参議院選挙の投票率が 52.61% だった。ネットでの選挙活動を行った割には低かったという印象だ。NHK の出口調査では候補者選びにネット情報を参考にしたか、という問いに対しては 20 代、30 代では「参考にした」というのがそれなりの率でいたので、ネット選挙活動解禁の効果はなにがしかあったと思って良さそうだ。ただ投票率に結びつかなかったのはなぜだろうか。

それにしても 21 日 8 時の NHK の選挙速報番組にはびっくりした。投票を締め切った瞬間「ねじれ解消!」の報道である。一票も開けていないのにである。確かに出口調査他の情報収集を念入りにやっているからまず問題なく「当確」を発表できるのだと思うが、開票作業をする人に失礼でないかい?担当者は神経を使い訓練を重ねて準備万端、さあ開票作業をするぞ!といっているところに結果がほぼ出ているって、なんだ?と思う。
それなら即日開票する必要もないだろう、とまでは言い過ぎかも知れないが。

このことは前日までのメディアの報道にも問題があるような気がする。ほとんどが「与党大勝、ねじれ解消なる」といった予想を立てていた。まあだれにでも予想できることだが、それによって選挙自体が投票当日白けムードになったのは否めないと思うがどうだろう。

おそらくメディア各社は与党の大勝を予想し、国民のバランス感覚になにがしかの訴えをしたかったのだろうが(メディアとしてはある程度緊張感を持っている方がネタが増えると考えているだろう)、今回は逆効果だったのではないかと思う。野党側で組織票が期待できるのは共産党ぐらいで他はその都度浮動票に期待していたので、その人達が結果が見えているという報道に白け気分を持ったら投票には行かなかったのではないか。そして組織票の強い与党と共産党が結果的に伸びた、ということだったのではないか。実際そういう指摘は散見されるし。

さて「クローズアップ現代」では、党首の中でネットの活用を最も行っていたのが共産党の志位委員長、ついで自民党の安倍総理と云っていた。民主党の海江田代表に至っては全く投稿していなかったようだ。なるほどね、投票率には結びつかなかったが候補者選びにはストレートに効果があったようにも見える。まあ民主党については他のマイナス要素も多すぎるので、そういう単純な話ではないとは思うが。いや別の意味で単純な話か。データから検定してみれば有意差があるかどうか分かるでしょう。どうやって良いかは分かりませんが。

自民党のネット選挙活動対策は番組で紹介されている範囲では用意周到なものだったようだ。ネットでの話題に対してリアルタイムに候補者に有権者の関心事を伝え、キーワードとして演説に使うように伝達していたようだ。結構そういうブレインがいるんですね。

無名ながらネット活動を地道に続け、当選はならなかったが 17 万票以上を集めた候補者、ネットを中心に活動して手応えがあったにも関わらず、数万票も集められなかった候補者などもいたようで、これから書籍、雑誌、web サイトなどで色々な意見が飛び交うだろう。それは候補者向けもあれば、有権者向けの内容もなるだろう。

いずれにせよ、国民が政治に、選挙に関心を持つことは良いことだと思う。まずは投票率の改善である。