半年ほど前に「メイド・イン・ジャパン逆襲のシナリオ」の第1、2回目のを見たという感想を書いた。
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7030187.html
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7115112.html
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7112248.html
今回はそのパート2ということで同じように2回に分けて「企業のあり方」と「国家戦略」について特集である。
第1回の様子は以下の通りである。
出演:
ジョン・カビラ、上田早苗
京都大学客員准教授 瀧本哲史
片岡利文 解説員
前半は組織作りを変えることで、顧客のニーズをつかむというのがテーマであった。
MAZDA:
一度経営難に陥ったときに分業化を徹底して、コスト削減に努めたがまた見直しに迫られた。(この辺の経緯はよく分からなかった)
一括企画(部門名)を作り開発から製造まで一体となって製品作り、問題解決に取り組んで成果を出した。
この中で面白かったのが、MAZDA は大手ではなくシェアは全体の 2% かも知れないが、「走りを求めるお客さん」の中では 80% かも知れない、という発想である。なるほど全体のシェアを争おうとすると勢いコスト優先になってきて、利益率を確保するのが難しいがある特定の性能を求める市場の中では台数は規模は少なくても利益率が出ることがあると云うことだろう。
もう一つは「難しい問題を解くときは分業化では難しい」という話だ。
これ私のチープな経験でも感じる。初期の光ディスクドライブは市場は小さかった。特殊な用途でデータを保存しておきたいという顧客に対するものだったが、開発から製造まで同じ部門でやっていた。量産(といっても月 100 台程度のもの)間近になると、歩留まり問題、工程問題、品質問題が次から次への登場し、毎日設計製造部門で侃々諤々やっていたものだ。設計も新しい問題に対してはすぐに解決策が出るはずもなく、工程にお願いして「済みません、このやり方で試させて下さい」などとやったものだ。
パナソニック:
ご存知の通り、ここ 2 年悲惨な状況になっている。一昨年はすべての不採算を精算して、昨年から浮上という期待があったがそうはならなかったようだ。原因はプラズマテレビにこだわったことにある。
この手の話は前回もあって、ソニーがアップルに遅れを取った理由に通じるところがあるだろう。
さて挽回策というと、パナソニック関係者からはこの言い方は出なかったが「中小企業の集合体的組織作り」ということのようだ。
昔は事業部制、一時期は効率重視の巨大組織、そして今回はカンパニー制の下に事業部制を入れたということであるが、本社の役割は投資会社という位置づけのようだ。
イメージ組織図は、社長を頂点としてカンパニー、そして事業部が続き、それぞれが顧客に対応するとなっていたが、番組では上下を逆にした図を書いていた。これがなかなか面白く、多種多様な顧客が一番上にあってをそれをサポートする事業部がその下、それらに横串を通すカンパニー、そして最終責任を持ちつつそれらを支援する社長が一番下、という構図である。
最近の成果として、ノート PC 事業の紹介をしていたが、大量生産にこだわらず顧客ごとに要望、意見を聞きながらカスタマイズするという方法を採って、企業相手のノート PC 事業を行い高い利益率を確保しているとのことだ。つまり全体シェアは低いが「あるニーズの顧客」に対しては高いシェアである、ということだ。こで昔デルコンピュータが採用していた方法に近いかも知れない。デルは PC とアプリという組み合わせであったが、パナソニックの場合はハードウェアそのものをどんどんカスタマイズするという考え方だ。
別の番組であったが、日本の家電企業アイリスオーヤマの例も思い出す。営業が販売店の要望、意見を聞きながら開発に軽いフットワークでフィードバックしていた。
ここでグローバル市場とは何か、という話が出た。瀧本哲史氏の話では、グローバル市場というのは一つの形としてあるわけではない、小さな種々の市場の集合体がグローバル市場であって、そこには多様性と変化が求められるということである。
京セラの例ではアメーバ経営というのが紹介されていた。それぞれの組織がアメーバ化していて何かやるべきことが生じると分裂して人がそれぞれの事業に参画していくというものだった。また各チームが事業責任を持っていて小さな会社を個性していて係数に責任を持つと云うことだった。
京セラの稲森会長の言葉だが、「日本企業の強み=自発性だった」なるほどそうだと云われると改めてそう思う。
少し前後するがその日本企業の強みの例としてブランド力を上げていた。
アジア数都市での高品質製品イメージアンケート調査である。広告代理店が行ったものであるが、年は不明。

日本製、アメリカ製、韓国製に対する高品質イメージとしては、マニラを除きすべて日本がトップである。
面白いのはソウルですら、韓国製よりも日本製の方が高品質イメージだということだ。
確かに一昔前は日本製と云えば高品質というイメージ(その前は安物だったが)だったが、本当に今もそうなのか、だとすればその理由は何か考えてみるのも一策ではないかと思う。
ただパナソニックの例でも「不要な高品質」は認めてもらえない、というのは明かだろう。半年前のトピックでもソニーがアップルに遅れを取った理由にそういったものがあったのではないかと思う。
ここからは私見だが、調査年は不明だがまだ日本製ブランドが「高品質」であるならば、その理由を把握しておかないといけないだろう。それは単に製品のできばえだけではなく、その背景までもつかんでおく必要があるのではないか。
その秘密の一つとして番組で使われていた言葉が「こだわり」「慮り」「もてなし」かも知れない。これらが本当にそれを説明出来るかどうかはさておき何かあるはず、という自分発見が日本企業に必要なことかも知れない。
番組の後半の方では、京都試作ネット、中小企業中心のドリームチームなどが紹介されていた。
京都試作ネットは大企業が中小企業の技術を利用して、中小企業にも開発に参画してもらうという例、
ドリームチームは「植物工場」を開発した中小企業が、大企業の支援を得て中東への売り込み、大規模化などを進めるという例である。
元々は大企業がイニシアティヴを握って中小企業を使う、というのが逆転して中小企業が中心となって大企業の支援を使うということだ。
こういったことも日本企業ならではの取り組みかも知れない。
作りたいものを作って世界に価値を発信していた時代がかつてのものづくり日本だったとすれば、サービス業的ものづくりに移行していくこれからのものづくり、それを長い日本の歴史の中で考える必要があるということで今回は絞めていた。
次回は第2回の感想を書いてみることにする。
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7030187.html
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7115112.html
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7112248.html
今回はそのパート2ということで同じように2回に分けて「企業のあり方」と「国家戦略」について特集である。
第1回の様子は以下の通りである。
出演:
ジョン・カビラ、上田早苗
京都大学客員准教授 瀧本哲史
片岡利文 解説員
前半は組織作りを変えることで、顧客のニーズをつかむというのがテーマであった。
MAZDA:
一度経営難に陥ったときに分業化を徹底して、コスト削減に努めたがまた見直しに迫られた。(この辺の経緯はよく分からなかった)
一括企画(部門名)を作り開発から製造まで一体となって製品作り、問題解決に取り組んで成果を出した。
この中で面白かったのが、MAZDA は大手ではなくシェアは全体の 2% かも知れないが、「走りを求めるお客さん」の中では 80% かも知れない、という発想である。なるほど全体のシェアを争おうとすると勢いコスト優先になってきて、利益率を確保するのが難しいがある特定の性能を求める市場の中では台数は規模は少なくても利益率が出ることがあると云うことだろう。
もう一つは「難しい問題を解くときは分業化では難しい」という話だ。
これ私のチープな経験でも感じる。初期の光ディスクドライブは市場は小さかった。特殊な用途でデータを保存しておきたいという顧客に対するものだったが、開発から製造まで同じ部門でやっていた。量産(といっても月 100 台程度のもの)間近になると、歩留まり問題、工程問題、品質問題が次から次への登場し、毎日設計製造部門で侃々諤々やっていたものだ。設計も新しい問題に対してはすぐに解決策が出るはずもなく、工程にお願いして「済みません、このやり方で試させて下さい」などとやったものだ。
パナソニック:
ご存知の通り、ここ 2 年悲惨な状況になっている。一昨年はすべての不採算を精算して、昨年から浮上という期待があったがそうはならなかったようだ。原因はプラズマテレビにこだわったことにある。
この手の話は前回もあって、ソニーがアップルに遅れを取った理由に通じるところがあるだろう。
さて挽回策というと、パナソニック関係者からはこの言い方は出なかったが「中小企業の集合体的組織作り」ということのようだ。
昔は事業部制、一時期は効率重視の巨大組織、そして今回はカンパニー制の下に事業部制を入れたということであるが、本社の役割は投資会社という位置づけのようだ。
イメージ組織図は、社長を頂点としてカンパニー、そして事業部が続き、それぞれが顧客に対応するとなっていたが、番組では上下を逆にした図を書いていた。これがなかなか面白く、多種多様な顧客が一番上にあってをそれをサポートする事業部がその下、それらに横串を通すカンパニー、そして最終責任を持ちつつそれらを支援する社長が一番下、という構図である。
最近の成果として、ノート PC 事業の紹介をしていたが、大量生産にこだわらず顧客ごとに要望、意見を聞きながらカスタマイズするという方法を採って、企業相手のノート PC 事業を行い高い利益率を確保しているとのことだ。つまり全体シェアは低いが「あるニーズの顧客」に対しては高いシェアである、ということだ。こで昔デルコンピュータが採用していた方法に近いかも知れない。デルは PC とアプリという組み合わせであったが、パナソニックの場合はハードウェアそのものをどんどんカスタマイズするという考え方だ。
別の番組であったが、日本の家電企業アイリスオーヤマの例も思い出す。営業が販売店の要望、意見を聞きながら開発に軽いフットワークでフィードバックしていた。
ここでグローバル市場とは何か、という話が出た。瀧本哲史氏の話では、グローバル市場というのは一つの形としてあるわけではない、小さな種々の市場の集合体がグローバル市場であって、そこには多様性と変化が求められるということである。
京セラの例ではアメーバ経営というのが紹介されていた。それぞれの組織がアメーバ化していて何かやるべきことが生じると分裂して人がそれぞれの事業に参画していくというものだった。また各チームが事業責任を持っていて小さな会社を個性していて係数に責任を持つと云うことだった。
京セラの稲森会長の言葉だが、「日本企業の強み=自発性だった」なるほどそうだと云われると改めてそう思う。
少し前後するがその日本企業の強みの例としてブランド力を上げていた。
アジア数都市での高品質製品イメージアンケート調査である。広告代理店が行ったものであるが、年は不明。

日本製、アメリカ製、韓国製に対する高品質イメージとしては、マニラを除きすべて日本がトップである。
面白いのはソウルですら、韓国製よりも日本製の方が高品質イメージだということだ。
確かに一昔前は日本製と云えば高品質というイメージ(その前は安物だったが)だったが、本当に今もそうなのか、だとすればその理由は何か考えてみるのも一策ではないかと思う。
ただパナソニックの例でも「不要な高品質」は認めてもらえない、というのは明かだろう。半年前のトピックでもソニーがアップルに遅れを取った理由にそういったものがあったのではないかと思う。
ここからは私見だが、調査年は不明だがまだ日本製ブランドが「高品質」であるならば、その理由を把握しておかないといけないだろう。それは単に製品のできばえだけではなく、その背景までもつかんでおく必要があるのではないか。
その秘密の一つとして番組で使われていた言葉が「こだわり」「慮り」「もてなし」かも知れない。これらが本当にそれを説明出来るかどうかはさておき何かあるはず、という自分発見が日本企業に必要なことかも知れない。
番組の後半の方では、京都試作ネット、中小企業中心のドリームチームなどが紹介されていた。
京都試作ネットは大企業が中小企業の技術を利用して、中小企業にも開発に参画してもらうという例、
ドリームチームは「植物工場」を開発した中小企業が、大企業の支援を得て中東への売り込み、大規模化などを進めるという例である。
元々は大企業がイニシアティヴを握って中小企業を使う、というのが逆転して中小企業が中心となって大企業の支援を使うということだ。
こういったことも日本企業ならではの取り組みかも知れない。
作りたいものを作って世界に価値を発信していた時代がかつてのものづくり日本だったとすれば、サービス業的ものづくりに移行していくこれからのものづくり、それを長い日本の歴史の中で考える必要があるということで今回は絞めていた。
次回は第2回の感想を書いてみることにする。