10KHz でサンプリングするためには、その直前の信号帯域としてはナイキスト周波数 fc / 2 = 5KHz 以下にしないとエイリアシングと云って、必要帯域内に元々なかった周波数が現れることを説明しました。
仮に必要帯域が Wiki に書いてあったように、45% の 4.5KHz だとすると、5KHz 以上ではかなりな減衰量を持ったフィルタで処理しておかないといけないわけですが、このフィルタをアナログ回路で組もうとするとかなり難しいというのはよく言われていることです。自分はやったことがないというかやる気もないですが。
さて、一昔前ならともかくありがたいことにデバイスの性能が上がっているので、とりあえずサンプリング周波数を上げるのはさほど技術的にも経済的にも難しいことではありません。よってもっと高い周波数でサンプリングしてもいいのでは、ということになります。
たとえば、サンプリング周波数を 10KHz から 100KHz に変えたら、必要帯域が 4.5KHz としても 50KHz 以上を十分減衰させればいいので、前置フィルタの特性は実現しやすくなります。5KHz から -20dB / dec の簡単なフィルタでも、20dB 減衰させることができますし、2 ~ 3 段か重ねるだけでも十分かも知れません。元の信号に 50KHz 以上が含まれていなければフィルタすら不要でしょう。
で、高い周波数でサンプリングするのはいいとして、そのままの周波数でシステムが組めれば良いのですが、別の理由で(後で出てきます)デジタル信号処理としては元の 10KHz に戻しておきたい、という場合はどうしましょうか。
この場合は、高い周波数でサンプリングされたデジタル信号をダウンサンプリングすることになります。
ダウンサンプリングすると云うことは、その低い周波数でサンプリングする方から見ると帯域の広いアナログ信号をサンプリングするのと同じように見えます。よってダウンサンプリングする直前に元の話と同様にダウンサンプリングする周波数の半分以下に制限するフィルタを入れなくてはいけません。
なんだ同じことか、と思うのですが、そこはデジタル処理の良いところで数値演算だけですので再現性よく安定な高次のフィルタを構成することが出来ます。(らしい)
構成としてはこんな感じになります。fsh は高い周波数のサンプリング周波数で fsl は低い周波数のサンプリング周波数です。

LTspice で見てみましょう。といってもデジタル信号化は出来ませんので、あくまでもアナログ信号処理になってしまいます。
ブロック図はこうです。

前置フィルタは、カットオフ周波数 5KHz の一次フィルタ二段で、50KHz 以上では 40dB 以上の減衰量です。
内部の仮想デジタルフィルタは、三次のチェビシェフ・フィルタを四段構成にしています。5KHz で 13dB 以上の減衰量です。

どちらもあまり賢くない構成ですが、とりあえずです。折角デジタルで構成するのだからもっと無茶なフィルタ特性にしたかったのですが、10 次クラスになると参考文献がなくてあきらめました。
それでシミュレーションをしてみました。正弦波 6.5KHz を高い周波数=100KHz でサンプリングしたときの FFT 結果とサンプリング後に仮想デジタルフィルタを通した後の FFT 結果です。

6.5KHz が 40dB 減衰しています。
これを 10KHz でダウンサンプリング変換したときの FFT 結果です。

前と同じようにエイリアシングは起きてはいますが、レベルは -50dB 以下です。これが無視できるかどうかとなります。
要は処理の中での最も低いサンプリング周波数に対するナイキスト周波数以上をどこでどれだけ減衰させられるかという話でしかないような気がしますが、ではどこでそんな急峻なフィルタを作るのがが良いかというと、アナログよりはデジタルの方がやりやすいだろう、少しでもサンプリング周波数が高い方が良かろう、というだけのことです。
急峻なデジタルフィルタの具体例は見つからなかったので、これ以上は今は無理ですが、おそらくオーディオの世界での録音機器では相当なものが使われているのだと想像します。昔ならともかく今は録音機器のサンプリング周波数はかなり高いのではないでしょうか。
ではとにかくサンプリング周波数は高ければいいのか、というと別の話が出てきまして...。
その解説はもう少し後に出てきます。
仮に必要帯域が Wiki に書いてあったように、45% の 4.5KHz だとすると、5KHz 以上ではかなりな減衰量を持ったフィルタで処理しておかないといけないわけですが、このフィルタをアナログ回路で組もうとするとかなり難しいというのはよく言われていることです。自分はやったことがないというかやる気もないですが。
さて、一昔前ならともかくありがたいことにデバイスの性能が上がっているので、とりあえずサンプリング周波数を上げるのはさほど技術的にも経済的にも難しいことではありません。よってもっと高い周波数でサンプリングしてもいいのでは、ということになります。
たとえば、サンプリング周波数を 10KHz から 100KHz に変えたら、必要帯域が 4.5KHz としても 50KHz 以上を十分減衰させればいいので、前置フィルタの特性は実現しやすくなります。5KHz から -20dB / dec の簡単なフィルタでも、20dB 減衰させることができますし、2 ~ 3 段か重ねるだけでも十分かも知れません。元の信号に 50KHz 以上が含まれていなければフィルタすら不要でしょう。
で、高い周波数でサンプリングするのはいいとして、そのままの周波数でシステムが組めれば良いのですが、別の理由で(後で出てきます)デジタル信号処理としては元の 10KHz に戻しておきたい、という場合はどうしましょうか。
この場合は、高い周波数でサンプリングされたデジタル信号をダウンサンプリングすることになります。
ダウンサンプリングすると云うことは、その低い周波数でサンプリングする方から見ると帯域の広いアナログ信号をサンプリングするのと同じように見えます。よってダウンサンプリングする直前に元の話と同様にダウンサンプリングする周波数の半分以下に制限するフィルタを入れなくてはいけません。
なんだ同じことか、と思うのですが、そこはデジタル処理の良いところで数値演算だけですので再現性よく安定な高次のフィルタを構成することが出来ます。(らしい)
構成としてはこんな感じになります。fsh は高い周波数のサンプリング周波数で fsl は低い周波数のサンプリング周波数です。

LTspice で見てみましょう。といってもデジタル信号化は出来ませんので、あくまでもアナログ信号処理になってしまいます。
ブロック図はこうです。

前置フィルタは、カットオフ周波数 5KHz の一次フィルタ二段で、50KHz 以上では 40dB 以上の減衰量です。


どちらもあまり賢くない構成ですが、とりあえずです。折角デジタルで構成するのだからもっと無茶なフィルタ特性にしたかったのですが、10 次クラスになると参考文献がなくてあきらめました。
それでシミュレーションをしてみました。正弦波 6.5KHz を高い周波数=100KHz でサンプリングしたときの FFT 結果とサンプリング後に仮想デジタルフィルタを通した後の FFT 結果です。

6.5KHz が 40dB 減衰しています。
これを 10KHz でダウンサンプリング変換したときの FFT 結果です。

前と同じようにエイリアシングは起きてはいますが、レベルは -50dB 以下です。これが無視できるかどうかとなります。
要は処理の中での最も低いサンプリング周波数に対するナイキスト周波数以上をどこでどれだけ減衰させられるかという話でしかないような気がしますが、ではどこでそんな急峻なフィルタを作るのがが良いかというと、アナログよりはデジタルの方がやりやすいだろう、少しでもサンプリング周波数が高い方が良かろう、というだけのことです。
急峻なデジタルフィルタの具体例は見つからなかったので、これ以上は今は無理ですが、おそらくオーディオの世界での録音機器では相当なものが使われているのだと想像します。昔ならともかく今は録音機器のサンプリング周波数はかなり高いのではないでしょうか。
ではとにかくサンプリング周波数は高ければいいのか、というと別の話が出てきまして...。
その解説はもう少し後に出てきます。