今回のテーマがオペアンプを選ぶ上で結構重要だったりします。
サーボに関する話も知っていないと理解しづらいので、別書庫「なんちゃってサーボ設計」も是非目を通しておいて下さい。
とりあえず抑えておきたいフィードバックループの安定性
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7715189.html
まずゲインの方から考えていきます。オペアンプをゲイン無限大の理想増幅器として最初の頃から解説してきましたが、当然そうではなく、そしてそうではないことがどんな影響を与えるのかを頭に入れておく必要があります。
非反転アンプで説明すると、イメージ的なブロック図としてこういうのがありました。


そしてこれの入力と出力の関係式は、このようになっていました。

これから見て分かるとおり、G が無限大ならば G も 1 + G も同じですから回路としての利得は 1 = 0 dB ですが、G が無視できない小ささだったらどうでしょうか。極端な話、G = 1 だったらゲインは 2 分の 1 になってしまいます。ですので G は無限ならずとも十分に大きくなくてはいけません。さらにゲインを 1 以上にしようとすると、フィードバックループの中にアッテネータが入った形になりますから、次式のようになって(F は 1 以下)、1 / G が F に対して十分無視できる値になっていないと、増幅率として 1 / F にならないことになります。

平たく云えば、増幅率をたくさん取ろうと思ったら十分大きな G でなくてはならないということです。
では、オペアンプの内部回路はトランジスタをたくさん積んで増幅しまくればいいのかというとそうもいきません。
フィードバックを構成する都合上、系として安定にならなくてはいけないのです。
前述のトピックにはこう書きました。
サーボ特性は帯域のどこかで一階積分特性を作っておき、その帯域周辺でゲイン交点を設定するように設計
ということでオペアンプも内部のどこかに一階積分特性を作って帯域を制限しなくてはいけません。
オペアンプの代表的なオープンループ特性は次のようです。LT1007 のラインを見て下さい。

見ていただくと分かるように、0.1Hz 以下で約 150 dB(3000万倍)の利得を持っていてそこから - 20 dB / decade の割合でゲインが下降しています。これが一階積分特性です。この場合は DC ゲインが有限なので一次遅れ特性とも言えます。要するに巨大な(?)LPF ってやつです。
下降した後、約 5 MHz のところでゲイン 0dB (1)になるます。x 1 の非反転増幅器を作った場合はここがゲイン交点になります。
このグラフ位相カーブがないので説明が難しいですが、5 MHz 付近では - 90 ~ - 120 度ぐらいだと思います。先ほどのトピックでは - 180 度より遅れていなければ安定、できるだけ遠ざかっている方が望ましい、としていますが、まあ大丈夫な水準でしょう。
もしこのオペアンプで x 10 の増幅器を作ったならばゲイン交点は + 20dB ライン上の 500 KHz になり、帯域も 500 KHz になります。
x 100 ならば 50 KHz となります。それらの時の位相はほぼ - 90 度ですので、安定な方向になります。
増幅率をたくさん取ればとるほど帯域は狭くなりますが、フィードバックループとしては安定な方向になります。ちょっと変な感じがしますが、増幅率をとると云うことはループ利得を下げるので安定になる、という感覚です。
グラフにはもう一本線があって、LT1037 のラインを見て下さい。
LT1007 より少し右にシフトしたカーブで、0 dB のところは 30 MHz ぐらいでしょうか。ではこのオペアンプは x 1 では 30 MHz になるのかというと問題があります。カーブが 1 MHz を過ぎた辺りで少し傾斜が傾いています。これは位相の遅れが大きくなっていることを示しています。従って x 1 の増幅器を作ろうとするとゲイン交点での位相が - 180 度に近づいている可能性があります。つまり発振気味になる恐れがあると云うことです。ではこのオペアンプは使いづらいかというとそういうわけではなく、たとえば x 100 の増幅器を作った場合はゲイン交点が + 40dB のところになりますが、それでも帯域は 500 KHz 程度確保できます。
よってこれら両者のオペアンプは帯域が 500 KHz ぐらいで使おうとして、ゲインがたくさん必要なら LT1037、ゲインが低くていいなら LT1007 という使い分けになります。実は内部回路はほとんど同じで、一次遅れフィルタの定数を決めるコンデンサの容量を変えて作り分けています。
少し話が脱線気味になりましたが、もう少しオペアンプの特性表を見ながら回路例との関係を考えてみたいと思います。
サーボに関する話も知っていないと理解しづらいので、別書庫「なんちゃってサーボ設計」も是非目を通しておいて下さい。
とりあえず抑えておきたいフィードバックループの安定性
http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7715189.html
まずゲインの方から考えていきます。オペアンプをゲイン無限大の理想増幅器として最初の頃から解説してきましたが、当然そうではなく、そしてそうではないことがどんな影響を与えるのかを頭に入れておく必要があります。
非反転アンプで説明すると、イメージ的なブロック図としてこういうのがありました。


そしてこれの入力と出力の関係式は、このようになっていました。

これから見て分かるとおり、G が無限大ならば G も 1 + G も同じですから回路としての利得は 1 = 0 dB ですが、G が無視できない小ささだったらどうでしょうか。極端な話、G = 1 だったらゲインは 2 分の 1 になってしまいます。ですので G は無限ならずとも十分に大きくなくてはいけません。さらにゲインを 1 以上にしようとすると、フィードバックループの中にアッテネータが入った形になりますから、次式のようになって(F は 1 以下)、1 / G が F に対して十分無視できる値になっていないと、増幅率として 1 / F にならないことになります。

平たく云えば、増幅率をたくさん取ろうと思ったら十分大きな G でなくてはならないということです。
では、オペアンプの内部回路はトランジスタをたくさん積んで増幅しまくればいいのかというとそうもいきません。
フィードバックを構成する都合上、系として安定にならなくてはいけないのです。
前述のトピックにはこう書きました。
サーボ特性は帯域のどこかで一階積分特性を作っておき、その帯域周辺でゲイン交点を設定するように設計
ということでオペアンプも内部のどこかに一階積分特性を作って帯域を制限しなくてはいけません。
オペアンプの代表的なオープンループ特性は次のようです。LT1007 のラインを見て下さい。

見ていただくと分かるように、0.1Hz 以下で約 150 dB(3000万倍)の利得を持っていてそこから - 20 dB / decade の割合でゲインが下降しています。これが一階積分特性です。この場合は DC ゲインが有限なので一次遅れ特性とも言えます。要するに巨大な(?)LPF ってやつです。
下降した後、約 5 MHz のところでゲイン 0dB (1)になるます。x 1 の非反転増幅器を作った場合はここがゲイン交点になります。
このグラフ位相カーブがないので説明が難しいですが、5 MHz 付近では - 90 ~ - 120 度ぐらいだと思います。先ほどのトピックでは - 180 度より遅れていなければ安定、できるだけ遠ざかっている方が望ましい、としていますが、まあ大丈夫な水準でしょう。
もしこのオペアンプで x 10 の増幅器を作ったならばゲイン交点は + 20dB ライン上の 500 KHz になり、帯域も 500 KHz になります。
x 100 ならば 50 KHz となります。それらの時の位相はほぼ - 90 度ですので、安定な方向になります。
増幅率をたくさん取ればとるほど帯域は狭くなりますが、フィードバックループとしては安定な方向になります。ちょっと変な感じがしますが、増幅率をとると云うことはループ利得を下げるので安定になる、という感覚です。
グラフにはもう一本線があって、LT1037 のラインを見て下さい。
LT1007 より少し右にシフトしたカーブで、0 dB のところは 30 MHz ぐらいでしょうか。ではこのオペアンプは x 1 では 30 MHz になるのかというと問題があります。カーブが 1 MHz を過ぎた辺りで少し傾斜が傾いています。これは位相の遅れが大きくなっていることを示しています。従って x 1 の増幅器を作ろうとするとゲイン交点での位相が - 180 度に近づいている可能性があります。つまり発振気味になる恐れがあると云うことです。ではこのオペアンプは使いづらいかというとそういうわけではなく、たとえば x 100 の増幅器を作った場合はゲイン交点が + 40dB のところになりますが、それでも帯域は 500 KHz 程度確保できます。
よってこれら両者のオペアンプは帯域が 500 KHz ぐらいで使おうとして、ゲインがたくさん必要なら LT1037、ゲインが低くていいなら LT1007 という使い分けになります。実は内部回路はほとんど同じで、一次遅れフィルタの定数を決めるコンデンサの容量を変えて作り分けています。
少し話が脱線気味になりましたが、もう少しオペアンプの特性表を見ながら回路例との関係を考えてみたいと思います。