変換され出力電圧として取り出すことが出来ます。その時に電圧の位相はベースとコレクタで反転します。ベース電位が下がるとベース電流が下がりコレクタ電流が下がって、R1 両端での電位差は小さくなり、結果としてコレクタ電位は上がります。なので逆相ということになります。
取り出された Vc は、次の C3, L1, C4 で構成される、、、???π型フィルタのようになっていますね。ここだけ取り出すと、LPF ということになりますが、そういうものを通じてフィルタリングされ、あれ、減衰させてどうする?なぜ共振回路ではないの?
実は位相を回しているだけなのですが、そうやってトランジスタで逆相、フィルタでさらに、、、。
直感的に回路を捉えると結構疑問が残りそうですね。実は途中の説明に少し誤りがあります。
次回はその辺りを確認していきたいと思います。