ちょっと開いてしまいました。
今回はスタータ部分を見てみようと思います。
まずスタータとは何かというと、こういった電源回路は不安定な動きをすると電圧を供給されている回路にとってさらに不安定な動き=故障=焼損につながりかねません。そこで供給される側の動きを考慮しながら電源電圧を供給するようにします。
スタータ回路というのはそういった制御を行うものだと考えておいていいと思います。
今回使った Linear Technology 社の DC - DC コンバータですが、さすがに経験豊というかそういった安全面でも配慮されていると思います。自作だとなかなかそうもいかなかったりします。これが一昔前の LDO 的なリニアレギュレータだったらそんなに苦労はしないのですが、DC - DC コンバータのような複雑な動作をするものはそういった配慮がないと危険なのでそれ相応のプロテクタが必要になると思います。
LTC3609 の場合は Run/SS 端子がその制御を行います。
データシートの記載を見てみます。
RUN/SS(ピン12):実行制御とソフトスタートの入力。このピンからグランドに接続したコンデンサにより、フル出力電流までのランプ時間(約3秒/μF)および過電流ラッチオフの遅延時間が設定されます(「アプリケーション情報」を参照)。このピンを0.8Vより低い電圧に強制すると、デバイスがシャットダウンします。
(Linear Technology 社,LTC3609 データシート 8 頁)
RUN/SSピンを使ったソフトスタートとラッチオフ
RUN/SSピンは、ソフトスタート用タイマおよび過電流ラッチオフだけでなく、LTC3609をシャットダウンする手段を与えます。RUN/SSピンを0.8Vより低い電圧に引き下げると、LTC3609を低消費電流(IQ < 30μA)のシャットダウン状態にします。このピンを解放すると、内部の1.2μA電流源が外部のタイミング・コンデンサCSSを充電することができます。RUN/SSが完全にグランドまで引き下げられていると、起動するまでにおよそ次のような遅延が生じます。

以下略
(Linear Technology 社,LTC3609 データシート 16 頁)
ということで適当な容量のコンデンサがつながっていると適当に遅延して上手く動作するようです。前回は 0.001uF = 1000pF がつながっていましたので、これを下げていって見ます。10pF、100pF、1000pF と変化させてみます。
回路図はこうです。C1 以外は同じです。

シミュレーション結果はこうです。V(n004) は Run/SS 端子の電圧です。

10pF は動作しないようですね。ほとんどオープン状態扱いのようです。容量が小さいのであっという間に充電してすぐに放電してしまうので、必要な電圧まで到達できずにいるようです。
アプリケーション情報とブロック図を見ながら考えてみて下さい。
100pF と 1000pF は動作遅延時間が違うだけでちゃんと動いています。出力回路(コンデンサの容量と負荷電流)との関係から、安定になったぐらいを見計らって立ち上がるように設定すると良いでしょう。
ですが、システム構成によってはプログラムによって制御したくなる場合もあります。
データシートにはこの端子に 4.2V 以上であって 4uA 以上の電流を流し込めば、Run 状態に出来る、というようなことが書いてありますので、Run/SS 端子に制御電圧を加えてみます。
回路図です。Run/SS 端子に 1ms 遅れて 5V まで立ち上がる信号を入れてみました。1.5ms ON の後OFF になります。

結果です。

制御電圧 V(n004) の立ち上がりからスイッチング動作が開始されて、0.2ms 後に出力コンデンサに充電が終了~負荷への電力供給が安定し、ディセーブルにするとスイッチング動作が停止して負荷とコンデンサの容量の関係で電圧が減少していく、という動作をしています。
ということで Run/SS 端子の使い方がおおむね分かったことにします。
システム構成にもよりますが、制御プログラムなどが安定に動いていない状態で大電力系に電源を供給すると危険な場合は、このような回路構成にすることで、システム電源が立ち上がってプログラムが安定に動いた後に大電力系の電源をイネーブルにすることが出来ます。
今回はスタータ部分を見てみようと思います。
まずスタータとは何かというと、こういった電源回路は不安定な動きをすると電圧を供給されている回路にとってさらに不安定な動き=故障=焼損につながりかねません。そこで供給される側の動きを考慮しながら電源電圧を供給するようにします。
スタータ回路というのはそういった制御を行うものだと考えておいていいと思います。
今回使った Linear Technology 社の DC - DC コンバータですが、さすがに経験豊というかそういった安全面でも配慮されていると思います。自作だとなかなかそうもいかなかったりします。これが一昔前の LDO 的なリニアレギュレータだったらそんなに苦労はしないのですが、DC - DC コンバータのような複雑な動作をするものはそういった配慮がないと危険なのでそれ相応のプロテクタが必要になると思います。
LTC3609 の場合は Run/SS 端子がその制御を行います。
データシートの記載を見てみます。
RUN/SS(ピン12):実行制御とソフトスタートの入力。このピンからグランドに接続したコンデンサにより、フル出力電流までのランプ時間(約3秒/μF)および過電流ラッチオフの遅延時間が設定されます(「アプリケーション情報」を参照)。このピンを0.8Vより低い電圧に強制すると、デバイスがシャットダウンします。
(Linear Technology 社,LTC3609 データシート 8 頁)
RUN/SSピンを使ったソフトスタートとラッチオフ
RUN/SSピンは、ソフトスタート用タイマおよび過電流ラッチオフだけでなく、LTC3609をシャットダウンする手段を与えます。RUN/SSピンを0.8Vより低い電圧に引き下げると、LTC3609を低消費電流(IQ < 30μA)のシャットダウン状態にします。このピンを解放すると、内部の1.2μA電流源が外部のタイミング・コンデンサCSSを充電することができます。RUN/SSが完全にグランドまで引き下げられていると、起動するまでにおよそ次のような遅延が生じます。

以下略
(Linear Technology 社,LTC3609 データシート 16 頁)
ということで適当な容量のコンデンサがつながっていると適当に遅延して上手く動作するようです。前回は 0.001uF = 1000pF がつながっていましたので、これを下げていって見ます。10pF、100pF、1000pF と変化させてみます。
回路図はこうです。C1 以外は同じです。

シミュレーション結果はこうです。V(n004) は Run/SS 端子の電圧です。

10pF は動作しないようですね。ほとんどオープン状態扱いのようです。容量が小さいのであっという間に充電してすぐに放電してしまうので、必要な電圧まで到達できずにいるようです。
アプリケーション情報とブロック図を見ながら考えてみて下さい。
100pF と 1000pF は動作遅延時間が違うだけでちゃんと動いています。出力回路(コンデンサの容量と負荷電流)との関係から、安定になったぐらいを見計らって立ち上がるように設定すると良いでしょう。
ですが、システム構成によってはプログラムによって制御したくなる場合もあります。
データシートにはこの端子に 4.2V 以上であって 4uA 以上の電流を流し込めば、Run 状態に出来る、というようなことが書いてありますので、Run/SS 端子に制御電圧を加えてみます。
回路図です。Run/SS 端子に 1ms 遅れて 5V まで立ち上がる信号を入れてみました。1.5ms ON の後OFF になります。

結果です。

制御電圧 V(n004) の立ち上がりからスイッチング動作が開始されて、0.2ms 後に出力コンデンサに充電が終了~負荷への電力供給が安定し、ディセーブルにするとスイッチング動作が停止して負荷とコンデンサの容量の関係で電圧が減少していく、という動作をしています。
ということで Run/SS 端子の使い方がおおむね分かったことにします。
システム構成にもよりますが、制御プログラムなどが安定に動いていない状態で大電力系に電源を供給すると危険な場合は、このような回路構成にすることで、システム電源が立ち上がってプログラムが安定に動いた後に大電力系の電源をイネーブルにすることが出来ます。