回想録のご多分に漏れず、自慢話を書きまくり、失敗はきれいに忘れるというパターンに陥っている。が、当然のことながら自慢話の数倍から数十倍の失敗をしているのだ。しかし失敗は気にしないのだ!山中教授も仰っているではないか。
私が言っても説得力ゼロだがノーベル賞受賞者が言えばみんなも納得する。

ということで少しずつ失敗を思い出してみる。

いやな思い出の一つが、光ディスクピックアップに使うレーザへ高周波信号を重畳する高周波モジュールという部品の開発。
誰もやろうとしないので、「ではおまえやれ」と云われたが最初からこれは上手くいく気がしなかった。発振させること自体は既存のICチップを使えばいいので簡単だが、難しいのは高周波信号(600MHzから700MHz)を封止すること。当時あたりから高周波規制というのがあって、簡単にいえばTVやその他の電子機器に悪影響を与えるから電波のダダ漏れはだめ、ということである。多分これができないだろうと思っていたら、やっぱりだめ。仕方がないのでぎりぎりまで出力を下げたりして(そうするとレーザのノイズ除去効果が薄れる)対応したが、ピックアップの歩留まりに影響を与えたり、そもそも発振器の歩留まりが問題になったりして、大変だった。取引先の会社もその下請けとの関係が悪くなったりして、周囲に迷惑を掛けまくった。汚点の一つでしばらくの間ネタにされていじられまくっていた。
それ以降の製品でもこの発振器による高周波ノイズは苦労の連続で、要は誰がやっても難しいのである。と、自分を慰めてみる...。

同じ経験をされた方がいらっしゃったら、慰め合いましょう。