フォーカスサーボを設計してみたが、なんとなく設計プロセスはおわかりいただけただろうか。もちろんこの考え方が唯一無二ではない。数式で補足確認はしているが、基本的にはグラフを使ってヴィジュアルにやってみたと云うことである。

さて、目標仕様が達成されているか確認する。
・DC ゲイン:80 dB 以上(レンズの中立位置とディスクに対するフォーカス位置との偏差)
・40Hz ゲイン:60dB 以上(回転数 2400 rpm として、その時の面ぶれ量と許容されるフォーカス誤差)
・サーボ帯域:3 KHz 程度(低すぎると面ぶれ加速度に追従できない。高すぎるとキズでフォーカスがはじかれる)

開ループ特性はこうだったから、

イメージ 1
だいたい良さそうである。出来たことにする。

実際に応用する際の注意点を挙げておく。

回転数が上げる場合
2400rpm というのは CD だったら 4x ~ 10x の CAV 程度である。今は x50 もあるのかな。約 10000 rpm になるので、ゲインとしては 160 Hz 付近で 60 dB 確保しようとすると、帯域とゲインをあげることになる。

帯域を上げる場合
アクチュエータの二次共振周波数を上げることが必須。共振量も下げていかないといけない。
ただし、二次共振の共振量を下げると 1 KHz ~ 10 KHz あたりの二次共振による位相遅れが大きくなるので、位相進み補償の設計がデリケートになる。部品のばらつきを吸収するための自動調整が必須になるだろう。

ゲインを上げる場合
今回の位相遅れ補償を 2 Hz ~ 20 Hz から 20 Hz ~ 200Hz ぐらいにしなければいけないだろう。その場合は主共振周波数を上げる必要があるかもしれないし 100 Hz ~ 1 KHz の位相が - 180°以下になるのでステップ応答が若干いびつになるかも知れない。(安定性は問題ない)
主共振周波数を上げると必然的に DC ゲインが下ので電気的にゲインを上げてアクチュエータにパワーを入れなくてはいけないので、発熱などが気になり痛し痒しである。

もっとも本当に面ぶれの多いディスクの場合は回転数を遅くするという手もあるので、ユーザに迷惑を掛けることはないかもしれない。また CD や DVD のようなディスクは高速回転になると風圧で面ぶれ量が小さくなると云うデータもあるらしい(自分はみていない)から、無理な設計する必要はないかも知れない。
メーカ、部門、製品ごとに設計ポリシーがあるだろうから、どこの設計優先度が高いかをよく確認しておく必要がある。

一応、今回でフォーカスサーボの設計は一段落とします。
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