提題の件、発生から 10日経った。なくなられた方は本当にお気の毒である。謹んでお悔やみ申し上げます。行方不明者も一刻も早く発見されますように祈るのみだ。

本件発生当初から人災だと指摘されていたが、色々な事実が明らかにつれさらにそれが確信となっている。で、本当に残念に思うのはその人災の原因となっている複数の事柄の一つでも顕在化しなかったら事故は起きなかった、あるいは被害を最小限にとどめることが出来たかも知れないということだ。またどんなに上手くやっても被害を食い止めることは出来なかったとは思うが、事故後の政府、関係部署、報道機関、SNS、民間人の行動が混乱や被害者家族への気持ちを逆なでしているのも気が滅入るような話である。

数年間仕事をしていて思ったのは韓国人のキャラとして、決して自分の利益にならないことは率先してやらない、ということだろうか。ただ誤解してもらうと困るが仕事上ではそういう傾向があっても、普段の生活の中では結構親切である。こちらがお願いしたことや困っていることに対しても「もうやってもらえないかな~」などと諦めかけたときに突然「なんとかなりました~!」ということもしばしばである。相手にとって仕事でもなければメリットもない作業を一生懸命してくれたりする。
反面、ルールを守らない(信号無視は日常茶飯事です)、決めたことはやらない(上司に怒られるまでやらない)、責任回避、ウソをつくというキャラもまた住んでいて感じたことでもある。やっぱり情の国なんでしょうか、自分が感じたことに関しては熱心だがそれ以上には行動は発展しないのかも知れない。

でまあ今回人災といわれている内容はどうやらそれら悪い面が出てしまったようである。法やルールを守らなかったために発生した事故だが、指示を守った高校生達がそのまま犠牲になっている事実はやるせないものがある。だいたいこの手の事故、災害は全員が最善を尽くして効果があれば全員助かるが、一部でも自分勝手な行動を取ると被害が拡大し、皮肉なことにルールを守った人が犠牲になるというものだろう。
韓国がこの事故の教訓をどう今後に活かすかが注目されるが、上のものは信用できない、指示に従うと助かるものも助からない、というのが教訓になったら怖い話である。

災害の博物館である日本に住んでいると、とにかく訓練はしょっちゅうやっているし万が一当事者になった場合の行動基準、心構えというのがそれなりに身についているので今回の事故はツッコミどころ満載状態だが、それは日本が特異なだけであって通常の国ではそうは行かないというのが本当のところだろう。「日本を見習え!」などといったって実感が持てないから無理な話である。で、よくあるのはシステマチックにマニュアル化して徹底する、ということになる。この徹底というのが案外難しいのだろう。

パックネ大統領は「関係者を厳しく処罰する」というようなことを云っていたようだが、国のリーダーが司法判断に口出すのはいかがなものかと思う。その辺りにも法を守る、ルールを守る、原則を守るといった意識の欠如が見え隠れしてしまう。
起きてしまったことを元に戻すことはできないが、せめて国を引っ張るものとしては再発防止に全力を尽くす方に力を注いで欲しいものだ。船舶の救命ボート関連の調査は行い始めたようだが(結果は推して知るべし)。
システマチックに安全対策を構築して徹底する、という難しい課題にどれだけ真剣に取り組めるかが、今回の教訓を活かすことにつながると思うが、頑張って欲しいと思う。

一言付け加えると、マスコミやネットをもう少し良識あるものに制御しないと出来るものも出来なくなると思うが、如何に。