出遅れた話題です。

ちょっと前に「安倍総理消費税増税を決断!」とかいう主旨の報道が出回った。NHK でも報道していたからそれなりのソースがあったのだろう。ところがニュースを見ても政府関係者の直接のインタビュー、談話の映像は一つもなかった。それどころか菅官房長官がそんな報道があった後に「総理が決断した、という話は全くない」と記者会見で否定したという話も出回っていた。
どうやら安倍総理が消費税増税をするという前提で経済対策をするとすれば何をどのくらいやらなくてはいけないか検討するように指示をした(これは本当のようだ)というのを「消費税増税決断」という形で報道したのだろう。実際 10月 1日に決断する、と云っていたしこんな大事なことを総理もしくは政府関係者の直接の説明もなしに決めるなどと云うことは考えづらいから、マスコミの誇張報道だと思う。だからといって増税しないという話ではないと思うが。

昨日安倍総理と麻生副総理が経済対策について話し合い、消費税増税分による景気腰折れを防ぐために法人税減税を検討したい、ということだったようだが、麻生総理が「消費税の増税分は社会保障費に充てるというのが原則だから法人税減税に結びつけることはよろしくない」という内容で難色を示したとか。これは消費税増税の主旨が社会保障財源の確保だったから麻生副総理の意見の方がスジは通っているように見える。

ただこちらにも書いたように、

どうなる?気になる消費税増税?
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/9272789.html

何か主旨そのものがあやふやなになってきた感じがするのは私だけか。
総理のブレインの一人である浜田官房参与も「毎年 1% ぐらいずつ上げるのが望ましい」といっていて、実はそれは仕組み構築上大変なので実質やるなと控えめに言っているように「今ではないでしょう!」というのが大方の雰囲気ではないかと思う。
増税推進派の一番大きな論拠は「国際的信用を失う」のようだが、一説によると全く意味がないらしい。だいたいそれならば国民の生活を無視して国際公約などと国際会議の場で話したこと自体が国民に対する背信行為ではないか。国益にならない条約を全権が結んできたら国会で却下できる(批准しない)というのもあるのだ。

インフレ率 2% が健全な経済状態だったとすると(これは歴史的にそういうものらしい)、それは収入増があってのことである。であれば雇用を増やすことが急務で、とはいっても日本の失業率は低い方のようだが、またブラック企業なども取り締まって正常な経営と労働環境を維持することが大事だと思う。個人的には日本の雇用形態がおかしくなってきたのは「成果主義」という言葉が流行りだしてきてからのような気がする。

さて政府の動きだが少し妄想をしてみる。
安倍総理のスタンスは消費税増税には慎重である。麻生副総理は積極的である。そして二人ともそれぞれの立場でのスジ論から云うと少しおかしなことを云っている。安倍総理は上述の景気腰折れを防ぐために法人税減税を検討したいといい、麻生副総理は国際公約にこだわっている。むしろ立場から云えば安倍総理は国の代表として国際公約にこだわりそうだし、方や消費税増税して法人税減税は国民から最も嫌われるストーリーであるし、麻生副総理は経済に強いので景気腰折れにはむしろ慎重になりそうだ。実際は云うことは逆である。
何か二人ともアリバイ作りのような気がしなくもない。
何に対するアリバイというかというと、これが微妙で増税推進とも増税保留とも取れる。

楽観的に見ると増税保留である。
その場合は、安倍総理の場合は国民に対して増税した場合の国民生活への影響を最小限にとどめる有効な手立てがないので保留する、と云えそうだし、麻生副総理の場合は世界に対して国際公約を守るべく推進しようとしたが、そのうえで景気の腰折れを防ぐ有効な手立てがないため保留する、と云えそうだ。

悲観的に見ると逆の論法で増税を決断する、という云い方に化けなくもない。

果たして両者の腹づもりはどちら?

自分の見るところでは最悪な選択は増税して法人税減税して投資は増えれど雇用は?で、低所得層の負担が増え、それを補填しようとして税率に品目別にメリハリを付ける、そのために新しい組織を作って、天下り先を増やして利権が生じて汚職が増えて,,,、だと思う。

昨年こんなことを考えた。

消費税増税と対策案
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7300493.html

さらにいえば、法人税減税は雇用とセットにしてもらいたいと思う。
こんな妄言はいかが?

政府の公約その他(法人税減税の行方)
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/9061004.html

ということで増税はちょっと待った方が良いと思うのだが、日本も社会インフラの老朽化やオリンピックに向けての施設整備、もちろん震災復興など課題が山積みである。お金は山ほど必要である。良い方向に進んでもらいたいと思うのである。

そんなこんなで妄想していたら、円安の影響で海外からの観光客が増えているというニュースがあった。結構なことである。日本の文化や技術、社会、歴史がおもしろ半分でも良いから多くの人に知ってもらうのは喜ばしいし、誇りに思う。経済効果もある。
が、国を豊にする(日本ぐらいの規模の場合)基本は製造である。
こちらにも書いたが、

「メイド・イン・ジャパン逆襲のシナリオ」の第1回目の感想のつづき

http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7115112.html

ひとり当たりの GDP でみると、製造業はサービス業の倍近いのだ。
どこまでいっても「頑張れ製造業」なのである。