前回、前々回で計算したアクティヴフィルタをシミュレーションではありますが、実際のデバイスで動かしてみます。余力があったらブレッドボードと Analog Discovery を使って測定してみます。
シミュレーションの回路図はこうです。
AD8541 というオペアンプは 1MHz ぐらいまでの帯域を持っているので(特徴は後述)、カットオフ周波数を 100KHz に設定したフィルタぐらい何とかなるだろうということで組んでみました。昔の記事を読んだことのある方なら「何を企んでいるんだ?」と思うかも知れません。
一次フィルタでの事件簿はこれです。今回のネタバレに近いものがあります。
ローパスフィルタがノイズっぽいんですけど!??
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/9718752.html
関連記事はこれです。
オペアンプで実際にローパスフィルタを作ってみたら
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/8064313.html
ということで、1MHz 帯域のオペアンプで 100KHz のフィルタを組むなんて怪しすぎると思った貴方、アナログ戦闘力が上がったかも知れません。K は少し振ってみました。
10KHz のパルス応答はこれです。まあ、こんな感じかな。
ボーデ線図です。
お、期待通り(?)100KHz はもっともらしいのですが、200KHz 以上はフィルタの体を為していません。
さてなぜでしょう、ということになるのですが、考えてみる前にとりあえず定数を変えてみます。
カットオフ周波数を変えないように、R = 1.59KΩ → 15.9KΩ、C = 1000pF → 100pF としてみました。(実際は 200pF x K と 50pF / K です)

少し改善されましたね。フィルタ特性は 500KHz ぐらいまでは出ていると言えます。
さてなぜでしょう。同じカットオフ周波数を実現するのにインピーダンスの高い組み合わせを使うか、低い組み合わせを使うか選択できるのですが、後者の方が一般的にノイズに強いと云われます。また小容量のコンデンサは回路の浮遊容量の影響も受けやすいので、前者は実装設計に気を遣う必要があると云われます。
半導体デバイスにとってはどうでしょうか。後者は電流を流すことで特性を維持するので、必要帯域の中で半導体デバイスがちゃんと働いてくれることが重要です。そう考えると 1MHz しか帯域のない AD8541 はちょっと頼りないかも知れません。
実際こんな感じで高周波電流は流れています。(紫矢印)
通常はこんな電流ルートは「許さん!」といってオペアンプの出力端が吸収してしまうのですが、理想オペアンプではないので華麗にスルーしてしまいます。それがフィルタ特性が出なくなる原因と考えていいと思います。それでも電流値が低い場合は多少はなんとかしてくれるというわけです。
では IC をちょっと高性能のものに変えてみます。AD8615 に変えます。
特徴を比較してみました。
帯域以外はほぼ同等。用途も帯域以外の部分で似たようなものと考えて良いでしょう。どちらも DC 特性がよいと思います。
これを使って(回路図の IC を入れ替えただけ)ボーデ線図を見てみます。縦軸を拡張させました。
今度はもっともらしいですね。4MHz ぐらいまでフィルタとして動作しています。
カットオフ周波数はそのまま K を 2 に固定して、抵抗値を 1.59K x (1, 3, 10)としてみます。10 の時が先ほどの再現です。
AD8615 といえどもインピーダンスが低くなるとフィルタ特性が確保できる帯域が下がってしまいます。
いかがでしょうか。このように折角二次のアクティヴフィルタを作っても部品の選び方が悪いと思ったような特性にならない可能性があります。ただなんでも高性能な部品を使えば良いということではないので(コストが上がる)、本当に欲しい特性をよく考えてバランスの良い部品選びをしないと労多くしてなんとやらになりかねませんので、ちょっと気にしておくと良いと思います。
シミュレーションの回路図はこうです。

AD8541 というオペアンプは 1MHz ぐらいまでの帯域を持っているので(特徴は後述)、カットオフ周波数を 100KHz に設定したフィルタぐらい何とかなるだろうということで組んでみました。昔の記事を読んだことのある方なら「何を企んでいるんだ?」と思うかも知れません。
一次フィルタでの事件簿はこれです。今回のネタバレに近いものがあります。
ローパスフィルタがノイズっぽいんですけど!??
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/9718752.html
関連記事はこれです。
オペアンプで実際にローパスフィルタを作ってみたら
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/8064313.html
ということで、1MHz 帯域のオペアンプで 100KHz のフィルタを組むなんて怪しすぎると思った貴方、アナログ戦闘力が上がったかも知れません。K は少し振ってみました。
10KHz のパルス応答はこれです。まあ、こんな感じかな。

ボーデ線図です。

お、期待通り(?)100KHz はもっともらしいのですが、200KHz 以上はフィルタの体を為していません。
さてなぜでしょう、ということになるのですが、考えてみる前にとりあえず定数を変えてみます。
カットオフ周波数を変えないように、R = 1.59KΩ → 15.9KΩ、C = 1000pF → 100pF としてみました。(実際は 200pF x K と 50pF / K です)

少し改善されましたね。フィルタ特性は 500KHz ぐらいまでは出ていると言えます。
さてなぜでしょう。同じカットオフ周波数を実現するのにインピーダンスの高い組み合わせを使うか、低い組み合わせを使うか選択できるのですが、後者の方が一般的にノイズに強いと云われます。また小容量のコンデンサは回路の浮遊容量の影響も受けやすいので、前者は実装設計に気を遣う必要があると云われます。
半導体デバイスにとってはどうでしょうか。後者は電流を流すことで特性を維持するので、必要帯域の中で半導体デバイスがちゃんと働いてくれることが重要です。そう考えると 1MHz しか帯域のない AD8541 はちょっと頼りないかも知れません。
実際こんな感じで高周波電流は流れています。(紫矢印)

通常はこんな電流ルートは「許さん!」といってオペアンプの出力端が吸収してしまうのですが、理想オペアンプではないので華麗にスルーしてしまいます。それがフィルタ特性が出なくなる原因と考えていいと思います。それでも電流値が低い場合は多少はなんとかしてくれるというわけです。
では IC をちょっと高性能のものに変えてみます。AD8615 に変えます。
特徴を比較してみました。

帯域以外はほぼ同等。用途も帯域以外の部分で似たようなものと考えて良いでしょう。どちらも DC 特性がよいと思います。
これを使って(回路図の IC を入れ替えただけ)ボーデ線図を見てみます。縦軸を拡張させました。

今度はもっともらしいですね。4MHz ぐらいまでフィルタとして動作しています。
カットオフ周波数はそのまま K を 2 に固定して、抵抗値を 1.59K x (1, 3, 10)としてみます。10 の時が先ほどの再現です。

AD8615 といえどもインピーダンスが低くなるとフィルタ特性が確保できる帯域が下がってしまいます。
いかがでしょうか。このように折角二次のアクティヴフィルタを作っても部品の選び方が悪いと思ったような特性にならない可能性があります。ただなんでも高性能な部品を使えば良いということではないので(コストが上がる)、本当に欲しい特性をよく考えてバランスの良い部品選びをしないと労多くしてなんとやらになりかねませんので、ちょっと気にしておくと良いと思います。