前回までゲインと帯域の話を書きました。これらはオペアンプの現実的な特性によってそれらが制限されると云うことなのですが、ではフィルタを作るなど積極的に周波数特性を持たせようとする場合はどうなるか、に少し触れておこうと思います。

まずは基本回路を見て下さい。

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最初の説明でオペアンプの5つの法則に従って回路の機能を考えよう、としましたがそこで使われている素子はすべて抵抗でした。今度は何でも良いからインピーダンスを持つもの、電圧と電流の間を取り持つもの Z だったらどうなるか、ということです。
その場合でも話は簡単で、Z に電圧を掛ければ電流に変わる、Z に電流を流せば電位差が生じる、というものです。

ですので、数式としては以下のようになります。

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以上<待て!(^^;コレデハテヌキデスネ

済みません、例を挙げます。

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数式を書いてみると、

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ということで反転積分器ということになります。

では、よく見かけるこの形は、

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計算してみると、

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ということになって、直流ゲイン R2 / R1(s をゼロにして確認します)、T = C x R2 = 1 / 2πfc というカットオフ周波数になる LPF ということになります。
積分器との関係ですが、R2 → ∞ とおけば同じことになります。つまり直流ゲインが無限大、ゲインが 0 dB になる周波数は、1 / 2πCR1 となります。


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ちなみに積分器の場合の積分時定数は、CR1 ですが、LPF の場合のフィルタ時定数は CR2 になります(云い方だけの話です)。
よく参考回路となっているのが R1 = R2 なので一緒にしてしまうことが多いのですが、多分ここに書いたような云い方になると思います。


「ところで積分器だと DC ゲインが無限大だよね。でも実際のオペアンプは有限でしょ?」
「そういうツッコミは認めません!」


前回 LT1007 / LT1037 のオープンループゲイン特性を紹介しましたが、このクラスになると DC ゲインはほぼ無限大といっても良さそうです。ですが厳密に言えば DC ゲインは有限なのでその通りにはなりません。フィルタも同様でオペアンプのオープンループゲイン特性の内側でのみ CR で設定した動作をします。