前回、アンプの選定を間違えるとローパスフィルタを組んだつもりがノイズ(というよりは固定周波数)だらけになる恐れがあると書きました。しかし広帯域のアンプを使わないと入力がパルスの場合は正しくフィルタ出来ないというジレンマもあります。
対応策をまとめておきます。
・ユニティゲインスタビリィティが確保されているアンプを使う。
・帯域が不足しそうな場合はフィルタ段でゲインを確保しようとしない。
・ゲインが必要な場合は、パッシヴフィルタとそこそこ広帯域ゲインアンプを使う。
3 番目が一番確実ですかね。アンプは非反転アンプになりますが、パッシヴフィルタで高域が十分減衰できればアンプの帯域不足からくる歪みは軽減します。
一応この記事を確認して下さい。
オペアンプで実際にローパスフィルタを作ってみたら
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/8064313.html
さて今回は前回解説したフィードバック系の特性の捕捉です。
帰還コンデンサのおかげで、オペアンプのフィードバック量が低域を高域で異なってしまい、元々高域でユニティゲインの位相マージンのないアンプを使っていると危険、ということでしたがヴィジュアル的に確認しておきます。
オペアンプの spice データを使うと余計なファクタが入ってきますので、モデル化した伝達関数を使うことにします。
ブロック図はこれです。

左から説明していきますと、E1 はオペアンプの 1st ポールを表しています。ここでは 100Hz としてそれにゲイン 100,000(= 100dB)が掛けられています。よってこの部分だけだと帯域は、100Hz x 100,000 = 10MHz になります。E2 はオペアンプの 2nd ポールを表しています。3MHz になります。よってこの周波数で位相は 45°遅れます。
ここまでの周波数特性はこうなります。

このようにゲイン交点 5MHz では、位相が 150°遅れているため位相マージンは 30°しかありません。かなり発振気味になると思います。
一般に位相マージンは 60°欲しいといいますから(私自身は電子回路だけで構成されているのであればもっと必要だと思っています)120°遅れの周波数を見ると 1.7MHz となりゲインは 14dB あります。よってフィードバック系で -14dB(1 / 5 )に減衰する必要があり、アンプとしてのゲインは反転で 4 倍、非反転で 5 倍以上で動作させないといけないわけです。
そこでブロック図の右側のアッテネータの登場になるわけですが、単に抵抗だけの特性であるならば先ほどの特性の Cursor2 を見れば良いので、コンデンサ付きで測定してみると次のようになります。

こんどは 1 / 6 アッテネータの場合は上のグラフで Cursor1、コンデンサ付きの場合は下のグラフで Cursor2 を見るのですが、抵抗だけなら先ほどのように位相マージン 60°、コンデンサが付いてローパスフィルタを構成すると位相マージンが 30°に戻ってしまいます。
(なぜアッテネータが 1 / 6 かというと反転増幅器構成なので 5 倍の DC 利得を取ろうとするとフィードバックは 1 / 6 にする必要があるからです)
ということでヴィジュアル的にカラクリが分かってもらえたでしょうか。
ここまで解説すると疑問が出てくるかも知れません。
「高速オペアンプを使って広帯域増幅器を作る時って、たいていフィードバックに小容量のコンデンサを入れるけどどうして上手くいくの?」
これについては別の要因が絡んできますが、今回の範囲だけだと次の特性で説明出来ます。
ブロック図変えてみました。フィードバックコンデンサを小容量のものにして振ってみます。なし(0.01pF)、1pF、3pF、
5pF、10pF と振ってみます。


見づらいですが、点線が位相特性なので容量が大きくなるほど位相が進んで来る(曲線が上方に持ち上がる)と思って下さい。
ゲイン交点は 10pF を除きどれも似たようなものですが、位相の遅れ量が違っています。何もないと位相マージンは約 60°ですが、1pF なら約 70°、3pF なら約 80°、5pF なら約 85°、10pF は約 95°(補償しすぎ)となっています。
ということでフィードバックコンデンサを適当に調整すると、安定性の調整が出来ることになります。
ただし、反転増幅器としてはフィードバック抵抗との関係で LPF を構成してしまうので、帯域は狭くなります。
10KΩと 1pF なら 16MHz、これが 10KHz と 5pF なら 3.2MHz になっていまいます。もっとも今回の場合はゲイン交点が 1.5MHz なので 5pF を入れても特性には影響ないとは思います。
次回は別の要因も考えてみます。
対応策をまとめておきます。
・ユニティゲインスタビリィティが確保されているアンプを使う。
・帯域が不足しそうな場合はフィルタ段でゲインを確保しようとしない。
・ゲインが必要な場合は、パッシヴフィルタとそこそこ広帯域ゲインアンプを使う。
3 番目が一番確実ですかね。アンプは非反転アンプになりますが、パッシヴフィルタで高域が十分減衰できればアンプの帯域不足からくる歪みは軽減します。
一応この記事を確認して下さい。
オペアンプで実際にローパスフィルタを作ってみたら
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/8064313.html
さて今回は前回解説したフィードバック系の特性の捕捉です。
帰還コンデンサのおかげで、オペアンプのフィードバック量が低域を高域で異なってしまい、元々高域でユニティゲインの位相マージンのないアンプを使っていると危険、ということでしたがヴィジュアル的に確認しておきます。
オペアンプの spice データを使うと余計なファクタが入ってきますので、モデル化した伝達関数を使うことにします。
ブロック図はこれです。

左から説明していきますと、E1 はオペアンプの 1st ポールを表しています。ここでは 100Hz としてそれにゲイン 100,000(= 100dB)が掛けられています。よってこの部分だけだと帯域は、100Hz x 100,000 = 10MHz になります。E2 はオペアンプの 2nd ポールを表しています。3MHz になります。よってこの周波数で位相は 45°遅れます。
ここまでの周波数特性はこうなります。

このようにゲイン交点 5MHz では、位相が 150°遅れているため位相マージンは 30°しかありません。かなり発振気味になると思います。
一般に位相マージンは 60°欲しいといいますから(私自身は電子回路だけで構成されているのであればもっと必要だと思っています)120°遅れの周波数を見ると 1.7MHz となりゲインは 14dB あります。よってフィードバック系で -14dB(1 / 5 )に減衰する必要があり、アンプとしてのゲインは反転で 4 倍、非反転で 5 倍以上で動作させないといけないわけです。
そこでブロック図の右側のアッテネータの登場になるわけですが、単に抵抗だけの特性であるならば先ほどの特性の Cursor2 を見れば良いので、コンデンサ付きで測定してみると次のようになります。

こんどは 1 / 6 アッテネータの場合は上のグラフで Cursor1、コンデンサ付きの場合は下のグラフで Cursor2 を見るのですが、抵抗だけなら先ほどのように位相マージン 60°、コンデンサが付いてローパスフィルタを構成すると位相マージンが 30°に戻ってしまいます。
(なぜアッテネータが 1 / 6 かというと反転増幅器構成なので 5 倍の DC 利得を取ろうとするとフィードバックは 1 / 6 にする必要があるからです)
ということでヴィジュアル的にカラクリが分かってもらえたでしょうか。
ここまで解説すると疑問が出てくるかも知れません。
「高速オペアンプを使って広帯域増幅器を作る時って、たいていフィードバックに小容量のコンデンサを入れるけどどうして上手くいくの?」
これについては別の要因が絡んできますが、今回の範囲だけだと次の特性で説明出来ます。
ブロック図変えてみました。フィードバックコンデンサを小容量のものにして振ってみます。なし(0.01pF)、1pF、3pF、
5pF、10pF と振ってみます。


見づらいですが、点線が位相特性なので容量が大きくなるほど位相が進んで来る(曲線が上方に持ち上がる)と思って下さい。
ゲイン交点は 10pF を除きどれも似たようなものですが、位相の遅れ量が違っています。何もないと位相マージンは約 60°ですが、1pF なら約 70°、3pF なら約 80°、5pF なら約 85°、10pF は約 95°(補償しすぎ)となっています。
ということでフィードバックコンデンサを適当に調整すると、安定性の調整が出来ることになります。
ただし、反転増幅器としてはフィードバック抵抗との関係で LPF を構成してしまうので、帯域は狭くなります。
10KΩと 1pF なら 16MHz、これが 10KHz と 5pF なら 3.2MHz になっていまいます。もっとも今回の場合はゲイン交点が 1.5MHz なので 5pF を入れても特性には影響ないとは思います。
次回は別の要因も考えてみます。