前回はオペアンプを通じて電流電圧変換を行って、かつそれなりに広帯域を安定に得るにはという一つの方法を紹介してみました。一番よくテキストや IC のユーザマニュアルなどでも紹介されるものです。
で、一つ失敗してしまったのがオペアンプの選び方で、スペックをよく見ないまま広帯域のものということで AD826 選んでしまったのですが、この IC は入力バイアス電流が uA オーダで結構大きいです。光電流出力が桁違いに大きければ気になりませんが、実際はそうもいかないでしょう。これは最終的には DC オフセット電圧という形で誤差になります。
これを軽減するには次の回路のように、(+)端子に帰還抵抗と同じ値の抵抗をグランド電位との間に入れておきます。また(+)端子と(-)端子の交流的な結合もあるらしく、少し大きめの容量も入れておくと特性が素直になるようです。(群遅延特性がフラットになる)

実際に入力電流を入れて比較するとこんな感じです。緑線は抵抗がない場合、青線は抵抗として 10KΩ を入れた場合です。

抵抗をいれても若干オフセットは残ってはいます。これが許容できるかどうかはシステム設計に掛かってきますので、実際に使う人はよく検討して下さい。何かあってもこちらとしては責任は持てませんが、相談には乗れるとは思います。
もう一つ問題があって、入力容量も結構大きいです。実質 2.5pF 程度ありそうです。ただでさえフォトダイオードの接合容量 5pF をどう補正しようかと考えているのにこれでは苦労が増えるばかりです。ユーザマニュアルにも帰還抵抗は 1KΩ 以下が望ましいとしれっと書いてありました。前回のシミュレーションは Spice パラメータにこの容量は盛り込まれているので結果は正しいですが、Cf を選ぶときに配慮が必要と云うことになります。
ということで、今回は前回とは違う回路を検討しようと思いましたが、実用的でない IC を使い倒してもどうかな、ということで IC を選び直して仕切り直しすることにしました。よく考えろよな>自分
そこで AD 社の中で色々探してみたところ、FET 入力(=バイアス電流が小さい)でハイスピードのもの、AD8066 を見つけましたのでこれでやり直してみます。
回路図は次のようです。

帰還コンデンサを振ってみたところ、こんな感じです。 1,2,3,4 pF

ほとんど AD826 と似たような感じです。2pF がフラットネス、帯域ともに良さそうですが、群遅延特性が少し暴れていますので、信号の性質によっては向かないかも知れません。3pF ぐらいが妥当で -3dB で 6.3MHz と帰還抵抗帰還コンデンサで構成されるローパスフィルタの 5.3MHz よりやや帯域が取れています。オフセット電圧も 1.5mV (typ.) で良い部類でしょう。
この IC を使って色々な回路を考えてみることにします。
← にほんブログ村「科学」-「技術・工学」へ
↑ クリックをお願いします。
で、一つ失敗してしまったのがオペアンプの選び方で、スペックをよく見ないまま広帯域のものということで AD826 選んでしまったのですが、この IC は入力バイアス電流が uA オーダで結構大きいです。光電流出力が桁違いに大きければ気になりませんが、実際はそうもいかないでしょう。これは最終的には DC オフセット電圧という形で誤差になります。
これを軽減するには次の回路のように、(+)端子に帰還抵抗と同じ値の抵抗をグランド電位との間に入れておきます。また(+)端子と(-)端子の交流的な結合もあるらしく、少し大きめの容量も入れておくと特性が素直になるようです。(群遅延特性がフラットになる)

実際に入力電流を入れて比較するとこんな感じです。緑線は抵抗がない場合、青線は抵抗として 10KΩ を入れた場合です。

抵抗をいれても若干オフセットは残ってはいます。これが許容できるかどうかはシステム設計に掛かってきますので、実際に使う人はよく検討して下さい。何かあってもこちらとしては責任は持てませんが、相談には乗れるとは思います。
もう一つ問題があって、入力容量も結構大きいです。実質 2.5pF 程度ありそうです。ただでさえフォトダイオードの接合容量 5pF をどう補正しようかと考えているのにこれでは苦労が増えるばかりです。ユーザマニュアルにも帰還抵抗は 1KΩ 以下が望ましいとしれっと書いてありました。前回のシミュレーションは Spice パラメータにこの容量は盛り込まれているので結果は正しいですが、Cf を選ぶときに配慮が必要と云うことになります。
ということで、今回は前回とは違う回路を検討しようと思いましたが、実用的でない IC を使い倒してもどうかな、ということで IC を選び直して仕切り直しすることにしました。よく考えろよな>自分
そこで AD 社の中で色々探してみたところ、FET 入力(=バイアス電流が小さい)でハイスピードのもの、AD8066 を見つけましたのでこれでやり直してみます。
回路図は次のようです。

帰還コンデンサを振ってみたところ、こんな感じです。 1,2,3,4 pF

ほとんど AD826 と似たような感じです。2pF がフラットネス、帯域ともに良さそうですが、群遅延特性が少し暴れていますので、信号の性質によっては向かないかも知れません。3pF ぐらいが妥当で -3dB で 6.3MHz と帰還抵抗帰還コンデンサで構成されるローパスフィルタの 5.3MHz よりやや帯域が取れています。オフセット電圧も 1.5mV (typ.) で良い部類でしょう。
この IC を使って色々な回路を考えてみることにします。

↑ クリックをお願いします。