ついでとばかり前回の改善案の応答特性を見ておきます。

回路図はこれで R1 を 1kΩ固定にして、R2 を 1k5k10k20k50k にして電流増幅率を振ってみました。シミュレーション上の注意として、オフセット電流が必要なこと(前回ゼロ付近は応答しないと説明しました)と振幅を適切にしないと増幅率が高いところでは電流が飽和してしまいますし、低いところでは精度が悪くなります。
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結果はこうなりました。
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電流利得を取らなければ 10MHz ぐらいまでの帯域はありますが、利得を取れば取るほど帯域は狭まります。また使っているトランジスタによりますが、利得が高いほど誤差は大きくなります。

他の回路例ですが、Q2 をよく見てみるとコレクタとベースがショートしていますのでダイオードと同じ形になっています。よってこれをダイオードに取り替えても良さそうです。前回トランジスタのペア性が気になるといいましたが、誤差を許容できる応用ならこちらの方が安上がりです。

回路はこうです。
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DC 特性はこうです。直線性はまあまあだと思うのですが、電流の流れ始めがバラツクでしょう。温度特性もペアトランジスタの場合よりは劣ると思います。だいたいでいいならこれで十分だと思います。
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FET の場合はどうでしょうか。FET は電圧制御素子なのでちょっと変な感じですが結論から言うと動作します。違うところはゲート-ソース間電圧が必要なために、入力の電流源からの注入てんの電位が結構高くなるというところです。ゲート電流を必要としないので、電流増幅精度はトランジスタより良くなります

回路はこうです。
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念のため各部の電圧を見ておきます。ゲート電圧 VG はこの FET の場合は 3.3V ぐらい必要ですので電流源もそのくらい電位が上がっても直線性の良いものである必要があります。
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DC 特性はこうなります。電流利得を振ってみました。
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50kΩのところでの電流利得は 49.99倍、傾斜は 49.98 と良好です。これならちょっとしたドライバにも使えそうです。

さてとはいうものの FET のゲート特性は結構ばらつきそうです。ちょっとペア FET などカタログになさそうですし、適当に選ぶにしてもそもそも FET ってお高いような。ちょっとディスクリートでの実用性は怪しそうですね。オペアンプを絡ませた方が安上がりかも知れません。
ただ LSI などではどうでしょうか。FET のペア性は何とかなるでしょう。電流源はどうでしょうか。たとえばフォトダイオードなどと組み合わせると抵抗比で感度がそれなりの精度で制御できるので使い勝手は良いかも知れません。
回路的にはこんな感じですかね。ただ抵抗が外付けなら絶対値でいけますが、IC 内に抵抗を作り込む場合は相対値になると思います。
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すでにフォトトランジスタというのがありますが、これはフォトダイオードとトランジスタの単純な組み合わせなので感度は hfe に聞いて下さい状態です。これに比べればリニア応用は効きそうです。ただしゲート容量などの関係で応答性は悪いかも知れません。
LSI に作り込む場合の問題については私自身は詳しくないので、ここまでにしてえさ蒔いて逃げることにします。