マーケティングの講義を受けたときのことである。
インスタントコーヒー市場にある会社(いわゆる大手ではない)が参入しようと考えて、マーケット調査を行った。インスタントコーヒーにも2種類有って普通のビン販売のものとスティック型のものがあるが、この後発のコーヒーメーカはこれらのマーケット調査データからどうしていけば良いか、という内容だった。どちらの市場に対してある程度のシェアが取れれば事業として成立しそうだ、ということだったがさてそのシェアが取れるかどうかだった。
色々グループで議論したが、講師の説明によるとビンタイプのものは1%もシェアと分けてくれない、とのことだった。つまり後発が入ってきてもそれまでに取った規模にものをいわせてコスト競争によって絶対に取らせてくれないらしい。へぇ~そういうものか、と思った私の頭の中はお花畑状態だったんでしょうね。スティックタイプは見込みがあるということであった。ここで具体的なデータや内容を示せないので、どうしてそうなるという説明はできないが、感じたことはマーケティングというのは仕事のトリガーなんだ、ということを改めて認識したと云うことである。
誰もが当たり前だと云うだろうし、事実そうだと思う。が、付け加えたいのは担当技術者も同じことなのだ、ということである。

大学やその先の就職先を選ぶのに、よく言われるのは何をやりたいか、である。もちろんそれが基本だと云うことは云うまでもない。だがその講義の時に思ったことは、何を求められているかも考えたい、ということである。
自分の仕事をしっかり確保して、絶えることなくなにがしかの貢献を世の中にしていきたいと思うなら、仕事を選ぶ段階でマーケティングをした方が良いということだ。

このことは就職してからも同じことだ。職場の中でどういう仕事が組織から求められているのか考えれば、自分が磨くべきスキルというのが分かってくる。場合に因っては率先して仕事を引き受ける必要もあるだろう。
先輩が望んでいること、上司が望んでいることをまず引き出しながら、それに応えていくことが基本だと思うのである。そして徐々にレベルが上がってくると、その先にある製造、品質、営業、そして顧客が求めていることが見えてくる。そうすると自分がやるべき行動が見えてくる。そうなれば指示待ちなどにはならない。そんなことを心がけてみるのがいいのでは、と自省も含めて云ってみる。

あまり説得力はないかも知れないが、何かの参考になれば幸いである。

あれ、インスタントコーヒーはどうなった?