前回は出力電圧に関する制限でした。

今回は入力電圧に関する制限です。
こちらも容易に想像つきますね。電源電圧を超えたら IC が壊れるのではないかと。ただちょっとカラクリがあって電源電圧以上印加しても大丈夫だったり、逆に電源電圧まで入力できないケースもあります。
スペックシートを見てみましょう。

再び新日本無線の NJM072 の登場です。
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表の赤線のところを見て下さい。「同相入力電圧範囲」となっています。±10V です。電源電圧は±15V なのに上下 5V もカバーできない範囲があります。つまり±10V を越えるとアンプとしての動作は保証しないと云うことです。壊れるという意味ではありません。壊れる方は絶対最大定格の方に記されています。
この「同相入力電圧範囲」は非反転増幅器で問題になります。なぜなら前段から与えられた電圧がそのまま IC に印加されてしまうからです。
最近の IC は大丈夫かも知れませんが古い設計のものは、私の記憶ではマイナス側が範囲から外れると出力が反転するという現象がありました。たとえば非反転増幅器を組んで前段の IC の出力が飽和するとその IC にとっては過大入力になり、異常出力を出すということがあり得ました。よって私自身は非反転形式は出来るだけ避けていました。
反転形式だと抵抗を介在して接続し、出力端と入力抵抗に印加された電圧を出力抵抗と入力抵抗で分圧された電圧が (-)端子に印加されるので、そういうことにはなりにくいです。入力抵抗の先だったら電源電圧を越えてもフィードバックが成立している限りは大丈夫です。

では NJU7067 はどうでしょうか。
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こちらは低電圧で使用することを前提にしていますので、マイナス側は電源電圧と同じ、プラス側は 1.6V のロスに抑えています。

入出力フルスウィングというカテゴリに入るものとして NJU77902 がありましたのでこれも載せておきます。

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同相入力電圧範囲というのはあまり気にしなくても良さそうですが、高性能なアンプほど変な特性を持ったりする可能性があるので注意が必要だと思います。反転形式にしてしまえばまず大丈夫だと思いますが。