終わったと云いながら、「ああ、あれを書くの忘れた」というのが多いこと多いこと。
フォーカスサーボを設計してみて、系の安定と利得の確保のために補償回路というのを使った。もし自動制御の勉強した方なら、PID 補償、PID 制御というのを聞いたことがあると思う。これも制御系を安定にするためのアプローチの一つだが、今回の補償系とどう違うのか疑問を持つかも知れない。そこで私なりの解釈をしてみる。
PID 制御についてはこちらをご覧下さい。scilab を使った制御系のシミュレーションを中心に解説されているので、参考になると思います。おすすめサイトです。
「ヨッパのシステム制御」
http://alk.fam.cx/pid_010.html
PID 制御とは、簡単に言うとさきほどのサイトにあるように(図および本文を引用します)

1.偏差に比例した出力を出す動作…比例動作(P)
2.偏差の時間積分に比例した出力を出す動作…積分動作(I)
3.偏差の時間的変化率に比例した出力を出す動作…微分動作(D)
ということである。PID を適当な配分で制御対象に入れることで、安定性と偏差の最小化を目指すと云うことだ。
制御対象の伝達関数を G(S) と置くと、PID を適当な配分でいれるということは、

という伝達関数を作ることになる。ここでさきほどのサイトでも云っているように理想微分というのは現実的ではないので、不完全微分形式にする。この場合はこうなり、変形すると、

さらにものすごく乱暴に変形すると、

となって、左から順番に G(s) を K で増幅して、積分する。つまり周波数に従ってゲインが下がる。その積分特性は (α+ s) で表せる微分特性のによって、フラットな特性に戻る。さらに (β+ s ) で表せる微分特性によって周波数に従ってゲインが上がり、1 / (γ+ s) で表せる一次遅れ特性によってフラットな特性に戻る。ヴィジュアルにまとめるとこんな感じになる。

どこかで見たことがありますね。そうフォーカスサーボに挿入した進み遅れ補償とそっくりである。DC ゲインが無限大な他は同じと云って良い。
位相進み遅れ補償回路の特性はこうでした。
さきほどのサイトをもう一度見て下さい。
P はまずループゲインを決める、という形で決めてある。I はステップ入力に対する最終値が入力に対して偏差をゼロにするために入れる、D は制御対象の伝達関数が変わっているが、応答の収束性をよくするために使われている、ということだ。
つまり I は DC ゲインを無限大にして、D はゲイン交点での位相改善を行っている、ということである。
位相進み遅れ補償回路と目的はほとんど同じである。
さきほどのサイトの例と、フォーカスサーボの違いはフォーカスサーボはもともと二次系なので P だけでは絶対に安定には動かず、まず位相進み = 微分特性が必要になるというところだろう。PID 制御的アプローチは P だけである程度動作する、というのが前提と考えて良い。そういう意味では、一次遅れ系 + ディレイ とか フラットアンプあるいは一次遅れ系の多段接続とかになると思う。
これまた乱暴にまとめると、制御対象の伝達特性が以下のようならば、それぞれ、
・一階積分型の場合:絶対安定なので、P のみでよい。
・一次遅れ系の場合:これも絶対安定なので、P のみでよいが、最終値と目標値の偏差を
ゼロにしたいなら I が必要。
・上記の2種に対して無駄時間要素が加わった場合:P のみまたは PI で過渡応答が
好ましくない場合(無駄時間要素による位相遅れがゲイン交点に悪影響を及ぼした場合)は、
D を入れて位相を進ませる。
・フラット特性の多段接続:フラット特性と云っても実際には、高い周波数でゲインは必ず下がり
一次遅れ系になっている。これを多段接続したら位相遅れが加算されるので、ゲイン交点
付近の位相が - 180°を越える小さくなるようならば、D 特性=位相進み補償を入れる。
積極的に帯域を制限してゲインも管理するなら、一階積分または一次遅れをいれるのが良い。
・二次遅れ系、二階積分系の場合:P でゲイン調整した後、ゲイン交点付近で D 特性の挿入が
必須。それで低域ゲインが足りなくなったら I 成分の挿入が必要。
ということと考えるとわかりやすいと思うが、どうだろうか。
フォーカスサーボを設計してみて、系の安定と利得の確保のために補償回路というのを使った。もし自動制御の勉強した方なら、PID 補償、PID 制御というのを聞いたことがあると思う。これも制御系を安定にするためのアプローチの一つだが、今回の補償系とどう違うのか疑問を持つかも知れない。そこで私なりの解釈をしてみる。
PID 制御についてはこちらをご覧下さい。scilab を使った制御系のシミュレーションを中心に解説されているので、参考になると思います。おすすめサイトです。
「ヨッパのシステム制御」
http://alk.fam.cx/pid_010.html
PID 制御とは、簡単に言うとさきほどのサイトにあるように(図および本文を引用します)

1.偏差に比例した出力を出す動作…比例動作(P)
2.偏差の時間積分に比例した出力を出す動作…積分動作(I)
3.偏差の時間的変化率に比例した出力を出す動作…微分動作(D)
ということである。PID を適当な配分で制御対象に入れることで、安定性と偏差の最小化を目指すと云うことだ。
制御対象の伝達関数を G(S) と置くと、PID を適当な配分でいれるということは、

という伝達関数を作ることになる。ここでさきほどのサイトでも云っているように理想微分というのは現実的ではないので、不完全微分形式にする。この場合はこうなり、変形すると、

さらにものすごく乱暴に変形すると、

となって、左から順番に G(s) を K で増幅して、積分する。つまり周波数に従ってゲインが下がる。その積分特性は (α+ s) で表せる微分特性のによって、フラットな特性に戻る。さらに (β+ s ) で表せる微分特性によって周波数に従ってゲインが上がり、1 / (γ+ s) で表せる一次遅れ特性によってフラットな特性に戻る。ヴィジュアルにまとめるとこんな感じになる。

どこかで見たことがありますね。そうフォーカスサーボに挿入した進み遅れ補償とそっくりである。DC ゲインが無限大な他は同じと云って良い。
位相進み遅れ補償回路の特性はこうでした。

さきほどのサイトをもう一度見て下さい。
P はまずループゲインを決める、という形で決めてある。I はステップ入力に対する最終値が入力に対して偏差をゼロにするために入れる、D は制御対象の伝達関数が変わっているが、応答の収束性をよくするために使われている、ということだ。
つまり I は DC ゲインを無限大にして、D はゲイン交点での位相改善を行っている、ということである。
位相進み遅れ補償回路と目的はほとんど同じである。
さきほどのサイトの例と、フォーカスサーボの違いはフォーカスサーボはもともと二次系なので P だけでは絶対に安定には動かず、まず位相進み = 微分特性が必要になるというところだろう。PID 制御的アプローチは P だけである程度動作する、というのが前提と考えて良い。そういう意味では、一次遅れ系 + ディレイ とか フラットアンプあるいは一次遅れ系の多段接続とかになると思う。
これまた乱暴にまとめると、制御対象の伝達特性が以下のようならば、それぞれ、
・一階積分型の場合:絶対安定なので、P のみでよい。
・一次遅れ系の場合:これも絶対安定なので、P のみでよいが、最終値と目標値の偏差を
ゼロにしたいなら I が必要。
・上記の2種に対して無駄時間要素が加わった場合:P のみまたは PI で過渡応答が
好ましくない場合(無駄時間要素による位相遅れがゲイン交点に悪影響を及ぼした場合)は、
D を入れて位相を進ませる。
・フラット特性の多段接続:フラット特性と云っても実際には、高い周波数でゲインは必ず下がり
一次遅れ系になっている。これを多段接続したら位相遅れが加算されるので、ゲイン交点
付近の位相が - 180°を越える小さくなるようならば、D 特性=位相進み補償を入れる。
積極的に帯域を制限してゲインも管理するなら、一階積分または一次遅れをいれるのが良い。
・二次遅れ系、二階積分系の場合:P でゲイン調整した後、ゲイン交点付近で D 特性の挿入が
必須。それで低域ゲインが足りなくなったら I 成分の挿入が必要。
ということと考えるとわかりやすいと思うが、どうだろうか。