アメリカ議会ではいわゆる「財政の崖」回避のための法案が上院下院で可決された。
要は、税をどこからとるかという課題に対して、とりあえず高額所得者からを少し増やそうと云うことのようだ。確かに私も何度かここで書いたが、人口の多い中間層にもう一頑張りしてもらうには、一旦中間層に対する減税を行っておくのがよいと思う。

この措置のおかげで、衆議院解散から始まった円安、株高の動き~経済立て直しの動きに当面ブレーキが掛かることはなさそうだ。ただカラータイマーは2ヶ月ぐらいなようだが。
やはりアベノミクスというか、政府の経済再生への強い意思表示は具体的な行動が期待されるので、市場も歓迎なようである。残念ながら「注視」では効き目がない。
そうなると日銀も動かざるを得ないので、インフレ目標 2% 設定を検討にすることになった。
気の毒に面目丸つぶれなのが前政権の民主党である。何度もインフレ目標を置けといっても言を左右に「1% を目処」といってちょっとだけ金融緩和してごまかされてきたわけである。前原さんも怒って「さんざん云ったのに云うことを聞かず、安倍首相が言ったら検討するはどういうことだ」といっている。しかも白川総裁は民主党が推した総裁である。
しかしですね、残念ながら民主党は経済が分かる人がいなかったのではないですか。他の政策もそうかも知れませんが。
日銀法を改正してでも政府の意思を通す、とまで云っていれば云うことを聞いてくれたかも知れませんね。残念!
新代表の海江田さんも「金融緩和は良くない」という云い方をしていましたが、他によい策でも?

が、私自身は金融緩和は賛成としてもそれだけではなかなか難しいだろうと思っている。東北復興のために大量の公共事業が必要で、もちろんこれも支持する。無い知恵でいうとさらに日本の気分が明るくなるような材料、消費したくなるようなイベントが欲しい気がする。
昨年はスカイツリー、ロンドンオリンピックなどで多少の経済効果があったが、今年ももう少し何かが欲しい。WBC 3 連覇あたりも期待したい。あと何かないですかね。W 杯も決勝進出決定ぐらいが期待できるが今一つ。
というのは今の日本の景気低迷の原因の一つにバブルのトラウマがあると思う。浮かれすぎた結末を経験した団塊の世代達がもうこりごりと思っているのなら、消費や投資は期待できない。質素倹約文武に励めの国民性もこういうときは足を引っ張ってしまう。
若い世代達は、野心を持って行動して欲しいところだが、こう就職難ではね~...。
「よし!」という気分になるもの、「日本はすごい!」と勇気づけられるものはないものか。山中教授のノーベル賞もそういう意味では気分の牽引役にはなっていると思う。

さて、そうはいっても円安、株高の傾向はまだ続いており上手く行動していけば結果に結びつくと思うが、今の局面で引きつっているのがお隣の韓国である。円安はドルに対してであるはずなのに、ウォンも円に対して高くなっていっている。さらにウォンはドルに対しても高くなっている。これでは輸出企業は真っ青であろう。この記事を書いている時点で、1 ドル = 1070 ウォン弱である。この動きの引き金は間違いなくアベノミクスである。1000 ウォンを下ったら大変なことになる。が、反面食料品などの輸入品が安くなるので、一般庶民は楽になるかも知れない。
なので韓国のマスコミも大分気にしている。ただでさえ冷え込み掛けた日韓関係にアベノミクスで韓国経済が立ちゆかなくなったら相当なバッシングを受ける。所詮他国のことなので放っておけばいいとも言えるが、経済問題の解決が優先なので腹背に敵を作るのは戦略上賢いとは言えない。よってかどうかは知らないが、安倍首相もあまり角を立てずにしばらくは進めようとしているようだ。
竹島問題はちょっと放置しても改善しないだけで、これ以上悪くなることはない。こちらは攻めの側なので一番都合の良いときに動けばよい。
しかし尖閣問題はそうはいかない。これは守りの側なので手を抜くとたちどころに悪くなる。つまり行動を起こし続けなくてはいけないのである。外向的に中韓の両方に神経を使うのはしんどいだろう。ということで韓国とは付き過ぎず離れず、引きつった笑顔を見せ合っていればよいと思う。

本当のおつきあいは参議院選挙以降だろう。