アンプ2について解説しようと思って、等価回路図を見たらまだ説明していないものがあることに気がつきました。
この図です。アンプ2は図の Q2 の代わりにダイオードが使われています。

イメージ 1
動作としては、「見つめ合う双子のトランジスタ動作って? 」

http://blogs.yahoo.co.jp/susanoo2001_hero/7102236.html

と同じです。どうして同じなんだ!?とツッコみたい人向けにカレントミラーについて検索してみたら、ちゃんと解説してあるものを発見しました。ご参考。

http://tezukuri-amp.org/evo/amp/tech/current_mirror/index.htm

アンプ2のトランスコンダクタンスアンプで使われているカレントミラーはこのサイトの4.ウィルソン・カレントミラーです。ここで紹介したのは1.のタイプです。精度・特徴色々ありますが、狙っている動作は同じです。

ではもう一度トランスコンダクタンスアンプの等価回路図を見て下さい。

イメージ 2
赤い点線で囲ってあるのが、差動ペアです。
青い点線で囲ってあるのが、NPN トランジスタによるカレントペアです。
緑色の点線で囲ってあるのが、PNP トランジスタによるカレントペです。

まず左下の青い点線で囲ってあるカレントペアを見てみましょう。
AMP BIAS INPUT という端子があって、ここに電流を流し込むとカレントミラー動作により青の矢印のように流れた電流がミラーリングします。
この電流が差動ペアのエミッタ電流になります。ここで差動ペアのベース電流は全く同じだとすると、仲違いしている双子のトランジスタは仲良く電流を分け合って、青の矢印電流の半分の電流=緑の矢印電流をそれぞれのコレクタ電流として流します。
差動ペアの左側のトランジスタはその電流をすぐ上の PNP カレントペアに電流を供給します。その電流はミラーリングされて右下の NPN カレントペアに電流を供給します。さらにその電流もミラーリングされて、OUTPUT 端子に到達します。
右側の差動ペアのコレクタ電流は、右上の PNP カレントペアに電流を供給し、それもミラーリングされて OUTPUT 端子に到達します。
OUTPUT 端子に前者の経路で到達した電流と、後者の経路で到達した電流は等しいことが分かると思います。
従って、差動ペアのベース電圧が等しい場合は OUTPUT 電流はゼロです。

説明し忘れましたが、トランジスタのコレクタ端子は電流出力です。またエミッタ端子はおおむね電圧出力です。これは覚えておいて損は無いです。
で、この場合はトランジスタのコレクタ端子同士がつながっているので、OUTPUT 端子は電流出力です。

さて、差動ペアのベース電圧が等しい場合は出力電流はゼロでしたが、違っていた場合はというと差動ペアの説明の中で、コレクタ電流がアンバランスになると云いました。それで OUTPUT 端子からはそのアンバランスの差分の電流が出力されると云うことになります。
さらにその差分は AMP BIAS INPUT から供給された電流を分け合った結果ということが、今までの説明から理解できると思います。
図に書くとこんなイメージです。

イメージ 3
数式ではこうなります。

イメージ 4
要するに、出力電流は差動電圧にバイアス電流を掛けたものであるということです。

ここまで割り算回路と称するものの2要素、電流出力回路とトランスコンダクタンスアンプについて説明しました。次回はそれらを使って割り算回路がどう動いているかを説明します。
ですが、もしここまでこのトピックを一通り読まれた方なら容易に想像がつくと思いますので、やってみて下さい。

イメージ 5 ← にほんブログ村「科学」-「技術・工学」へ
 ↑ クリックをお願いします。