前回ある特定の周波数に関して、振幅と位相を表すのに複素座標平面上のベクトルで表すことが出来るとした。これは単に信号のみならず、伝達関数のような処理系にも適用することが出来、その処理系にその特定の周波数の信号を入れた場合の応答はベクトルの積で求めることが出来るということだった。
さらに教科書などでは「ベクトル軌跡」なるものが出てくる。これは原点を起点とするベクトルに対して何かのパラメータを変化させた場合のベクトルの終点の軌跡のことである。
この一例がナイキスト線図である。これはある伝達関数において周波数を変化させた場合のベクトル軌跡である。フィードバック系の安定性を評価する目安となるといわれている。

ナイキスト線図はボーデ線図に比べるとどの周波数でどういう特性になっているかは一望できないが、振幅と位相の関係は一目で分かる。
同じ伝達関数のボーデ線図は次の通りである。

フィードバックの安定についてはこちらのサイトに例が載っているので参考にして下さい。
ヨッパのシステム制御入門
「制御の安定性:安定性の判別」
http://alk.fam.cx/block_070.html
ただ,,,例となっている伝達関数ですが実現可能なのかどうかはよく分からない。1 / (s^2 - 2s + 3) を含む関数になっていてここだけ取り出すと、振幅特性は二次の LPF と同じなのだが位相特性は周波数が上がるに従ってなんと進んでしまうのである。
もちろん制御系は電子電気部品だけで出来ているわけではなく、メカトロもあれば物理化学反応なども含むのでそういう特性があるかもしれない。ご存知の方は教えて下さい。
ベクトル軌跡は周波数以外のパラメータを変化させた場合にも使うようだ。教科書には L - C - R 回路において特定周波数においてたとえば L が変化した場合の交流電圧に対すると電流の軌跡が載っている。その軌跡は円になると書いてある。

ふんふん、なるほど、円になるのか。で、それどう意味がある?何に使える?
教科書はそこで終わっている。ナイキスト線図の場合はそれからフィードバック系の安定性の判別に使うという御利益があったが、こちらの方は???これもご存知の方がいらっしゃったら教えて下さい。
少しだけ想像してみると、電源系などのような周波数が一定である交流回路において、負荷の状態(L 成分優位とか C 成分優位とか)で電流の大きさと位相が変わる様子を確認するのに有効かも知れない。弱電系ではあまり話題にならないと思う。
もう一つベクトル軌跡が表すものとして、正弦波(実際には複素正弦波だと思う)の波形を表すようだ。教科書ではさらっと触れてある。
単位複素正弦波は cos(ωt) + j sin(ωt) と表す。この時間軸 t を変化させると円軌道になる。ただそれだけだ。Y 軸を見ると正弦波の瞬時値が表せるとなっているが御利益は?
これも位相がゼロでない正弦波を表すのに、軌道の起点を同心円のなかで移動させることで表現できるというのはある。

図の青の正弦波がゼロ位相が起点になっているのに対して、赤の正弦波は 40°ぐらい進んでいるという分けだ。
ベクトルはともかく、複素正弦波表現は信号理論の中でやたら出てくるのでイメージは持っておきましょう。
ベクトル軌跡の持つ有用性を確認したかったのだが経験不足か知識不足か「こう考えよう」という提案が出来ないのが残念だ。私などはすっかりボーデ線図に慣れてしまったので伝達関数を見てもベクトル軌跡をいちいち確認することはないが、ベクトル軌跡から使っている方もいるだろう。
これから勉強するという人は一通り慣れておくことをお薦めする。
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さらに教科書などでは「ベクトル軌跡」なるものが出てくる。これは原点を起点とするベクトルに対して何かのパラメータを変化させた場合のベクトルの終点の軌跡のことである。
この一例がナイキスト線図である。これはある伝達関数において周波数を変化させた場合のベクトル軌跡である。フィードバック系の安定性を評価する目安となるといわれている。

ナイキスト線図はボーデ線図に比べるとどの周波数でどういう特性になっているかは一望できないが、振幅と位相の関係は一目で分かる。
同じ伝達関数のボーデ線図は次の通りである。

フィードバックの安定についてはこちらのサイトに例が載っているので参考にして下さい。
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ただ,,,例となっている伝達関数ですが実現可能なのかどうかはよく分からない。1 / (s^2 - 2s + 3) を含む関数になっていてここだけ取り出すと、振幅特性は二次の LPF と同じなのだが位相特性は周波数が上がるに従ってなんと進んでしまうのである。
もちろん制御系は電子電気部品だけで出来ているわけではなく、メカトロもあれば物理化学反応なども含むのでそういう特性があるかもしれない。ご存知の方は教えて下さい。
ベクトル軌跡は周波数以外のパラメータを変化させた場合にも使うようだ。教科書には L - C - R 回路において特定周波数においてたとえば L が変化した場合の交流電圧に対すると電流の軌跡が載っている。その軌跡は円になると書いてある。

ふんふん、なるほど、円になるのか。で、それどう意味がある?何に使える?
教科書はそこで終わっている。ナイキスト線図の場合はそれからフィードバック系の安定性の判別に使うという御利益があったが、こちらの方は???これもご存知の方がいらっしゃったら教えて下さい。
少しだけ想像してみると、電源系などのような周波数が一定である交流回路において、負荷の状態(L 成分優位とか C 成分優位とか)で電流の大きさと位相が変わる様子を確認するのに有効かも知れない。弱電系ではあまり話題にならないと思う。
もう一つベクトル軌跡が表すものとして、正弦波(実際には複素正弦波だと思う)の波形を表すようだ。教科書ではさらっと触れてある。
単位複素正弦波は cos(ωt) + j sin(ωt) と表す。この時間軸 t を変化させると円軌道になる。ただそれだけだ。Y 軸を見ると正弦波の瞬時値が表せるとなっているが御利益は?
これも位相がゼロでない正弦波を表すのに、軌道の起点を同心円のなかで移動させることで表現できるというのはある。

図の青の正弦波がゼロ位相が起点になっているのに対して、赤の正弦波は 40°ぐらい進んでいるという分けだ。
ベクトルはともかく、複素正弦波表現は信号理論の中でやたら出てくるのでイメージは持っておきましょう。
ベクトル軌跡の持つ有用性を確認したかったのだが経験不足か知識不足か「こう考えよう」という提案が出来ないのが残念だ。私などはすっかりボーデ線図に慣れてしまったので伝達関数を見てもベクトル軌跡をいちいち確認することはないが、ベクトル軌跡から使っている方もいるだろう。
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