デジタルデータはたとえばバイト単位での数値列ということで表されます。これを何かの数式で処理しようとすると、たとえばデジタルフィルタみたいな入ってくるデータを次から次へと計算してその都度(瞬間)の値を出力するだけなら、そんなに気にしなくても良いのですが、誤り訂正のようなデータ列が独立であって計算の結果混じり合っては困るようなものだと工夫が必要になります。パリティデータ(チェックデータ)列も元のデータ列を計算した結果、データ列として残ったものなのでこれも独立データとして扱わないといけません。

似たような話を別の書庫で扱いました。

電気理論をおさらい>ベクトルと複素数表現
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/10894887.html

どこが似ているかというと、ベクトル表現、複素表現ともに x 軸と y 軸、実数と虚数が混じり合うことがない、というところです。まあ複素表現の場合は虚数同士を掛け算すると実数になってしまうというのはありますが、基本的には独立です。いわゆる 2 次元で数値を扱うと云うことですね。

さて、そうやってデジタルデータ列を考えるとその「データ数」次元のデータと扱うことで各データの独立性を保つことが出来ます。n 個のデータ列なら n 次元というわけです。ということで想像が付くとは思いますが、n 次元空間= n 個のベクトルと表現すればそれぞれの要素を独立して扱うことが出来るわけです。どんな空間なのかは想像も出来ませんね。我々は 3 次元の世界に住んでいるのでそれ以上は無理と云うことです。一部の数学者はイメージ出来ているのかな...。

ベクトル表現を使うと、演算は行列になるでしょう。これはなんとなく分かると思います。ただ以降の演算の中でたとえば m x n の計算が出てきたり、n 行列の行列式を求めたりするので 3 x 3 ぐらいまではともかく、それ以上の計算は出来なくなる可能性大です。
理論だけならベクトル表現でもよいと思いますし、数学自体を研究する人はベクトル表現+行列で、ということになると思いますが、工学的にはちょっと実用性は怪しいです。そこでもう一つの表現方法、多項式を使います。
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たとえば n+1 個のデータ列ならば、X^n の項が一番左で、X^0(= 1 )が一番右になるわけです。さらに桁を増やすことも出来ます。X^2 を掛ければ後ろに 2 個の桁を増やすことが出来ます。そのままだと 0 が加わっています。

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各項の係数がデータを表します。これもなんとなくラプラス変換の s 表現に似ているような気がします。s^2 と s 項は混じり合うことはないので、それぞれの係数は独立で扱えます。

さらにバイト単位ではなくビット単位でも同じような表現が使えます。この場合は係数は '0' か '1' しかありませんから、X^n の項があるかないかということになります。
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こういう表現をしておくと掛け算割り算も普通の感覚で出来ます。まだバイトデータ同士の掛け算割り算の具体的な説明していませんが、ビットデータならこんな感じで
す。
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加算、減算は XOR ですので同じ値同士の計算はゼロになり、項としては消滅しています。