オープンループ特性におけるゲイン交点での位相が -180°に対してどのくらい進む方向にあるかを位相マージンという。
以前に説明したように、ゲイン交点で -180°になっているときにフィードバックループを組むと発振する。さらに遅れてもダメである。
-180°に至らないまでも、それに近ければ近いほど不安定になる。ということで今回の二次系フィードバックループで -180°に対して位相マージンと安定性(ステップ入力に対する収束性)を調べてみる。

伝達関数は前回と同じで以下の通り。パラメータ a は位相進み補償フィルタ特性を決めていて、位相マージンを振るために 100, 200, 500, 1000 とする。


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開ループ特性は以下のようになる。帯域は 1 Hz 付近に設定してある。

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ゲイン交点の周波数と位相マージンは以下の通り。

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これでフィードバックループを形成すると伝達関数は以下のようになり、

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特性およびステップ入力に対する応答波形は以下のようになる。

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位相マージンが小さいほど、応答波形にオーバーシュートを持つことが分かる。

補足しておくと、位相マージンとオーバーシュート量はその周波数だけなら計算で求まるが、実際のオーバーシュート量はその周辺の周波数特性に影響を受けるので今回の計算結果はいつも当てはまるわけではない。

今回は前に Xcos で調べてたときと違い、加速度リミッタは付いていない。単純に応答特性を調べただけである。
加速度リミッタがない分、目標値に達するのは早い。が、収束は位相マージンが有っても結構もたもたしている。もちろん帯域を上げていけば収束時間は短くできる。

今回はリミッタがない場合の応答を見てみたが、リミッタ付き変位サーボを掛けて移動させると前回のような Bang - Bang 制御に似た応答をしながらも収束は結構もたもたしたりする。リミッタを掛けて帯域も上げて、などとすると発振気味になり却って収束が遅くなったりするようだ。最適パラメータの追求は結構クリティカルのようである。

昔 CD-ROM ドライブで、送り DC モータに速度センサをつけていたことがあったらしい。その時はその積分出力を変位信号としてサーボを掛けてシーク動作をさせていたようだ。なので何か上手い方法があるのだろう。

次回からは別の方法を紹介する。