新しい IC に入れ替えて何とか DC 特性も AC 特性も出るようになったわけですが、何か欲求不満が残ります。つまり帰還コンデンサで接合容量を打ち消すのはよいが、それが帰還抵抗との関係でローパスフィルタ的な特性を示してしまうことです。
帰還コンデンサを使わずに、かつ接合容量の影響を受けないで安定な系を作り、そこに電流を入れて帰還抵抗で電流電圧変換出来ないものでしょうか。だいたい高速オペアンプって DC 特性が悪いとか、ゲイン交点付近の位相マージンがあまりなく高利得で動作させるのが普通で電流電圧変換のようなゲイン1で動作させるのに向いていないものが多いようです。

高速広帯域のオペアンプを電流電圧変換につかうことは出来ないか、ゲインが1だから不安定なんであって...。
おっと、ちょっと思い出して下さい。

あれ?!性能が出ない?>ゲインと帯域:反転加算増幅器
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/8016045.html

ここでの後半に LT1037 を使って低ゲインで動作をさせる方法、ループゲインを消費させる方法を載せてあります。これが応用できないでしょうか。
つまり PD からの電流出力は置いておいて、グランド電位を適当に増幅する形式を作れば、接合容量があっても安定な動作が出来るのではないか、ということです。もちろんこの場合はゲインを消費した分だけ帯域は下がります。ですがもともと帯域が広いオペアンプならば多少消費しても帯域が稼げるのではないか、という意味です。

同じ AD8066 を使った回路はこんな感じです。

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ゲイン設定抵抗を振ってみたところ、特性はこんな感じです。
RG = 500, 750, 1000, 1250
イメージ 2
一番よさげなのが 750Ωのようですが、これでも 9.4MHz の帯域を持っています。前回のコンデンサによる補償に比べて広めになりました。なおこの場合の接合容量の影響ですが、時定数は RG と RF の並列合成抵抗との組み合わせになるので、位相回りを起こす一桁以上周波数が上がります750Ω の場合で、1.6MHz → 45MHz)。そのためアンプとしては安定領域で動かすことが出来るわけです。

この手口でもう少し帯域の広いものでやってみます。ただし入力バイアス電流が大きいので実用的ではないかも知れません。
AD848 で行ったところ、以下のようになりました。
RG = 500, 750, 1000, 1250
イメージ 3
500Ω なら安定のようで、帯域は 14.0MHz です。

なおこの場合は、フィードバック回路で設定されたゲイン分だけ入力オフセットが増幅されます。これは出力電圧にオフセット電圧として反映されます。これを避けたい方のために次の回路のようゲイン補正用の抵抗に大きなコンデンサを入れて直流をカットします。

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しかし伝達特性は変わりません。厳密に言うとオープンループゲインの位相に影響を与えていますが、コンデンサの容量を大きくすることで回避できます。回路上での R1 と C1 の時定数を使いたい帯域の数十分の一以下にしておけば大丈夫だと思います。

一つのアイディアとして参考にしてもらえるといいと思います。