「やさしく考えるアナログ回路」シリーズですが、「微分器」まで解説したところで「アナログ電子回路コミュニティ」でのお題にそれてしまいました。
ただお題の検討の中で、それまでに解説した基本的な考え方を踏襲しながら進めたつもりですがいかがでしょうか。

まずオペアンプを使った回路を考える際に、5 つの法則を挙げました。

1.オームの法則
2.キルヒホッフの法則
3.(+)端子と(-)端子は同電位。
4.(+)端子と(-)端子には電流は流れない。
5.オペアンプの出力端子は電圧源。


これに加えて、理想と現実の違いをいくつか紹介しています。電源電圧などの関係です。
さらに自動制御で出てくる伝達関数の考え方を持ち込んで、周波数特性を持った回路を説明しました。

これらの内容を鑑みながら、お題の「電流電圧変換~光電変換回路」「FET を使った定電流回路」を説明してみましたが、流れはつかんでいただけたでしょうか。でも長いので読むのはちょっと大変ですよね。何かの機会があったらもう少しまとめてみたいとは思います。

で、一言で言うとオペアンプを使った回路の設計をする場合は、まず理想部品だと思って回路を考える、です。5 つの法則と理想的な受動部品、理想電流-電流制御のトランジスタ、理想電圧-電流制御の FET で考えましょう、ということです。回路は出来るだけシンプルに考えます。そして設計上欲しい仕様をカバー出来るかどうか確認しながら部品を選んでいきます。そこで理想と現実の違いが問題になりそうだったら、そこを手当てする、という考え方が良いと思います。
ちょっと古い本に載っている回路例だと当時の部品性能に合わせて色々工夫しています。それらの周辺回路ありきで設計し出すと抑えるべきポイントがずれてしまう可能性があるので、理想型から出発することをお勧めします。あるいはここに書いたことを参考にそれらの回路例を分析してみるともっといいでしょう。

お題の中で使われた基本回路は以下の 3 つです。

電流電圧変換回路

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差動回路

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電圧電流回路


イメージ 3
これらの回路をベースに必要な性能を出すべく工夫してきたわけです。
付け加えると差動回路はレベルシフターとしてなかなか便利です。私も多用しました。特にデジタル回路とアナログ回路との電位的インターフェースに活躍しました。

お題の解説の中で「スルーレート」とか「オフセット」などについてはまだ「理想と現実の狭間」として解説していないのでぼちぼちやっていこうと思います。

ここが知りたい、わかりにくいなどのご意見などありましたら是非お願いします。