「メイド・イン・ジャパン逆襲のシナリオ」の第1回目の感想のつづきである。

まじめに考えると結構ネタの宝庫の放送だったと思う。

さて、番組中にちょっと計数的な内容があったので妄想を広げて見る。

就業者数の推移というのが簡単なグラフで紹介された。録画の良いところで止めてメモった。

就業者数の推移>
                 製造業        サービス業    人員合計
1990年        1532万人    1500万人    約3000万人
2009年       1019万人    2500万人    約3500万人

というグラフがあった。製造業の就業者数はグラフに数値があったので、そのまま。
サービス業は読み取り、合計は端数を捨てて計算。
製造業は減っていますね。おそらく番組でも云っていたように製品のデジタル化が進むにつれて製造業の仕事が減っているんでしょう。別のところにも書きましたが、技術革新は短期的に失業者を生むって云う奴でしょうか。

<ひとり当たりの GDP>
                製造業        サービス業
年代不明    917万円        470万円

というのも示されていた。なるほど製造業に携わる人の生産性は高いんだ...。

そこでそれぞれのトータルの GDP を計算してみた。意味のある計算かどうかは分からない。また、ひとり当たりの GDP は年代に関係なく同じにしている。(誤差は 10% もないとは思いますが)

<製造業とサービス業の GDP>


                   製造業        サービス業    合計
1990年        140兆円        70.5兆円     約210兆円
2009年          93兆円        117兆円     約210兆円

なんだ全然変わっていないじゃん。何か問題は?
ちょっとマッター。就業者数は 500万人増えているはず!(人員は 16% 増)
ということで、ここだけを見ると日本人の生産性は国として落ちていることになる。
まずくないかい、これ。(デフレを考慮するとちょっと変わりますが)

製造業の就業者数が落ちているのがやはり問題ということだろう。
だが、製造業の技術革新によって短期的失業者が出ているんだからある意味製造業就業者の淘汰が進んだ、ともいえる。
個人個人で見れば、競争の果て、ということだから自己責任かもしれない。
だが、大きな目で見れば生産性の高い製造業就業者が減るのは国益を損なっているだろう。少なくとも内需は減ることになる。だからよく言われるように製造立国日本を立ち上げ直す、ということになるのだが、問題はどこに目を付けるか。
単に技術者のレベルが下がったとか、関心を持つ人が減った、というならそういう場を作ればいいという従来の方針を続ければよい。だが、今の状態は技術革新によってもたらされた、というのであれば歴史の流れそのものと見るべきではないか。
であれば、同じような技術者育成をしてもダメなのではないかと思う。方向を変えないといけないのではないか。

もちろん為替が劇的に変わって円安になって、普通のレベルの日本人技術者でも新興国の技術者と工数の点で同等に競争できるのなら問題ないのだが、今はそうはいかない。何か違う内容が得意の普通のレベルの技術者を育成しないといけないような気がするがどうだろう。

じゃあお前何が良いかアイディアがあるのか、と云われると、済みません今はないです、これが私の限界です、と情けなくも答えることになる。ただ少なくとも優秀な技術者を育てる、という一般的に云われることではダメだと思う。並の人が容易に到達できる特別なことを探さないと...。

私はほぼ引退状態だが、もし今の時代に駆け出しの頃の自分がいたら、技術の仕事なんて出来なかったに違いない。生まれた時代が良かったとしか云いようがない。せめて、何か後輩達のためにアイディアを残してあげたい、という気持ちはあるのでもう少し知恵を絞ってみたい。

という妄言...。