制御の方法として、最初に加速度を制御して Bang - Bang 制御波形を得る方法と前回変位フィードバックによる制御を紹介したが、今回は速度フィードバックを行って変位を制御する方法をやってみる。
Bang - Bang 制御は加速度波形を固定して、「行って来い」的に物体を移動させ、変位フィードバックは途中の波形は気にしないで行き先を指定して移動させるものであった。速度フィードバック方式はその中間と言えるもので、移動量をモニタしながら Bang - Bang 制御と同じ速度カーブを参照信号にしてフィードバック制御を行う。
構成要素として速度検出器が必要となる。変位が検出できているならその信号を微分することで得ることも出来る。
制御系ブロックとしては次のようになる。

左側の加算器は速度参照信号(速度プロファイル)生成している。この信号に従って速度制御を行う。移動量をモニタしながら、としているがここでは時間で速度参照信号を与えている。実用的にはたとえばマイコンなどで移動量をモニタして、残り距離に対してあるべき速度を出力する方法になる。
速度フィードバックとしての開ループ特性は次のようになっている。ゲイン交点は 10 Hz にした。一階積分系なので位相遅れは全帯域で 90°となりいかなるゲイン設定でも安定だが、一応そうしてある。

閉ループ特性は次のようである。

シミュレーションの結果は以下の通りである。

速度参照信号についてだが、加速に関しては特に制御が掛かっていなくても構わない(最大加速度が出ればよい)ので、矩形波形にしてある。減速については残り移動量に従って(ここでは時間で行っている)ランプ波形となっており、最終値は 0 である。また、減速時の加速度は距離に関係なく一定でよい。

結果として Bang - Bang 制御波形にかなり近いといえる。速度ゼロになった後、多少加速度が残っているため移動量としては誤差を持つ可能性がある。ただ閉ループ特性から想像できるように、参照信号に対して一定の遅れ量で追従するためその遅れによって発生する誤差はあらかじめ見積もることが出来る。従ってより精度を求めるならば、(移動すべき距離)-(応答遅れによる誤差)を計算して移動量を設定するのが良い。が、帯域が十分広い場合や加速度が小さい場合は無視できるかも知れない。また、速度参照信号がゼロになったところで前回説明した変位サーボに切り替えれば確実である。

この方法の良いところは、速度サーボなので安定であること、加速度が制限されている場合でも応答が素直であること、Bang - Bang 制御に応答波形を近づけることが出来るので移動と収束が速い、などである。ただ速度検出が必要なのと、速度参照信号をリアルタイムで制御しなくてはいけないので CPU かシーケンサなどの介在が必要なことなどがデメリットかもしれない。
この方法は直線移動のみではなく、回転モータを使った位相角移動にも使える。もちろん位相角が検出できる方法と回転速度が検出(位相角の微分でよい)は必要である。
参考になれば幸いです。
Bang - Bang 制御は加速度波形を固定して、「行って来い」的に物体を移動させ、変位フィードバックは途中の波形は気にしないで行き先を指定して移動させるものであった。速度フィードバック方式はその中間と言えるもので、移動量をモニタしながら Bang - Bang 制御と同じ速度カーブを参照信号にしてフィードバック制御を行う。
構成要素として速度検出器が必要となる。変位が検出できているならその信号を微分することで得ることも出来る。
制御系ブロックとしては次のようになる。

左側の加算器は速度参照信号(速度プロファイル)生成している。この信号に従って速度制御を行う。移動量をモニタしながら、としているがここでは時間で速度参照信号を与えている。実用的にはたとえばマイコンなどで移動量をモニタして、残り距離に対してあるべき速度を出力する方法になる。
速度フィードバックとしての開ループ特性は次のようになっている。ゲイン交点は 10 Hz にした。一階積分系なので位相遅れは全帯域で 90°となりいかなるゲイン設定でも安定だが、一応そうしてある。

閉ループ特性は次のようである。

シミュレーションの結果は以下の通りである。

速度参照信号についてだが、加速に関しては特に制御が掛かっていなくても構わない(最大加速度が出ればよい)ので、矩形波形にしてある。減速については残り移動量に従って(ここでは時間で行っている)ランプ波形となっており、最終値は 0 である。また、減速時の加速度は距離に関係なく一定でよい。

結果として Bang - Bang 制御波形にかなり近いといえる。速度ゼロになった後、多少加速度が残っているため移動量としては誤差を持つ可能性がある。ただ閉ループ特性から想像できるように、参照信号に対して一定の遅れ量で追従するためその遅れによって発生する誤差はあらかじめ見積もることが出来る。従ってより精度を求めるならば、(移動すべき距離)-(応答遅れによる誤差)を計算して移動量を設定するのが良い。が、帯域が十分広い場合や加速度が小さい場合は無視できるかも知れない。また、速度参照信号がゼロになったところで前回説明した変位サーボに切り替えれば確実である。

この方法の良いところは、速度サーボなので安定であること、加速度が制限されている場合でも応答が素直であること、Bang - Bang 制御に応答波形を近づけることが出来るので移動と収束が速い、などである。ただ速度検出が必要なのと、速度参照信号をリアルタイムで制御しなくてはいけないので CPU かシーケンサなどの介在が必要なことなどがデメリットかもしれない。
この方法は直線移動のみではなく、回転モータを使った位相角移動にも使える。もちろん位相角が検出できる方法と回転速度が検出(位相角の微分でよい)は必要である。
参考になれば幸いです。